『越境者 松田優作』(松田美智子著/新潮文庫)読了。
松田優作の前妻による評伝。情熱と才能の人ではあるのだが、つきあうのはかなり大変ようで。
相棒だった脚本家は優作氏の訃報を聞いた瞬間、思わずガッツポーズを取ってしまったらしい。
すぐ殴るし。そんで、「殴ったほうが痛いんだ」とか言う。こういう男の理屈ってキライだ。殴られたほうが痛いに決まってる。
在日コリアンというコンプレックスについて悩み抜く。A型なのに「自分はAB型だ(国内では少ない)」と見栄を張る。
晩年は家族より、かなり怪しい宗教家に傾倒していた。ヒーローじゃない、生身の松田優作。
『赤塚不二夫のことを書いたのだ!!』(武居俊樹著/文春文庫)読了。
赤塚不二夫側近の編集者による評伝。とにかく破天荒(バイオレンス抜きの)。
タモリの才能をいち早く見抜き、まったくのド素人を自分のマンションに住まわせたエピソードなどは有名。
原稿を失くしてしまった編集者に対し、「朝までには描き直すから飲んでこい」とカネを渡す。
時折対比のように挿入される、手塚先生の性格の悪さが出た逸話もいい感じである。
この本が出た当時は先生まだ、存命中。
『エロ職人ヒビヤンの日々涙滴』(本橋信宏著/バジリコ)読了。
AV 監督・日比野正明の評伝。
エロの魔王・村西とおるに師事し、6年もの間無休でビンタを喰らい、平均睡眠時間は3時間。
とばっちりでハワイで逮捕。悶絶企画モノ・地上20メートル空中ファック。
エロ屋にあるまじきピュアラブ。そして一世を風靡した、黒木香との邂逅。
うーむ、数行で終わっちゃう。本について書くのが苦手なようである。だからブログも煮詰まる。
だいたい本なんて書いてあることを読みたいか否かであって、それが全てである。
映画や音楽や漫画なら「隙」があって、そこから言葉を拾えるが、文を文で自分なりに広げるってがどうもなあ。
(音やビジュアルのイメージを伝えたり、製作者の意図を示唆することもできるという点で、評論家ってのは必要だと思いますよ)
というわけでブログでは「本」のことからはどんどん離れていく気が。まあ本は売ってるから。いくらでも買って。