思わぬ拾い物ってのはあるもので、最近観た映画で一番面白かったのは『デンデラ』(監督/天願大介・2011)である。面白いとは「笑いを禁じ得ない」という意味で。
姥捨て山の話である。そこまあではまあいい。ところが、どっこい生きてる山の中(ド根性ガエルっぽく)。
捨てられた老婆のうちの一人・メイ(草笛光子)がしぶとく生き残り、婆さんのみ助け出し(男は無常にも見殺し!)「デンデラ」なるコミューンを作り上げる。カユ(浅丘ルリ子)もメンバーによって命を助けられた。
そこで婆さんたちは何をしているかというと、自分たちを捨てた村を奇襲するための軍事訓練を行っているのである。いひ。いひひひひ。
メイが百歳になりいよいよ村への復讐決行!という直前、デンデラはヒグマに襲撃される。
ボスのメイが「熊なんぞおそれるな!こっちは40人もいる!」と、むちゃぶりな発動命令を下すが、どんどこ惨殺されるおばあちゃんたち。とにかく「熊(もろに着ぐるみ)とバトる老婆の戦闘集団」という構図が面白すぎる。はひはひ。
眼帯姿の賠償美津子は出て来るわ(カッコいい)、大雪崩は起きるわで、ノリとしては完全にB級アクション。
予告編を見ると「命とは?生きるとは?」みたいなことを問いかけているよな気がするのだけれど、なんにも答えてません。勇気や希望をもらおうとして、この作品を観たお年寄りの方々はどう思ったのだろうか?
なにしろ、自分たちと同世代の婆さんたちが熊によって次々と血祭りに上げられていくのだから。
先に挙げた面子に山本陽子を加え、往年の大女優の競合!というノリなのだけど、出来たのがこのトンデモ作品っていう。いやしかし、最近の邦画では最もアナーキーなパワーを感じた一本。世間の評価が低かろうが関係ない(婆さんたちが村を襲撃して男たちを皆殺しにするシーンがあれば、もっとよかったが)。
煮詰まったら「デンデラ~!」と声に出してみてほしい。きっと勇気がもらえる。かもしれない。
明日とあさっては心の洗濯のためお休みデス。よろしくお願い致します。