鬱でありまして。書くまいと思ってたけど書いちった。七月に金子入り財布を丸ごと失くして以来、どうも本来の自虐癖のスイッチが入ったらしく、シラフでいる間は腹の中でずっと自分を罵っている状態(精子レースの第一着で出来たのがコレかよ!etc)。
世界一大嫌いなのが自分なので、基本的に総理や政党(他者)への怒りをエネルギーとする反安保法デモにもまったく乗れず。アベよりオレがつぶれちゃえ、とか思ってるんだもの。
あれを出来るのはうらやましいとすら思った。
とはいえ普通に食って飲んで寝てるんで、まあプッチ鬱といった状態なんですが、自分のブログなんかも「ケッくっだらねえ」とか思うようになり、そんなこんなで一行も書けなくなった。
で、先週から気管支炎という今までやったことのない病気にかかって39度以上の高熱が出たりしてましたが、ようやく小康状態。
いんふるえんざりばんばんかと思ってビビッていたけれど(こっちも未体験)なんとか回避。
と、吐き出してみて、まあまあスッキリした。ぼうっとしてるとまた醜いことになるので、とりあえずなにか好き勝手に書いて気持ちを安定させましょうということで、またぼちぼちやります。
妙にへこむので、とりあえず何か元気になるような映画でもないかと思って借りたのが『キック・アス(2010)』と『キック・アス2/ジャスティス・フォーエヴァー(2013)』。
一作目は劇場でも観たのだが、やっぱり百点。ヒーローに憧れるごく普通の学生が、通信販売で買ったスーツを着てキック・アスと名乗り、ぶらぶらと街を警ら。
そこでいつもいじめられている馴染みのワルに出会い制裁を加えようとするが、ボコボコにされたあげく車にはねられ病院送り。体中に金属板を入れられ、それが結果的に彼を若干ストロングにする。
こりずにパトロールを続けていると仲間をリンチしているチンピラたちに遭遇し、こいつらを腕力というよりは、わけのわからん我武者羅さで撃退。
それを見ていた野次馬たちが、どっちかというと面白がって撮影&YOU TUBEにアップ。
キック・アスは一躍有名になりSNSも大盛況。
ところがこの街にはビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)とヒット・ガール(クロエ・モレッツ)という本物のヒーローがいた。
彼らは親子で、母親を死に追いやったマフィア組織を壊滅させようと暗躍している。
特にロウ・ティーンのヒット・ガールが最高。ダーティーワードを吐きまくり、マフィアをザクザクと殺戮する。
バタフライ・ナイフさばきも鮮やか。これは邦画じゃNGなんだろうな。
ビッグ・ダディとヒット・ガールを捕らえようとするマフィアのボスに、その息子が案を出す。
「僕がヒーローになって奴らをおびき出す」。それがフェイクのヒーロー、レッド・ミスト。
ヒット・ガールvsマフィアの銃撃戦、そこに大マヌケな形で助っ人に登場するキック・アス。
ギャグとバイオレンスとシリアスさがうまいことミックスされた名作ヒーローもの。でも暴力的過ぎてR指定。
ちなみにこの作品で一番受けたギャグ。素でいる時のヒット・ガール親子。普通の父と娘。
「パパ!こんなにカッコいい銃が!」
「どれどれ・・・うむ、カートに入れろ」
銃社会ってこええと思ったが、これは別にギャグじゃないのかも知れない。
二作目はあまり評価が高くないが、これはこれで好きですね。
キック・アスに憧れた市民たちがコスプレした「ゆるふわ自称ヒーロー」たちが街に溢れ、それを束ねる自警団(ジャスティス・フォーエヴァー)にキック・アス自身も入会する。
ボスは元用心棒のストライプス大佐(ジム・キャリー)。あとは息子を探してる老夫婦とか、女性ヒーロー「ナイト・ビッチ」とか、ゲイとか、キック・アスの学友(デブのオタク)もいたりする。
クロエちゃんはヒット・ガールとして活動することを保護者の刑事に固く止められている。
普通の女子のように学校に通うが、年上のお姉さま方に醜いいじめを受け、そいつらに復讐するのだが、使用する武器の名は「ゲロゲリ棒」。あまりモノを食いながら鑑賞しない方がいいかもです。
今回一番おいしいのがマフィアの息子(レッド・ミスト)。父親をキック・アスに殺されたことで苛立ち、ついでにママも事故(?)で、ぶち殺してしまう。
ママの遺品であるSMの衣装を身に着け(そういう趣味だったらしい)、復讐に燃える付け焼刃の「超悪人」として再生。
その名も「マザー・ファッカー」!
とりあえず一人だけ残った腹心を引き連れスーパーを襲う。が。
「カメラはどこだ!?」
「ないよ・・・金がないんだ」
「バカヤロー!流出しないじゃないか!!」
とりあえず札束で引っぱたく形で極悪人たちを集め、悪の組織を結成する。
ここに登場する筋肉ムキムキの悪役ウーマン「マザー・ロシア」が、パワフルさと残虐さにおいて出色。
最終的にはマザー・ファッカー率いる悪の軍団vsキック・アス+ヒット・ガール+自警団の大バトルに。
キャラが多すぎて焦点しぼれずというのが一番の減点だが、続編のあり方としてはアリじゃないでしょうか。本作もしっかりR指定。オチもあるので最後まで観よう。
両作ともキック・アスが街をパトロールする姿が、ヒーロー然とした颯爽としたものではなく、その辺の兄ちゃんみたいな、だらだら歩きってのがいい。
ジム・キャリーが「この映画は暴力的過ぎる」と、宣伝から降りたと聞く。
そこでクロエちゃんあきれたらしい。「バカみたい」って。
ありがとうございました。
本当にヘンなものとは狙って出来るものではない、というテキスト。『セックス・チェック 第二の性』(監督/増村保造・68年)。
これ狂ってる!って感じで盛り上がれるわけではなく、ビミョーにすべてがズレまくっている、という感じ。
もちろん何一つとして、ふざけているわけではない。
かつては名スプリンターだった主人公(緒形拳)は、今は落ちぶれてヒモ生活をしている。それを見かねて陸上仲間だった医師が、自分が専属している電気会社の女子短距離コーチの仕事を斡旋する。
が、オガケンは自称エゴイストなので、一旦引き受けるものの、医師がいない間に「本当はおれのことが好きだったんだろう?」と奥さんに迫りレイプ。そして医師にすべてをぶっちゃけ、「申し分けないのでコーチは出来ない」と言う。この時点でなにこのひと?である。
そのあと会社内でたまたま、バスケの練習中にコーチの指導に腹を立てて掴みかかっていく女子(安田道代)を見かける。
その荒っぽい気性に「こいつはモノになる」と直感し(何で?)、「やっぱコーチやらせてくれ」と先の医師に頼む。医師は「わかった。その代わりおれが仕事をやめる」と、会社を去る。奥さんをレイプされたり、失業に追い込まれたりでほんと散々です。
そして二人だけの個人指導ということになるのだが、「おれはおまえを男として育てる。だから絶対に寝ない!」と、セックスレスピストルズ宣言。
まず最初に与えたプレゼントがなんとヒゲ剃り。「毎日ヒゲを剃れ!そーしたらヒゲが生えてくる!お前は体から男になるんだ!!」と大真面目に大爆発。虎の穴?何の穴?この辺からオガケンの演技もスパーク!
が、そもそも安田ミッチェルにゃ生理が来ない。なんと彼女は半陰陽(ふたなり)だったのです!
そのように診断されると規則上、新記録を出そうがオリンピックには出られない。
絶望して実家へ逃げ帰ったミッチェルを当然のごとく捕獲するオガケン。
「オレは女でねぇ」と落ち込む彼女に、オガケン言い放つ。
「だったらおれが女にしてやる!おまえを毎晩抱いてやる!!」。
方針を180度変更。で、ファックしまくっているうちにおめでたく初潮を迎える。
そして先の医師宅に出向き診断を強制的に要請。
結果、「うむ、たしかに女だ・・・」。そーなんだ!?そういうもんなのか!?
あとは記録を出して予選を通過するだけなのだが・・・その後のオチは何となくわかると思います。
システマティックに作られた最近の作品も良いけれど、昭和の緩さや臭みってのも妙に癖になる。
そんなカップリングで観た『探偵はBARにいる』は、ものすごくマトモだった。
先日は池袋新文芸座で『ダイナマイトどんどん』『太陽を盗んだ男』鑑賞。
菅原文太追悼上映特集のひとつではあるのだけど、それはあまり関係がなく、この二つが観たかったんである。しかし、「映画を観た」という気持ちにさせてくれる二本立て。
『ダイナマイトどんどん』は岡本喜八監督の78年作。終戦直後の小倉におけるヤクザ組織の抗争を、野球の勝ち抜き戦によって平和的に解決しようとする破天荒なコメディ。
キレキレの菅原文太をはじめ、サーモンピンクなスカパラスーツの岸田森、あこぎな親分がすっかり板についた金子信雄、元プロ野球選手の傷痍軍人フランキー堺、クールなキタキン、ヨイヨイで言葉をちゃんと喋れない親分のアラカン(これを引きの演技というのだろう)、警察署長の藤岡琢也など、すべての登場人物が生き生きしている。比べてもしょうがないのだけど、すべてが相殺しあっていた実写版ルパンなんてものを思い出すと、要するに才能の差なんだろうなと思う。
で、ヤクザもん同士なので最後はやっぱりメチャクチャになる。「爆裂都市」みたい。
今までついDVDを手に取ることもなかったのだが、すっごい楽しい作品。シリアスなヤクザ映画を観すぎちゃった方に是非。
『太陽を盗んだ男』は大好きな作品で、今回初めて劇場で鑑賞。長谷川和彦監督の79年作。日本映画、大豊作の時代じゃなかろうか。
今も昔も映画界最大のタブーは「天皇と原発」と聞くけれど、両方ともぶち込んでいる作品。よく製作できたよな!と思う。しかも皇居前や国会議事堂のシーンなど、絶対ゲリラ撮影である。
主人公の沢田研二扮する理科教師がプルトニウムを盗む原発内部のシーン。許可なんかされるわけないからセットなんだけど、この完成度がすごい。いや、見たことないし、知らんけど。
さて首尾よくプルトくんを盗み出したジュリーだが(そんなこと現実的にはあるわけないんだが、忘れちゃいけないのはこれは映画であるということ)、自宅で精製してインディーズな原爆を作ろうとする。
「鉄腕アトム」を口ずさみつつ、プルトニウムをオーブンに入れて待っている間、ビールを飲みながらナイターを観ていたら爆発。
このような彼の「ゆるキャラさ」が作品のキーであって、実はお茶目なジョークがあちこちに出てくる。
ジュリーが学校でターザンの真似してロープからぶら下がり、「アアア~!」と叫ぶシーンは布石になっているので、ご注目。
そして、彼がよく噛んでは膨らませている「風船ガム」の儚さは、原子力発電の危うさを象徴しているのだろう、なんてことを書くのは本当は無粋(だがそれは、現実に起こったんだけど)。
めでたくお手製プルトニウム爆弾が出来上がると、ボブ・マーリーの「ゲット・アップ・スタンド・アップ」をかけながら大はしゃぎ。ボブ師もこういう風に使用されるとは思わなかっただろうな。
で、そいつを政府に送りつけゆさぶりをかけるのだけど、いかんせん、欲しいものがない。
当時はいつも途中で切られるナイターを最後まで放送しろとムチャぶりを言ったら、通った。
次は生放送のDJ(池上季美子)との接触により、当時バリバリのジャンキーを抱えていた「ローリング・ストーンズ」の来日公演をさせろ、とリクエスト。まあ、なんでもよかったんだろう。
警察とのカーチェイスやサイボーグのような刑事・菅原文太(やっと書いた)との一騎打ちなどありつつ、彼の体は静かに被爆していた。
この作品の素晴らしいところは、純粋なエンターテイメントになっているところ。
つまりプルトニウム爆弾は「夢を実現するためのアイテム」として描かれているので、反原発のプロパガンダとしてはまったく使えないんである。
製作から数十年を経て、未曾有の原発事故を体験した我々が普通に観られて、しかも拍手喝采をおくることができる百年に一度の名作。
全人類(の良識)を敵に回すような、悪魔的なラストも秀逸。リメイク絶対不可能。
先週は暇さのあまり店を開けつつ新作のDVDを四本も観ていたというゆとり企業のすうさい堂。
まず、ある意味目玉である『ルパン三世』。
最初から期待してない。というか別の期待はちょっとしていたのだけど、トンデモ映画なわけでもなく、単につまんない作品。久々に早送りしまくり。
何が嫌だって、この作品をアジアでも売りまくろうとしている魂胆。日本人には全然馴染みのない向こうの俳優がルパン一家と同等に絡むのである。
ビッとした悪役も出てこないし、派手なのになんでこうテンポが悪いのか。ひょっとして自分がハリウッドの健全なアクション映画をまったく観ないからそう感じるのか?
この作品のベストキャストは黒木メイサの峰不二子。モンキー・パンチの原作を読んでみればよろしい。
顔なんかそっくりだから。胸も盛ってがんばっていたよ。
『喰女ークイメ』。
三池崇史監督による四谷怪談のリメイク。現在と江戸時代が交錯するスタイル。
エグイですな。特に柴咲コウが自分で胎児を掻き出すシーン。
エビゾウ(=イエモン)はクズ野郎なのでやっぱりヒドイ目にあう。
オリジナルの叙情性をすべて削ぎ落としたスーパードライな仕上がり。
最初は三池監督にルパン実写版のオファーが来ていた気がする。劇場公開も同じくらいだから、あれをやめてこちらを取ったんでしょうな。正解。
『地獄でなぜ悪い』
ヤクザの組同士の出入りをひょんなことから映画狂のバカが撮影/監督することになるというイカれた作品。ぶっとんだ設定とコントのような血糊の量に乗れれば楽しめる。監督・・園子温。
『ゾンビ』
言わずと知れたジョージ・A・ロメロの名作。「発掘良品」のコーナーにリニューアルして置いてあった。世間もさすがに認めたもよう。これはホラーではなくホラー・アクション。
改めて観て思ったのは、ドラマとバイオレンスとギャグのバランスが抜群に上手いということ。
ゲテモノじゃないとは言わないが、一級品の映画である。
舞台をスーパーマーケットにした点も上手いよなあ!!!!(と、こんくらい感心した)と思う。
それにしても顔を青白く塗って、ちょいちょいコスプレを盛り込んだだけで「ゾンビ」なるモンスターを作り上げた手腕。むしろこれくらいシンプルなほうが凄みがある。
ノロノロ歩きで力も無いが、集団に捕まればホルモン各部をレアで喰われてしまうという緊張感。アスリートのフォームで全力疾走するスポーティーなゾンビは別物と考えます。
荒くれ者のバイカー集団(自分たちの暴力的パワーを過信した者)がゾンビたちの逆襲によりズタボロに殺される展開も小気味いい。何かメッセージを込めたのかも知れないが、そういうことは無粋だから考えない。
ゾンビと対自できる存在は、バイカーやパンクス(「バタリアン」)みたいなラジカルな連中。フルチの「サンゲリア」なんかにもうひとつメリハリがないのは、それが出てこないからだな。
そして「ヘリボーイ」の役に立たなさっぷり!最高!!
何十回も観てるのだが、ゴブリンによるサントラCDを買っちゃったのでまた再見。
意外とホラー的なドロドロした要素がなく、勇ましいナンバーが多いし、牧歌的なトラックも入っている。
なるほど、この作品にピッタリのスコアである。
↑なんかもう異常に盛り上がるナレーション。
契約更新してきました。これであと二年はもつ。
この二年周期の二月ってやつは、家賃を二か月分納めなくてはいかんのである。ご丁寧に締め切り期日が二月十四日とくらあ。
尻の毛を抜かれる月間。ハートがヒリヒリする。毛穴もひらく瞳孔もひらく。
新宿西口の思い出横丁の手前に、老眼鏡とサングラスを一坪くらいのスペースで売っている爺さんがいる。
吹きさらしなので冬など寒いはずだが、あの爺さんは何十年もずーっとそこで売れてそうもない店をやってる。彼なりになにか続ける(やめない)理由があるのだろう。
さて辛気臭いので話題を変える。この空白の一行の区間、実は気絶してまして、おはようございます。
ラピュタ阿佐ヶ谷で『混血児リカ(72年)』なる作品を観てきた。赤茶けた画面が素敵な、いわゆるグラインドハウス状態。
このようなタイトルなので(まあたしかに、おどろおどろしい字面ではある)日本版ソフト化はこれからも無理かと思われる。DVDは輸入版のみ。
それよりも奇っ怪なのは作品そのもので、とにかく編集が粗い。監督はシャレオツ映画のマスターピース『月曜日のユカ』を撮った中平康なのだが、死んだら死にっぱなし、殺したら殺しっぱなしのこの粗さはどうしたことか。
自分の仲間をベトナムに売った組織と対決して少年院行き、脱獄を繰り返しては(鉄条網が敷いてある塀を気合で乗り越えるだけ!意外とかんたんです)、なぜか助太刀してくれた風来坊と共に娑婆で人身売買組織のボスたちと再び戦う、という図式だったと思う。一週間くらいたつと、あれどんなだったっけ?と印象がぼやけるくらい大雑把な映画である。
足場がぐらぐらなまま進んでいく建築現場。
主人公の青木リカはこのシリーズ以外ではお目にかからないようだが、本当のハーフらしく、でかい。
で、大根。主題歌を歌うシーンがあるのだけど、カクカク。ダンスはうまく踊れないらしい。
とにかく、堕胎/レイプ/殺人/脱走/キャットファイト/かあさんシャブ中など実にいろいろある中で(常にほったらかし・・・)、最後のテロップが『がんばれ リカ!!』
これ、結構インパクトあったので真似して自分にも言いたい。
『がんばれ オレ!!』
リカが刺青柄の変てこなマントを纏って大かつやくするらしい続編がいま公開中ですが、やはり観に行ってしまうのだろうか?