『ストーンズ・イン・エグザイル』。
勘違いしてはいけないのは、ミックがエグザイルに新メンバーとして加入したわけではなく、72年に発表された『エグザイル・オン・メインストリート』というアルバムのドキュメント映画ということ。
初日にバウスで鑑賞して参りました。
バンドは絶好調。ミック・キースはもちろん、チャーリー・ワッツのクールな存在感にも注目したい。
ストーンズというとすぐに「やつらのロックンロールな生き様が」とか言われ勝ちだけど、めんどくさい論議である。実際に生粋のロッカーはキースだけで、チャ-リーはジャズの方が好きだし、ミックはビジネスマンで俗物だし(そこがいいんじゃない!)、ビル・ワイマンなんか輪をかけて俗物だ。
(ゴダールが「悪魔を憐れむ歌」の製作過程を撮った映画があるけど、その中でもビルは自分のパートであるベースをキースに取られても、平気でマラカスなんか振って、「フッフー」とかやってた。仕事に対するこだわりはあんまりないようです)
そんな人たちが出す音やパフォーマンスはロックンロールとしか言いようがないもので、それだけが重要。キースの真似しようったって出来るわけないんだから。彼らのタフさは見習うべきだが。そして多分最後の名作が、『メインストリートのならず者』。
南フランスの地下室で録音された二枚組は、ベストを聴いたから次これいってみよう!のノリで聴くとついていけないであろうと思われる、ディープで混沌とした作品。そして、クスリ臭い。ジャケも見世物小屋の芸人やフリークスの写真を使っている。
「ハッピー」「ダイスをころがせ」のような有名曲より「シェイク・ユア・ヒップ」「カジノ・ブギー」「ヴェンチレイター・ブルース」のようなドロドロナンバーが真骨頂だと思う。
各種のアルコールやドラッグをキメて、おセックス様(ジョージ秋山風)をして、セッションを重ねても、彼らにとってはそれが日常で仕事。
「生活の糧」のバリエーションのひとつであり、それでおまんまを食ったりおまんこ(おセックス様)をしたりしているという点では同じこと。
てことはネクタイ締めて文字盤を叩いたり、制服着てレジを叩いたりしている我々も全員「ロッカー」であるという自覚を持つべきである。今すごくいいこと言った。
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