さっき電卓をはじいてみたら今月けっこういいじゃん!などと思ったのだが、よく考えたらよそ様であれば真っ青になるような数字である。
うちの強さはいろんなアクロバットでなんとか続けてるということである。店をつぶさないコツを教えましょう。それは店の売り上げに頼らないことであります!
とにかくゆるい。しかしそれも長続きのコツで、ギッチリやってたら私、とっくに胃潰瘍になってます。
出稼ぎして店開けて余暇で無理矢理遊んでるもんだから毎日忙しい。とにかく男におモテになるんである。女性とのつきあい方はすっかり忘れてしまいました。
ミュージシャンになりたい。俳優になりたい。アイドルになりたい。芸人になりたい。デザイナーになりたい。カメラマンになりたい。作家になりたい。絵描きになりたい。
それ、全部なれますから、安心して下さい。ただし「食える」かというとそこは別問題。
そこはそれ、ということでやる気があれば続けたらいいんである。あんまりきれいに生きるこたねぇやな。
むしろ、ダラダラ続けてる奴のほうがカッコいい。
というわけで、最後まで変態ロックンロールショウを続けてくれたザ・クランプスはとても誠実なバンドだったなあと思う。セカンド『サイケデリック・ジャングル』を最近はよく聴いている。
サイコビリーというとスラップベースが「伽伽伽伽伽」と唸り、ダミ声ボーカルでぎゃーっと突進するのが定番だが、このアルバムのゆったりした雰囲気はとてもクールだ。
ギター2本。グレッチとファズの絡みが絶妙。ベースレス。ドラムはほとんどオカズを入れない。
そこにエルヴィスとフランケンシュタインのMIXモンスター、ラックス・インテリアの艶っぽいボーカルが乗る。実は正統的なロカビリアン歌唱をちゃんとマスターしている人だ。
スカスカなんだけど、実に豊穣である。こんなに色っぽいガレージ音楽を他に知らない。
ファーストのはじけたトラッシュ感や、中期以降のまさにサイコビリーなノリの良さはないんだけど、クランプスの最高傑作だと思う。
マニアックなロカビリーのカヴァーが多い。ラックスとポイズン・アイビー夫婦は本物の音楽オタクである。クスリなんかに手を出してる暇はない。
そんなものに使う金があるなら、レアな7インチを買っちゃうんだろうから。
ライブにおける、キッチリとコントロールされた狂気。エンターティナーであり、プロフェッショナルであるということ。暴力性のカケラもない、至ってピースなバンドであった。
精神病院の患者とコラボ出来るのも彼らだけで、普通のバンドはそこまで「降りて来て」くれないんである。
数年前にラックスが心臓疾患でロカビリー天国に召されてから、妻でありギタリストであったアイビーは今どうしてるんだろう。すっかり老け込んじゃったかな。
このアルバムは彼らのファースト・シングル「gravest hits」とカップリングで売られているものがあって、当然そっちのほうがお得なんだけど(「ヒューマン・フライ」を聴いてくれ!パンクもロカビリーもガレージもぶっ飛ばした最狂のロックンロール・ミュージックだ!)、ジャケも二分割されちゃってるし、この作品本来の隠微さを愉しむのであれば、単独盤のチョイスをオススメする。