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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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26世紀のアメリカは2020年の日本だった



数年前に観たときは笑えた。アメリカはやっぱアホの国だなあと。
観かえしたらやはり笑えるのだが、認識としては「これ今の日本じゃ・・・」などとゾッとするような感想を抱いてしまったのが『26世紀青年』(2006)である。

2005年、アメリカ陸軍は極秘裏に人間の冬眠実験を開始する。実験体に選ばれたのは平均的な能力を持った軍人ジョー・バウアーズと売春婦のリタ。1年間の計画だったが、極秘実験の責任者がリタの彼氏の売春組織との癒着が発覚して麻薬不法所持と売春あっせん容疑で逮捕されたため忘れ去られ、二人は500年後の未来に目覚めることになった。500年の間、賢い者が極端なK戦略をとって子作りを控える一方で知能の低い人間が極端なr戦略をとって野放図に子供を作り続けた結果、平均IQが低下し堕落した社会となっていた。ゴミがひたすら積み上げられ、砂嵐が吹き荒れ、農作物は育たず、水の代わりにスポーツドリンクが供給されていた。元の時代に戻るためにタイムマシンを探すジョーは、周囲から馬鹿にされたり刑務所に収監されたりしながらも、この世界の生きている人間の中で一番のインテリであったため、内務長官に任命され、農業の復活と砂嵐を止めさせられる羽目になる。(らくちんウィキペディアコピー)

バカのねずみ算のおかげでバカしかいないバカトピア社会。バカ市民たちのぼんやり演技が見ものだが、後にジョーと行動を共にすることになる常に口半開きのバカ弁護士のボンクラぶりは特にお見事。
裁判シーンもメチャクチャで最高なのだが、果たして今の日本の司法が機能しているのかと考えるとあれやこれやで相当お粗末なもので、司法・立法・行政の分立もえげつなくぐちゃぐちゃになりつつある。
この社会では腕に強制的にタトゥーを彫られてコンピューターで個人を認識されるのだが、その際ジョーはマシンに名前を聞かれたときに不貞腐れて「そんなの知るか(ノット・シュア)」と答えてしまったのでそのまま彫られてしまい、彼はずっと「そんなの知るか」と呼ばれる羽目になる。これがまともな人の名前かどうかの判別もできない素敵なバカの世界。
スターバックスは風俗店となり(怒られるぞ・・・)劇場では「しり」なる映画が大ヒット、お尻が延々と映されおならをブーブーしているだけの内容で観客が爆笑している。国民がアンディ・ウォーホル的な前衛を理解している、というわけではなさそうだ。
究極の平凡人だったジョーがバカ社会では「天才」であり、なんだかんだで大統領に任命されて内務長官をやらされるハメになる。この大統領ってのがマッチョの黒人で元プロレスラーにして元ポルノスター、激情するとマシンガンをぶっぱなす。
官僚たちもずらっとバカ・アホ・お色気担当のボイン姉さん・ガキんちょ。しかし日本自民の「お友達人事」も同じようなもんで、元スピードを選んだ奴はそのときスピードを食っていたのであろうし、セクシー環境大臣のコント答弁はいつも期待を裏切らない。
そして全員バカ丸出しのデカい「議員ペンダント」をぶら下げている。とにかくバカは誇示したいのだ。

ジョーは「作物がゲータレードで育てられている!」と、その超平凡かつ超天才的な頭脳で気付く。
「これじゃ枯れるのが当たり前だよ!水をあげないと!」
(ちなみに彼のまともな喋り方はこのバカ社会で「カマっぽい」と常に嘲笑される)
するとバカも長い年月をかけて完成しているので「水ってトイレに流すやつだろう?」と返されるのである。
実はスポーツドリンクの会社が国を買収してすべての水の代わりにゲータレードを使用させているのだが、ジョーはこれをやめさせて水で作物を育てることを決定させる。
すると多数の国民が従事する「国策」であるところのスポーツドリンクの収益が傾き、経済破綻を引き起こしてしまうのである。ちなみに必要ないと言われているにも関わらず、おいしい利権のために止められないものってがありますな。「原発」とかね。ぶっちゃけ東京五輪も本作のゲータレードと同じようなもんじゃないか?とは怖くて言えない
そして彼に待っていたのは「リハビリ」と称される公開処刑(この辺のセンスがブラックでいい)。
ここで終わると真っ暗なディストピア物語なのだが処刑人も漏れなくバカであり、漂流教室的に言えば「僕らは未来に蒔かれた種なんだっ!!」という感じで、一応のハッピーエンドで蹴りがつく。「ノット・シュア」の名義はそのままではあるが。

権力は常にバカにしなければならない。そのためには山のようにブラックコメディを観たり読んだりする必要がある。バカ映画は思考停止ではない。常にアンテナを張っておく必要がある。一番ろくでもないのは「犠牲は素晴らしい。泣けます感動です」ってやつで、あの手の作品は究極の思考停止である。
政治的というのは実は「生理的」に湧き上がる感情であり、イラッ!としなければ誰も政治の話なんてしたくないのだ。

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