ラピュタ阿佐ヶ谷にて『鉄砲玉の美学』(1973年/監督・中島貞夫)鑑賞。
オープニングからいきなり頭脳警察の『ふざけるんじゃねえよ』が流れ、トバす。
早すぎる完璧なパンクである。これは上がるよ。大好きだ。
「ふざけるんじゃねえよ/てめえの善人面を/いつかぶっとばしてやらあ!」
渡瀬恒彦演じるのはウサギ売りのテキヤ。が、商売はうまくいってないし、麻雀は勝てない。ソープ嬢、いや間違えた、トルコ嬢と同棲している。
このトルコ嬢がウサギに餌をあげていると知ると「でかくなったらどうするんじゃ!あれはこまいのが価値なんじゃ!」と、ぶち切れ殴る蹴る。
そんなどチンピラの彼が鉄砲玉として抜擢される。ピストルと百万円を渡され、しっかりカチこんで来いよと。それをきっかけに、彼の属する組織が九州に進行するための口実なのである。
つまり死んで来い、と。
(ピストルを持った渡瀬のバックに、同じく頭脳警察の『銃をとれ』が流れるのだが、この歌はそういう意図で作られたんじゃないと思う。ははは)
ミッシェルガンエレファントみたいな黒スーツを仕立て、夜の街を豪遊するが、なかなか実行には至らず。
ビビッてしまう。実際のところ、チャカが怖くて撃てない。
川谷拓三とバトったり、杉本美樹とファックしているうちに、両組織が手打ちとなり、彼はまったくの用無しとなる。『鉄砲玉の美学』というタイトルは、完全に皮肉なんである。
そして本作品のラストは、「ジュピターまで」でお馴染み、松田優作IN『蘇る金狼』とそっくりであった。元ネタか?
最後の最後に頭脳警察のレアな名曲・『今日は別に変わらない』が流れる。
どれくらいレアかっつーと、ユーチューブでもアップされてないというくらいレア。
ATGがヤクザ映画を撮るとこうなっちゃうという。最底辺の若者のロードムービーみたいな趣もあり、「仁義なき戦い」以降のヤクザ映画の中でも最高傑作なんじゃないかと思うが、本作はDVD化もVHS化もされていないらしい。鑑賞するなら今です。
明日は短編映画撮影(「毎日ぞんび」の続編だよウ)のためお休みさせて頂きます。また給料日直後の土曜に休むという大胆さ。