昨日のブログを書いていてふと、「ニルヴァーナが解散できれば、カート・コバーンは自殺しなくてすんだかもしれない」と思った。
かの『ネヴァーマインド』は、完成度が高すぎた。誰が聴いても最高傑作でしょう。これを超えるのはかなりしんどい荒業で、結局ニルヴァーナはマイナー然としたグランジバンドに戻っていった。
なんだけれども、ポップスターとして期待される部分と、自らのアングラ資質との折り合いがつかなくて、自分の頭を打ち抜いてしまったんじゃないだろうか。
カートはポップスターを「降板」した。なんちゃって。
まあ、ジャンキーの自殺だから突発的なものだったのかもしれないけど、基本的にアングラくんは精神が脆弱なので、カートも永ちゃんの「成りあがり」くらい読んでおけばよかったのに、と思う。
かのセックス・ピストルズは『ネバー・マインド・ザ・ボロッカス』というアルバムを作ったが、これも二枚目が考えにくいくらい、完成度が高い。クラッシュは成長するバンドだったが、ピストルズはファーストにしてここまでやってしまった。
昔から、「メンバーは演奏してないんじゃないか」と言われ続けているレコードだが、そういったオーバープロデュース気味の胡散臭さも含めて名盤である(多分ベースの方はプレイしてないと思う)。
特に「プリティ・ヴェイカント」なんて、イントロ・サビ・PVのビジュアルイメージも含めて、世界最高のロックンロールだと思っておる。今の感性で聴くと全然早くないし、パンクにすら聴こえないかも知れないが。
ともあれ、ピストルズは一枚だけで解散できたので、少なくともジョン・ライドンにとってはラッキーだった。
おかげで彼だけは前進することができた。初期のパブリック・イメージ・リミテッドの実験精神はめちゃめちゃクールであった。
で、あんまり関係ない話なんだけど、超絶技巧を披露するブルースハープ奏者っているじゃないですか。
そういうのって「上手ですね」とは思うんだけど、あんまり感動しない。何故なら確かに「ハーモニカ」は吹いてるんだけど、「ブルース」がどっか行っちゃってるから。
リトル・ウォルターやルー・ルイスといった極道者が吹くハープは、その隙間から「殺気」がみなぎっている。
「電気楽器なんかに負けやしねーよ」という心意気。そいつがブルーズ。
この記事にトラックバックする