一歩も外に出たくないような暑さが続いてますが、そんなわけでうちの前の通りもガラガラです。安心してお昼寝ができます。多分人類は滅亡したもよう。
しかし夏といえばチューブですね。特に『あー夏休み』なんて、一字一句自分のボキャブラリーにない歌詞満載の名曲です。なんなんだ「hold me tight 夢とちゃうのかい」って。まったく天才すぎる。
そんなわけで少し身近なCDをかけて安心してみる。「スーサイド(suicide)」である。
スーッと来て、サイと来て、ドで締める、単語の響きが好きだ。正確にはスイサイドだが。
血垂れ文字のジャケで有名なファーストは電子パンクの名盤。断じてテクノではない。このアルバムを「砂糖を口いっぱいに詰込まれたような不快感」と評した人がいた気がする。たしかにシンセがびよんびよん鳴ってる中をボーカルが絶叫するような曲もあるが、時折すごくチープながらもスイートな曲も入っていたりして、つまりはいやがらせである。これに比べたらゴスの様式美バンドなんて全く健全。
パンクの衝動と気取ったアートセンスにバブルガム感覚を仕込み、ぺったらシンセで仕上げ。
77年のニューヨークに生まれた、ロックンロールの奇形児である。もはやどこに影響を与えたのかすらわからない孤高の一枚だが、垂れ落ちた血糊の先には様々な魑魅魍魎が蠢いているに違いない。
それにしてもこの「血文字バンド名ジャケ」のインパクトは、わが国が誇る「アナーキー」のファーストとタメを張るなあ、と思う。
で、ほとんど無視し続けられている彼らのセカンドだが、実はこれも名盤。
一曲目のヘタレNWディスコを聴いてガッカリすることなかれ。このクソみたいなセンスを楽しめばいいんである。
大失敗したペットショップボーイズみたいなのもあるが、「電子ブギー」なナンバーはさらに分厚く。
だいたいジャケのメンバーのファッションセンスが異常だ。一体どんな音楽をやっているのかさっぱりわからん。それでもバンド名は『自殺』。わけがわからん。
ファーストが砂糖なら、セカンドは「らくがん」を詰込まされたような不快感。あの菓子は昔から大変苦手である。
ダンサブルになった、と言えなくもないが、ボーカルがまるで楽しそうでない。ひたすら鬱である。鬱病を発したエルヴィスの声?前作のほうが唸り声や悶え声を使い分け、まだ士気は高かった気がする。
このCDは2in1で、二枚目には初期のリハーサル・テープがたっぷり収録されている。
溶けそうなシンセサイザーとナルシストの鼻歌のようなボーカル。未完成ながらある意味完成品。ライブでは客に掴みかかり、チェーンを振り回すなどの暴力衝動をぶつけていた。
どうにもならない、退廃しか感じられない音楽。だがそこが最高。
石野卓球氏がセカンドに収められている『Dream Baby Dream』を強力に推している。なるほどね、である。
しかもバンドはちょこちょこ再結成しつつ、まだ解散はしていないらしい。「自殺」を名乗るやつは意外としぶとい。