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とりあえず毎日何かを読んではいるのですが、違うマンガを別々に2巻まで読んだらこの文庫ってな感じの本詠み散らかしの日々。ゆえにブログネタとしては印象がはっきりしている映画や音楽に寄りがち。
ところで最近もっとも感動した一冊が故・バウスシアターの元スタッフ女子が貸してくれた大越孝太郎・『天国に結ぶ恋』(青林堂)である。
時は大正十二年。シャム双生児の兄妹が主人公(医学的にはあり得ないらしい)。
男児は虹彦、女児はののこ。二人は腰で繋がっているが、ののこは生まれてから一度も目覚めたことのない昏睡状態のまま生きている。
この発想、筆致のエロティックなこと。エログロはまず絵が美しくなければ成立しない。どれだけ猟奇的なことを描こうが著者の絵は美しいのである。近親相姦的な匂いも醸し出し、ぞくっとするような耽美・背徳感が漂う。
関東大震災の衝撃によりののこは覚醒するが、家族がバラバラになってしまったところを見世物小屋のスカウトマン・ハクダミに目をつけられ、そのまま「くっつき」として一座のメンバーになる。
見世物小屋を舞台とした作品は丸尾末広の『少女椿』が有名だが、あちらがパラノイアックに展開するのに対し、この大越作品は、すげえいい話であります。
ハクダミはライ病の母親から生まれ、自身もスキンヘッドのなかなか凄みのある形相をしている。
が、彼は「片輪者(オレたち)は仲間がすべて。鬼ばかりの地獄でも誰かひとり、信じあえる相手がいりゃあ、そこが天国と思え」のポリシーのもと、ビジネスとして見世物稼業の裏方をしている。
自分たちの特殊能力を生かし、自分たちのコミュニティを作って生きようとする、理想の男なんである。
後半は興行先のヤクザ者たち襲われ一座は皆殺しにされてしまうという、かくも残酷な展開になるのだが、実はこの作品は「第一巻」である。
未完ではあるが、ここまでの完成度の高さに「これで終わりでもいいや」という気にさせられる。
続くのであれば「成人した虹彦とののこの更なるエロティックな関係」なんて展開を勝手に期待してしまうのだけど、シャム双生児の近親相姦まがいなどというヤバい題材を載せてくれる媒体が果たしてあるかどうか。
グロテスクなテーマに入れ込めば入れ込むだけ、大越孝太郎の絵は妖しく輝く。この艶っぽさは絶品。
ところで本作は結構なレア本である。どこかで安く見かけたら購入をおすすめします。すうさい堂には売ってません。