最近痺れているのが「おっぱいパブ」の呼び込み。歩いているといきなり「・・・あります!」と来る。
「あります!いやらしいの!」と続いたりする。そのうち「あります!いやらしいの!二個ずつ!!」と付け加えられそうな気がする。
昔からジャケット姿で風俗の呼び込みをしているおじさんも健在。
独特のイントネーションで「お遊びは、いかかですか?」「ファッション・ヘルスは、いかがですか?」。
あれで客が来るとも思えないから、マスコット・キャラのようなものなだろう。吉祥寺の裏名物ですぜ。
まあしかし、品がいいと思う。愛されタウンの下品度はこの辺がマックス。
根本敬『天然』(水声社)、読了。
マンガ史上最もパンチの効いたドツキ漫才コンビ・村田籐吉と吉田佐吉(しかしセンスのいいネーミング)。
根本流スターシステムの二人が大かつやくの、野球マンガである。自分が唯一好きな野球マンガでもある。
「ブタのウンチ」と呼ばれている籐吉が熱中している「牛乳のフタあつめ」がクラス中に広まるプロローグからして何とも脱力なのだが、彼は野球選手として秘めたる才能を持っていた。
で、村のお大尽の息子であるところの佐吉が、ってああもうめんどくせえ。
とにかく、全てのエピソードが下品。佐吉の父親、ブレーンの医者、クラスメイト、教師、登場する爺さん婆さん、ラストに登場する川上選手との邂逅など、すべてが下品、かつ、まぬけ。それだけで成り立っている作品。
ストイックですらある。「崇高な下品」と呼んでもよろしかろうと思う。すべての受難を受け入れる籐吉はキリストのようでもある。
キャラたちの「ぬくもり」(当然加齢臭つき)さえ伝わってきそうな絵からしてダメな人はダメでしょうが、このまぬけエピソードが驚くほど緻密に構成されており、何だかよくわからない感動(!)のラストに繋がっていく。
この構成の妙は、根本版SFであるところの『ミクロの精子圏』『タケオの世界』にも顕著。
(ところで自分はSFがダメである。大友克弘『AKIRA』の2巻まで読んで挫折してしまった。この、名作と呼ばれる作品にすらついていけないのですよ。つうか、あんまり謎が謎を呼ぶなっつーの!)
しかし、野球が好きな人ってちょっとうらやましい。
勝敗で一喜一憂し、ひいきのチームには一生ついていくほどの一体感、そして不特定の人と話せる話題(これは社会人として大事)。
スポーツ全然わからないというのはこの歳になって、人性損してる(嫌いな言葉だが)と思う。