ぼちぼち今年もバウスシアター『爆音映画祭』が開催されるのですが、今年のラインナップはなかなか琴線に触れるのであります。去年は「狂った野獣」しか行かなかったからなー。
とりあえず「つまらなかったら金を返す!(なんで?)」とまで言われた『ピラニア3D』は行こうかと。志賀勝とかの「ピラニア軍団」がゾンビ化して襲ってくる映画ではないですよ、ちなみに。
クエンティンくんも痺れた仁義なき戦いの最高作『広島死闘編』。例の「パララ~!」を爆音で浴びたらきっと気持ちよい。
辰兄い等、死んでも別人として生き返る常連ゾンビ陣はもちろん、姐さんカジメイ・予科練帰りのキタキンとキャストも豪華。
そして!画策したり悩んだりと、ヤクザのケツの穴の小ささを描くことに重点を置いたこのシリーズ中、まったく何も考えてないスカッとさわやか暴力装置のサニー千葉!!チバちゃんの豪快な「股間掻き」をスクリーンで!
「1」は劇場含め数回観たが、マカロニウェスタン風の設定が意外と楽しめるのではないかなと思われる『キル・ビルvol2』。「地味」という印象が強くて一回しか観ていないのだった。
(ビル役のデビッド・キャラダインはクローゼットで全裸になり、首を吊りながらオナニーしてたら酸素欠乏で死んだ、とってもロックな72歳!!)
ジプシー音楽も好きなので、『アンダーグラウンド』も気になる。3時間と、ちと長いが。
で、個人的に白眉なのだけど、ロシア製作・ナチの蛮行を描いた『炎628』(DVDがアマゾンでプレミア高騰)と、和製スプラッタとして名高い『怪猫 呪いの沼』(猫さん好きあつまれ!)。
この辺を鑑賞して「どよ~ん」となって帰ってこようかと、思うわけです。
当然ながら、劇場にいる間はお店開いてません。すいません。いっしょにいってくれる人もぼしうちう。
多忙を縫って(わら)、阿佐ヶ谷ラピュタにて『ヘアピン・ザーカス』(72年・監督/西村潔)鑑賞。
まず、ドライバーの目線で、高速で前を走っている車をブンブンブンブン追い抜いていく冒頭から持っていかれる。
もうこれ全編、許可を取っているとは思えないゲリラ撮影。一般車が走っている公道にてブリブリとカーチェイスを繰り広げます。製作者の姿勢が一番、「不良」なんである。
そしてイケてる当時の不良はジャズ。音楽がブリブリのクールジャズ(これに関しては以前、爆音映画祭で観たときのほうが数倍気持ちよかったが)。
ストーリーは単純で、元レーサーの教習所教官(俳優ではなく、本物のレーサー)が、じゃじゃ馬ちゃんの担当になるが、スピード狂の娘さんはなかなか素直に従わない。どうやら教官に惚れているようなのだが、彼の方がクールで相手してくれないのも面白くないらしい。
そのうち娘さんはトッポイ男たちと組み、走行中の車を挑発し、カーブまで誘ってそこに激突させることを生きがいとする「ヘアピン・サーカス」を結成し、夜な夜な獲物を狙って走る。
これはよろしくない!と教官はサングラスで目を隠し、わざと連中の挑発に乗り、逆に彼らを撃墜していく・・・・といったところ。
五木寛之の原作では「刹那の快感に生きる若者たち」みたいなものがテーマなのかも知れぬが(未読)、映像作品として、ジャズとカーチェイスに感じ入ればいいと思う。
何にしてもストーリーはさほど重要でない。ネットで予告編も発見したが、あれはこの映画の良さを伝えられていない。
スピードレーサー・はすっぱガール・夜のィヨコハマ、が三大要素。つまり、クレイジーケンバンドの世界。イイネ!イイネ!イイネ!
車を運転できない自分が推すのだからこの作品は本当にすごいです。
自分が今まで生きているのは運転免許を持っていないということがかなり大きいと思われ、下手に運転など(いやいやながら)していたら、多分死んでるか人様を傷つけてます。それもかなりトンマな理由で。
スピード、ギャンブル、ナンパなど、スリルを嗜好する感性がまるっきり欠落しているらしい(よかったね)。
生きるか死ぬかのスリルこそ人生さ!ってな生きざまもあるとは思うが、そういう方は古本屋はできませんな。のへ。
で、思い出したんだが、就職活動に失敗して自殺する若者が急増しているらしい。
去年は150人死にましたとさ。のへ。
真面目っつーか、きっと自殺するようなキャラでもなかったのであろうし、親御さんも寝耳に水だったんではないか。
ところで、就職先ってのは実は山ほどある。タウンワークなどをチェックしたらよろしい。
もちろん、いわゆる一流企業の社員なんか募集してねーよ。でもそこは「ホワイトカラーがダメならブルーカラー、あるいは店員」と発想転換というか視野を広げればいいわけで、それじゃイヤなんで死にますという精神は非常に卑しいものだと思うので、そういう腐れ根性はこの世界に必要ないと思いますんで、きっと死んで正解です。
フリーターになる、自分でなんかやる、親の脛をかじる、ひきこもる、などの選択すら出来なかった哀れな奴ら。
前にも書いたが、命は平等かも知れんが、死に方に計量はある。
理想の自分は一歩下げて、最悪な自分の許容範囲を一歩上げれば、なんとかやれるんじゃないかって話だとは思うのだが、まあ別に死にたい奴は死ねばいいさと。バッハハーイだ。
いい友人や表現に出会わなかったんだろうな、ってことに関しては多少、同情もする。
「なんか世の中、意外といろいろ面白いもんがあるんじゃないか?就職してる場合じゃないんじゃない?」と思えれば、もうちょい長生きできたかもな。
ダハハハハハ!!(と、吉田豪風に笑ってみる)
先ほどバウスシアターの女性スタッフさんがフライヤーを持ってきた。珍しく袋に入っているので何の映画かと思えば、『アーチー&シパック 世界ウンコ大戦争』。http://www.aanss.jp/
「ヒミズ」じゃなくってコレかーい。しかもウチを狙い撃ちってのがいいと思います。劇場はすぐ近くにあるのだが、さすがに「素」で持ってくるのは抵抗があったんだろうなあ。絶対ジャンケンで負けたでしょ?
『史上最もがんばる方向を間違えた”クソ映画”』、『全てハッピーで片付けるディズニーと、カッコ良すぎるジャパニメーションはクソくらえ!!』と、コピーもなかなかふるっている。
しかしミッキーマウスに浣腸しちゃまずいだろうと思うんだけど、この映画の完成に7年と3億5千万かけたという肝の据わった連中からすれば、「いーやー、ありゃー単なるネズミだー」と、平気ですっとぼけるのだろう。
韓国人監督が撮った『僕の彼女はサイボーグ』ってのを観たのだが、ショートボブの綾瀬はるかは最高にかわいいのだけれどもそれ以外はどうしようもなく陳腐で、ああなるほど韓流ってこういうものか、と一応納得したのですが、ソウルのアンダーグラウンドにもこんな怪作があったわけですね。どちらをクリエイティブと呼ぶかは個人の感性に委ねるところではありますが。
しかし粗筋を読んでもさっぱり内容が理解できないんだけど、これは映画を観に行くべきなのだろうか。「死ぬほどアホで、途方もなく下品、そして最高にハイクオリティ」ということなので、行ってみようかね、料金サービスデーの時にでも。ははは。
本当は下ネタってのは一番センスが要求されるものなのだ。かのダウンタウン然り。
酒飲む時の最高の潤滑油であり、そこにアートや哲学の話を振ってくる高尚なお方とは同席したくない。それってセンスないと思うし、だいたいそんなことはシラフの頭で考えろって。
そういえば自分の一番苦手な酒は「泡盛」という事実が最近判明。朝起きたら二日酔いで、何気にグレープフルーツジュース飲んだら気持ち悪くなって吐いた。とってもフルーティーなゲロでした。
阿佐ヶ谷ラピュタにて『女体』鑑賞(監督・恩地日出夫/64年)。
上映前のアナウンスでは「じょたい」と読まれていたが、これはやはり「にょたい」ではないでしょうか?にょ。
内容は『肉体の門』+αだが、この作品には本当の「屠殺」シーンがあり当時非難轟々、そのお陰で恩地監督、しばらく干されたらしい。
自分なんかは「演技として」やり切ってしまった出演者の役者根性がまずすごいよな、と思ってしまう。
が、そのシーンのおかげで「食糧難の時代に貴重な牛肉を貪り食う至福の光景」がリアルに捉えられた。
殺された牛さんも本望ではないか。だいたい出来上がったものにはうまいうまいと舌鼓を打つくせに、途中経過を見せられると残酷だ不快だと騒ぎ立てる神経がよく分からん。じゃあ食うな。経過を伴わない結果ってのはこの世のどこにもないんですぞ。
パンパンから這い上がり平凡な主婦になった女とクラブのママになった女、どちらも自分の生活に不満がありお互いをうらやましく感じている。自分は女心を理解しようという気がさらさらないので、「そんなもん、どっちかじゃ」くらいしか感じなったが、この映画のテーマはその辺なんですか?そうですか。
よく考えたら「文芸作品」特集で、招待券をもらったゆえ足を運んでみたのですが、なんだな、「女の恋愛談義」と「男の武勇伝」ほど、つまらない話もないな。もちろん、したって構わないんだけど、「自分で自分を茶化せない人」はだいぶ低評価だから、僕ん中では。
それより「男好き」としては、特攻帰りのワイルドガイではた迷惑な自死を遂げた、南原宏治である。
この人どこかで強烈な役をやっていたなと思ったら、鈴木清順監督・『殺しの烙印』の、殺し屋ナンバー2じゃないですか。
宍戸錠を監視するため互いを手錠でつなぎ、目を開けたまま爆睡、シッコもそのまま垂れ流しという怪演を見せた。この映画ほど隙がないくらいスタイリッシュかつ、ナンセンスな作品もないかも知れない。初代ルパン三世の「あの空気」が好きな人はたまらんよきっと。ヘロヘロな主題歌も痺れるぜ。
http://www.youtube.com/watch?v=5kqOxJDZFso
先日は体調を崩して一日寝ていましたが、いくつになってもこの無為な時間はなかなかよいもので。
三鷹武蔵野ケーブルテレビですうさい堂が放送されたDVDが送られてきたので見てみたが、なんとも客観的に自分って気持ち悪い。無為である。
無為なのでツタヤ100円セールで借りてきた映画を観ていた。
『おっぱいバレー』。
ダメなバレー部が試合に勝てば顧問の先生がおっぱいを見せてくれる約束をしてくれたので俺たちがんばる!という内容をよくぞなかなか甘酸っぱく作品化したと思う。
ただ、主演が綾瀬はるかさんでなければ手をつけていないであろうと思われるので、そこが問題っちゃあ問題。悪くないっすよ。
といった感じでさくっと流しつつ、増村保造監督の『盲獣』(1969)。
これは原作の江戸川乱歩本人が「ひどいエログロ」と無為な発言をしていて、なかなか素敵にヒドイ小説ですが、この映画はなかなかでございます。
まず主演の緑魔子がすげえ美人。今風美人。ベストオブ魔子。
ヌードモデルとして活躍するマコを自宅のアトリエで女体パーツのオブジェをつくり続けている視覚障害者(童貞)・船越英二が誘拐、僕の「触覚芸術」のモデルになってくれ、とせがむ。もちろん監禁で。
大小さまざまな手足・パイオツ・ツーケーのパーツ別オブジェが続々と現れるシーンは、なかなか悪趣味で痛快。
ここで原作にないキャラが登場。白い割烹着のおばちゃん、つまり「盲獣」のおかんである。
「あたしゃ息子のためならなんだってするよ!」と逃亡しかけたマコを長ネギ入りのカゴを持ったままでがっつりキャッチ。おれはこのシーンで爆笑した。
滅多なことでは逃げられぬと悟ったマコは色仕掛けを開始。「あなた、女を知らないんでしょう?女って、とってもいいものなのよ~」。
それを見て嫉妬にかられたおかんはマコを逃亡させようと画策。
ところがエイジにばれてしまい、すったもんだの挙句、おかんを殺してしまう。火事場の童貞力。
怒ったエイジは「もう二度とお前をはなすもんかあ!」と暗いアトリエに幽閉し、二人でエロいことばっかりしているうちに徐々にマコの視力が衰えてくる。
「あなたに愛を感じているの!」とマコからコクられたのを契機に「触覚の世界」に溺れたふたりは、噛む、縛る、ムチる、刺すの変態三昧。
更なる刺激を求め、ラストは満を持してマコからの「手を切って!」「脚を切って!」の超過劇リクエストに「出刃包丁とトンカチ」で応えるエイジ!マコの手足が切断されるたび、石膏の手足もボトリと落ちる。血は見せない。今の監督だともっとストレートな表現をするのだろうが。
わかばマークがいきなり改造車で高速に出てはいけません、という教訓も少しある。いや、ない。
といった感じで完全にネタバレなのだが、ちゃらけた文章に騙されたと思って鑑賞してみれば、猟奇ロマンとか、昭和モダニズムとか、アングラ演劇空間とか、おかんと割烹着とか、いろいろ堪能できると思います。
しかし船越英二って、自分の世代的には『熱中時代』の校長先生役が思い浮かぶのだが、レベルの高い変態役者でもあったわけで。それにしても緑魔子さんが美人。目で殺された。