8月13日の金曜日にフォースの企画「ザ・怪談」っていうのに出ることになったんですが、どうしたらいいんすかね?そんな引き出しというか、テクニックはありませんぞ。
怖い話の類は確かに子供のころから好きなんだけど、霊感ってもんがまったくないし。
今はあるのかどうか知らぬが、昔のガキ向け怪談本は容赦なくイラストレーターたちが腕を振るっていて、それはとても怖かった。
もう一回読んでみたいのが世界の恐怖小説を子供向けに紹介した本で、タイトルも忘れたが編集のセンスふくめ、今見てもクオリティの高い「ゾクッ」を体験できるんじゃないかと思う。
H・P・ラブクラフトの短編に『アウトサイダー』という名作があって、古城にずっと閉じ込められていた「おれ」がふとしたきっかけで初めて外の世界に出て、パーティーに興じる人々の前に姿を現すが、「おれ」の姿を見たとたん彼らは恐怖に駆られて逃げ惑う。
で、鏡に映った醜怪な生き物を見て「おれ」はすべてを悟った、というだけの話なんだけど、具体的な描写を一切せず、読者のインスピレーションを刺激する。そいつが「恐怖」の本質である。
後にちゃんとした書籍で読んだ時より、このジャリ向け怪奇本の方が怖かった。その「姿」ってのもうまいことボカしていたと思う(漫画にしてた人もいたけど、あれはクソでした)。
半村良に『箪笥』という短編があって、旅人がある一家に一夜の宿を請う。
夜中に目を覚ますと、一家全員がそれぞれ箪笥の上に座って、まばたきもせずに何かをじっと見ている。
それが何なのかは一切書かれないのだが、自分が読んだ小説の中では最高にぞくりとした一遍である。
描写しない、正体を明かさないというのはかなり高等なテクニックである。
諸星大二郎の漫画で、子供がバッグの中に何か得体の知れない生き物を飼っている、なんて話なかったっけ?
この人のホラー系作品も、『不安の立像』などをはじめ(毎日ホームに「黒いいやな奴」が立っている。そいつの正体は「餓鬼」で、事故死した人間の一滴の血と一片の肉を食らうためだけにじっと”居る”のだ、という話)、なかなか嫌な後味が残る逸品が多い。
映画だとポランスキーの『ローズマリーの赤ちゃん』あたりが、非常に不気味な余韻を残します。
この作品をとったあと、嫁さんのシャロン・テートがマンソン・ファミリーによって、身ごもっていた子供ごと惨殺されたというのは有名な話である。
ところで13日の金曜日どうしよウ?
そして風邪がなおらない。
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