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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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イレイザーヘッド=バス男



はい、お疲れ様です。店のことで書くことは何もありません。
リニュウアルオープン前に新宿をふらふらしていたら「デヴィッド・リンチの映画」なる催しを発見。
引き込まれるように『イレイザーヘッド』(77)を観てしまった。VHS(ダビングして観まくった)での鑑賞以来だから本当に久々だったのだが、まずモノクロ映画としての「画面の暗さ」がすごいなと。話の暗さももちろん、画面が停電しているかのように真っ暗。
奇形の赤ん坊を置いて嫁が家出してしまったので、一人で育てるはめになってしまった男が見る鬱々とした幻想を映像化したもの、といえばもっともらしいのか。
ウサギの丸焼きがモデルとも言われている赤ん坊はグロテスク。しかも普通の赤ちゃんと同じように泣くので、二重の意味でグロい(東京コミックショーの「レッドスネークカモーン状態」で操作しているのがバレバレ、ではあるのだが)。
延々と悪夢が続く。が、時々笑っちゃうブラックジョークみたいなものも放り込まれ、「はずしの美学」はこのデビュー作ですでに確立。
とはいえこの悪夢は大変魅力的なので、吸い込まれるように何度も観たくなる。変態上等である。
首チョンパされた主人公の首が格子模様の床に転がって、血(?)が流れ床が真っ黒になっていくというシーンはカッコいい。センスがあるナンセンス。
登場するキャラとしては、頬に肉腫をつけた女性(「こぶ子さん」と命名)が強烈。こぶ子さんが上から降ってくる蛇だか寄生虫みたいなものを靴でぶちゅっと踏みつけ、はにかんで笑う。リンチの世界以外ではあまりお目にかかれない類のエグさである。
主人公はこぶ子さんに抱擁され、内心は「あんまタイプじゃないんだけどなあ」と思っているのかも知れないが、強烈な閃光に包まれて映画は終わる。
初見は強烈な「なんだこりゃ?」である。果たして映画は終わったのか?
答えは暗闇に沈殿していくのみなので、その真っ暗闇にはまった者は何回もリピートして「終わり」を終わらせない、元祖カルト映画。
しかし、初めてスクリーンで観られてよかったなあ。




これに近い感覚を覚えたのがどういうわけかコメディの『バス男』(2004)。
原題は「ナポレオン・ダイナマイト」。観ればわかるんだけど、ものすごく浮遊感に溢れた不思議な作品な
んである。
想像するに、買ったはいいが「これどうやって売ったらいいんだ?」と頭を抱える宣伝マン。最初に主人公がバスに乗るシーンがあり、当時「電車男」が流行っていたのでここを見た彼が「じゃあ・・・・バス男?・・・ダメ?・・・・あ、オッケーなの?マジで?」みたいなノリで付けられてしまった邦題だと思われる。今は元に戻ったみたいだけど、レンタル店には『バス男』で置いてあります。
主人公は天パーで常に口が半開きのキモいメガネ男子。「理想はメガネ男子」などとのたまう女子に冷や水をぶっかけるようなキモさだ。
彼の名前がナポレオン・ダイナマイト。このトンデモな名前に対してのツッコミが一切ない。全編を通して「ツッコミが一切ない」コメディなんである。
洋画コメディとはいえ普通ならば女性キャラが「あんたバカじゃないの!」という感じでツッコミ役になることが多いけど、この作品にはそれが一切、まったくない。
イレイザー男もナポレオンも「外国人はカッコいい」という愚直な憧れをぶっとばすルックスでありますし、「ツッコミ皆無」という部分も二作品の共通点だと感じるところ。
どこかの薄暗い工業地帯とアイダホの高校という、極端に違う舞台ではある。

ナポレオンはスクールカーストでも最下層ではあるのだが、体育会系の連中からのいじめもぬるいし、ひきこもりの兄貴も変だし、チャットで知り合った兄の黒人の彼女もなぜか大恋愛で変だし、セールスマンの叔父も微妙に変だし、女子とのつきあいも動きそうで動かないし、とにかく「何とも言えないへんてこ」な日常がずるずる続いていく。
唯一の友達はメキシコ人の転校生・ペドロだけど、こいつも意味不明に変なので、ツッコミのない漫才を聞かされているような気分になる。
特にペドロの「頭が熱いんだ」「熱さがおさまらないので坊主にした」「でも恥ずかしいからフードが脱げない」というわけのわからない流れは日本人にとって「それ、ギャグなのか?」と思わざるを得ないのだが、まあだいたいそんな感じです。あと「牛乳当てコンテスト」も全然笑えない。
とはいえこの「笑うに笑えないコメディ感覚」とか、「日常と非日常がものすごくぼやけたラインで交錯するムード」が、イレイザーヘッド的だなあと、感じる所為。
とにかくバカにされているナポレオンですが、最後に彼の隠し持っていた特技で、学校中から喝采を浴びる。ハッピーエンドで終わるのは全然違うか。こぶ子さんも出てこないし。
吹替えの声もちゃんとキモくてそちらもすごくいい。


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やっぱり大金持ちって最高だ



のんべんだらり、といった風情で日々過ごしている。いっそのこと濁点を取ってもいい。のんへんたらり。のんへんたらりと過ごしています。
三連休も最後だが、以前にも増してヒマ。わかっちゃいるのである。というわけでうっちゃっておいたブログでも書く。こうなったら意地でも本のことは書かないのでよろしくお願いします。
映画の日に『バリー・シール/アメリカをはめた男』を鑑賞。パイロットのバリー(トム・クルーズ)は密輸のバイトでおこづかいを稼いでいたが、CIAのスカウトマンに腕を見込まれ、政府御用達のカメラマンに転身。そんな彼の活動に目をつけたコロンビアの麻薬組織が「うちでも働いてくんね?」。ここでもコカインの密輸を成功させ、さらに荒稼ぎをするようになる。
バリー・シールという人はパイロットの手腕が優秀すぎて何でも出来ちゃうので、結果的に非合法なビジネスへズブズブと進んでいく。密輸人だから悪党は悪党なんだけど、根は普通の人なので憎めないという感じ。
しかし金の稼ぎ方はハンパじゃない(何しろ政府とマフィアが相手)。現金の保管場所にも困窮する始末で、ほとんどゴミみたいな扱い。
思ったのだが、金持ちが豪快に金を使っては崩壊していくような話が好きみたい。そもそも、何も好き好んで貧乏美学とか清貧とか人間は見かけじゃないよ心だよとか金は人を堕落させる悪魔だとかの、つまんない説教を見聞する必要はない。
そういう意味での最・高・傑・作はマーティン・スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2014)なのだ。

スコセッシというと『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』あたりをみんな語りたがるのだけど、いや、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』はその辺、軽く越えてるから。
三時間ある。でもその三時間、目が離せない。なぜなら面白いことしか起こってないから。
ジョーダン・ベルフォートという証券マンの人生を映画化。主人公を演じるのはレオナルド・ディカプリオ。
株の世界なんか全然興味ないし知らないけど、映画としてはオールタイムベストに入るくらいの面白さ。
自分の会社を立ち上げたジョーダンは、片っ端から「街中のバカ」をスカウトしては勧誘のノウハウを教え、クズみたいな株券を売りまくるのを始めとしてあらゆる不正に手を染め、豪快に金を稼いでいく。
とにかくディカプリオが大金持ちの巨バカなんである。あるいは「バカが大金を持つとこうなるのか!」という感動がある。
これを観て「金は人間をダメにする・・・」とかの感想を持つ人とは確実に話が合わない。つうか、そういう人はこの最高の三時間が苦痛でしかないと思う。
登場人物たちが延々、酒を食らってコカインを決めてファックしてのどんちゃん騒ぎ。しかも全員が無尽蔵に金を持ってるバカばっかりなので、その豪快さは果てしない。「バカが金を持つとすごい!」ってことをとことん見せてくれるブラック・コメディなんである。
ディカプリオのエロエロな嫁さんには「ハーレクイン」として大ブレイクしたマーゴット・ロビー。美乳を惜しげもなくと披露して頂いているので、そういう意味でも有難い作品。
プリオの片腕役員には最強の童貞映画『スーパーバッド』(必見っ)のジョナ・ヒル。成長して大人になって大金を掴んだ彼はここでも本物のバカだった!
超レアな睡眠薬を手に入れた二人はそれを試してみるんだけど、モノが古いのでなかなか効果が出ない、と思っていたらとんでもないところでトリップが始まるというシーンがあって、この二人のバカ演技合戦だけでも「ウルフ~」は映画史上に名を成すべきだと思う。巧妙に仕込まれたギャグ演出が最高で、これは映画を観て頂かないと始まらない。
プリオの上司として登場するマシュー・マコノヒーも最高。新人だったプリオをランチに誘い、食前にいきなりコカインを吸い、「一日二回マスをかけ」と諭す。いい上司である。胸を拳で叩きながらの「んー、んー、んーっ、んーっ」は強烈で忘れられない。何のことだかわからないでしょうが、みればわかるというものである。何だか自分の好きな人がたくさん出てるな。
プリオにしても、世界中の女性をメロメロにした美貌もすっかり消えうせた「とっちゃんぼうや」のような外見になり、泥酔して暴れ回り、ドラッグでヘロヘロになり、キめファックし、両手で中指を立てて雄叫びを上げる。
かつての女性ファンは大ガッカリ大会だろうけど、そこがいいんじゃない!
もちろんスコセッシはシニカルに「ジョーダン・ベルフォートの破滅」を描く。「シータクにおけるデニーロの狂気が~」とかの話はとりあえず保留で。もうすでに頭のいい人たちが一億回くらい語ってるから。
それより彼は三年前に「こんなにイカれた楽しい映画」を作っているのだ。これを手に取らずにスコセッシが云々~とか言うのは意味がわからない。
曲を細かくカットして繋ぐサントラもいい塩梅で、やっぱりボ・ディドリーやハウリン・ウルフは強烈に残る。
あとディーボのアッパーな曲(タイトル失念)は、場の雰囲気にピッタリ。
で、大事なことなのだけど、この作品は絶対に吹替えじゃなくて、オリジナル音声で鑑賞して頂きたい。
なぜなら、何度も何度も何度も何度も「ファック!!」「ファッキン!!」が連発されるカッコいい映画だから。そういえば冒頭の始業開始の合図も「レッツ・ファック!」であった。






モラルも喰う「食人族」



今年の夏は「欅坂46・怒涛の全国ツアー」を追っていたので(ネットで)書きそびれてしまったことがいろいろあるのだが、その中に『食人族』(81)がある。
夏はスタミナをつけるためにお肉を食べましょう、そんな時期におすすめが『食人族』です、とやりたかったのだが、もう終わってしまった、夏。
ただ、アイドルを追いつつもこういうものに目配せをしているので、これを自分の中では「バランスが取れている」と言う。
実に悪名高い作品。同時期に制作された「食人映画」というジャンルのものをいくつか観てみたのだが、映画的な完成度は本作がダントツ。
他の作品があまり出来のよくないホラードラマであることに対し、こちらはすでにフェイク・ドキュメンタリーの手法を導入している。ゆえに妙な生々しさがあり、当時日本でも大ヒットしたのだが、そのときに劇場で鑑賞した観客たちの衝撃はいかほどのものであったか、と思う。
アマゾンの奥地へ突撃取材した撮影クルーの消息が途絶えた。彼らの足跡をたどるために学者たちのチームが現地入りし、原住民と触れ合う。やがて撮影隊が残したフィルムを発見。そこに映っていたものは・・・という物語。
出演している部族の皆さんが本物のアマゾン原住民である。

差別や残酷描写でいっぱいの『食人族』だが、実は最も悪名を轟かせているのが動物虐待であり、その最たるものがカメを殺して食べるシーン。
他のシーンは既存のフッテージから拝借したものとしても、ここだけはガチ。
で、このシーンに「文明側の」アマゾン・日本のカスタマーから物言いがついた。
「私はみていないのですが」と前置きしつつ、「こういうシーンがあるのはよくないのではないか」との書き込みがあり、予約が始まっていた本作のブルーレイが発売中止になったという。
別リリースで発売は再開されたが、アマゾンの『食人族』のリンクはすべて削除されているらしい。
『食人族』は観た人が百パーセント「嫌な気持ちになる」映画だ。それは、観た自分が保障します。
ただそれよりもっと「嫌だなあ」と思うのは、「わたしはみていないんですけれども」「こういう場面がある映画ってダメですよね?」という匿名の書き込みにより、「それはよろしくないですね」と、簡単にひとつの作品が葬り去られてしまうということだ(この投稿者は日本にも「すっぽん料理」という文化があることを知らないのだろうか?)。
「作品を愛する」予約したファンたちはガッカリしたことだろう。自宅であの「嫌な気持ち」を堪能できる権利を奪われてしまったのだ。自腹で「ブルーレイ買うよ!」という人がたくさん居た中で、「買いもしない、観もしない、名前も名乗らない」たった一人の者が売り手と買い手の市場をチャラにした、というわけ。
実はカメのシーンを巡り、この作品はすでに裁判沙汰になっている。ただし監督の「たしかにカメは殺した。だが肉は全員で食べた」と答えて勝訴している。すでに「済んだ話」なんである。
他の動物も手にかけて、食べた。「魚しかいない環境で肉は必要だった」と答えられれば説得力もある。
しかも監督のルッジェロ・デオダートは「私だって動物殺しは嫌だったが、それがアジアに映画を売るための必須条件だった」と話している。
要するに当時の血に飢えた「残酷な観客たち」のニーズに応えるためのパートだった。
もちろん今の映画ファンはそんなものは望まないだろうが、当時のモラルはそんな感じだったのかなあ、くらいの想像力はあってもいいと思う。
そもそも常に命の危機に晒されているアマゾンの野生動物を「食った」ことが、本当に動物虐待なのだろうか?むしろたくさんの猫たちが虐待され死んでいったという噂のムツゴロウ監督『子猫物語』など、絶対に観たくないのだが。
本作に「彼らと我々、本当に野蛮なのはどちらか?」というセリフがあるが、それをそのままこのカスタマーに捧げたい。
『デビルマン』に登場する「人間を食う」カメのデーモン・ジンメンはこんなことを言う。
「だからオレは殺さずに食ったのさ!人間の感覚では生きものを食うのは悪いことじゃない。そうだろう?」

特筆すべきはリズ・オルトラーニによりサントラだったりする。
冒頭で流麗なメロディが流れ、作品とのギャップに思わず笑ってしまったのだが、文明人クルーによる原住民の家を焼き討ちするシーンにもこの曲が使用され、なかなかの皮肉になっている。ちなみにこれをテンポアップすると「徹子の部屋」のテーマになります。
本当に藁葺きの家を燃やしているので、よくぞこんなシーンが撮影できたもんだと思う。撮影スタッフと原住民たちのギブ&テイクが出来ていなければ到底無理だ。
そして『食人族』に衝撃を受けた若き日のイーライ・ロスがそのスピリットをバトンし、最高に愉快で最高にイカれた『グリーン・インフェルノ』を作った。本作の本当の価値はそこにあると思う。
忌まわしいものには忌まわしいなりの価値がある。それがたとえレンタル店で埃をかぶっているとしてもだ。
そうなんです。やたらと「こういうシーンがあるから封印しろ」ってのはダメなんです。「表現の自由」とは破壊描写や残酷描写、過激なギャグなど「エクストリームな表現」を守るためにある。「何丁目の夕陽」とかには必要のない言葉。
ホラーに「伝説の作品、ついに解禁!」とかいうキャッチは実はいらない。簡単に手に取れて「うひゃー」とか「くっだらねー」とか思えればそれでいい。もともとそういうジャンルのはずである。


夏だ!もうどくだ!ピラニアだ!



先日は池袋サンシャインシティの『毒毒毒毒毒毒毒毒毒・痛』というイベントに行って参りまして、これは「もうどく展2」と読む。
クラゲ、ムカデ、ヤスデ、カニ、カエル、カメ、ハゼ、エイ、スカンク(おねむ中)など様々な毒を持つ生きものが展示されていて、特に嫌だったのが二センチくらいある「パルポネラ」なるアリ。こんなのに群がられて食われるならいっそのこと殺してくれーと言ってしまうなあなどと妄想する。「ギー」とか鳴くらしい。嫌な虫もいたものである。黒に白玉のエイ、「ポルカドットスティングレイ」はカッコいいと思う。さくっと見られるので「ぼっち」でもおすすめです。
ところでこうした毒性の生物はクリエイティブ中枢を刺激することも多く、「こんなのに襲われたら嫌だなあ(でもきっと面白いよなあ)」と、様々なパニック作品が創作される。「金魚インスパイア」とかって、あまり聞かない。
ショッカーの初期怪人なんかもクモ、コウモリ、カマキリ、ハチ、コブラ、サソリ、ヤモリ、食虫植物など禍々しい生物をネタにデザインされており、シンプルな造形は今見てもイケてる。サイコビリーなテイストもめっちゃ高い。
(上野でやってる「深海展」も行きたいなあ。深海魚ファンなので。デメニギスとかカッコいいし)
本物のサソリが入っているキーホルダーがかわいかったので買って帰りました。
http://www.sunshinecity.co.jp/campaign/cp/moudoku2/


さて夏だ。夏といえば人間がお魚にモグモグ食べられる映画が観たくなるのが人情ということで、『ピラニア』(2010)鑑賞。監督はホラーリメイク名人のアレクサンドル・アジャ(なぜかたいへんイケメン)。公開時のタイトルは『ピラニア3D』で、千切れたちんこやおねえさんのおっぱいが目の前に迫ってきていたと記憶する。
ホラーファンはもちろん、「バカ映画ファン」からも大絶賛で迎えられた名作。
湖×春休み×大学生。マッチョもボインも水着でテクノを大音響で鳴らし大騒ぎ。調子こいた連中は「濡れTシャツコンテスト」で盛り上がる(放水するのがイーライ・ロス!ツボった!)。はっきり言ってバカしかいません。
こいつらを太古から生き続けていた凶悪なピラニア先輩たちが「ごち!」と、パクパクする素晴らしい作品。
もちろん大パニックが巻き起こるが、ピラニア先輩にとって彼らは「やきそばパン」とかと一緒なのだ。
ヨットが転倒して乗っているギャルやガイズが落ちて、勝手に「九州ラーメンの替え玉」状態として放り投げられる。しかも「全部乗せ」である。そりゃ食うよ、って話である。
モーターボートのスクリューに髪をからませた女性を(非道なことに)そのままに発進すると、髪と一緒に顔面の皮膚がずるむけるというシーンがあるのですが、「一皮むけばみんな同じなのだろうなあ。人間だもの」と相田みつを的な感想が思わず漏れます。
とにかく「俺たちただいま青春絶好調!人生超絶たのしー!!」とはしゃぎまくっていた連中が次の瞬間には単なる魚のエサ。最高である。ここには「ハッピーな奴らは全員死ね」という真摯なメッセージがある。
我々は普段、魚をおいしくいただいているので、たまには立場が逆転することもあるよねーということも本作で確認したい。
下半身をズタボロに食われて瀕死のエロビデオ監督。彼の今際の言葉が、「濡れTシャツ・・・・・」。
バカもここまで来るとたいへん立派なので、爆笑を通り越して感涙を禁じ得なかったりする。
さかなクン・パニック映画としては『ジョーズ』が金字塔なのだろうけど、今となっては血と乳とチープ・スリルにまみれた(「ち」でまとめてみました)『ピラニア』に軍配を上げたい。

ところで本作は、冒頭でピラニアの犠牲になる釣り氏が『ジョーズ』でシャークハンターを演じたリチャード・ドレイファスだし(カッコよかったよね!)、ピラニア発生の謎を究明する熱帯魚屋が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「ドク」でお馴染みクリストファー・ロイドだし(あ、「どく」でつながりました)、主役級の男子がスティーブ・マックイーンの孫だったりして、無駄に豪華、とか言っちゃいかんのか、とにかく、「魂のバカ映画」である。なにもいわずに喰われろ、夏!


「悪魔のいけにえ」は2も最高



毎回ためになることを書いているつもりなのだけど、今回は「やわらか頭は大事」ということについて。
テキストは『悪魔のいけにえ2』(86)。また本じゃないっていう。
昔からこの作品は賛否両論あって、「オリジナルの恐ろしさがない」「ふざけすぎ」という声が多い。
自分は実は初見が「2」で、これは封切りで鑑賞。オリジナルはかなり後になってビデオで観た。
確かに「同じことをやってるのにオリジナルはちゃんと恐ろしい!」とは思ったのだが、「2」のクレイジーっぷりも最高なんである。久々に見直したら「やっぱいいな!」、と。これは誰かがちゃんと伝えないとな、ということで。

「1」はごく普通の若者が惨殺されるということが恐ろしかったのだが、「2」はいきなりバカ二人が車で暴走している。一人は東京タワーで売ってるようなアホアホサングラスをかけ、ピストルを乱射している。
おわかりのように「このバカたちがこれからぶっ殺されますよ~」という演出なんである。
「1」では規制を免れるために血が出るような残酷描写は「信じられないことに」ほとんどなかったのだが(それでもレートを下げることは無理だったようだ)、今回は開き直って血まみれ残酷描写が大爆発。手腕を振るうのは信用できる男、トム・サヴィーニ。冒頭でドライバーが頭半分をぶった切られる。もちろん凶器は「自動のこぎり」だ!

今回はレザーフェイスの役者も代替わりしていて、かなり「お茶目」。主役のラジオDJ女子に一目惚れして、一度は助けてあげちゃう。ほぼ人格が与えられなかった(ゆえに恐ろしかった)「1」とはかなりテイストが違う。チェーンソーを振りかざすたびに腰を振るので、おぞましくもかわいらしい。
ちなみによく聴くとわかるのだが、「ババ」と呼ばれている。
そしてこの殺人一家にも「ソーヤー」というファミリーネームが付けられた。
本作で特に人気が高いのがデニス・ホッパー。彼は「悪人か狂人しかやらない」という信用できる男。
今回は「前作で殺された甥(車椅子の性格悪い奴)の復讐に燃える保安官」という役どころ。
「復讐用のチェーンソー」を購入するシーンからしてテンションMAX!店の親父も「こりゃ頼もしいね」とちょっと笑っちゃってる。ソーヤー家に侵入するなり柱を斬りまくって気持ちよくなってるし、一家の前に「歌をうたいながら」登場するところがバカバカしくて最高。
個人的にはホッパー以上に重要だと思っているのが「チョップトップ」で、「1」のレザーフェイスの兄「通称ヒッチハイカー」の代わりに登場。交通事故で頭をボコって、頭蓋骨に銀のプレートを埋め込んでいる。
しかもむき出しになったプレート周辺の肉を、ワイヤーでこそげ落としてうまそうに食うのである。
完全なキチガイだが、本作ではMCとしてもいい感じの仕事をする。ビル・モーズリーという人が演じていて、彼は『デビルズ・リジェクト』でも殺人家族の長男を好演。信用できる。
ソーヤー家の父親(ソーヤーとうさん)だけはジム・シードーなる同じ俳優が引き継いでいる。このおっさんは他の作品ではみたことがない。信用できる。

『悪いけ』といえば晩餐シーン。「1」は本当に女優を追い詰めているような演出が壮絶で、叫び声と共に「瞳孔が開いた眼のアップを映し続けるシーン」はトラウマになったりしたが、さすがに「2」はそこまでの凄惨さはない。
が、あのミイラじいさんはまだ生きていて、というか前よりお肌がツヤツヤしている。
で、じいさんが金槌片手にニヤけるシーンのアップがあるのだが、この顔が「漫★画太郎先生が描くジジイ」にそっくりなのであります。これは是非ご確認されたい(どうでもいいですか)。
クライマックスはレザーフェイスとホッパー保安官によるチェーンソーのチャンバラ対決!これはオリジナルにはないもので、のこぎりがレザーフェイスの体を貫きつつ、ちゃんと回転している!
声を大にして言いたい。レーザーガンとかCGでドカーンとかじゃなくて、魂溢れるガチな名場面を映画はもっと作るべきだ!

ラスト、逃げ切ったヒロインは超ホットパンツでチェーンソーを掲げ、勝利?のダンス?を踊る。
頭上には旗が翻っている。アメリカ国旗かと思ったがどうも違うみたいで、なんだ?バカの旗か?
監督のトビー・フーパーが「観客に笑ってもらえるまで十年かかった」と言っているので、元々がブラック・コメディのテイストを持ち合わせているのが『悪魔のいけにえ』なのだ。それは「2」の、ソーヤーとうさんのセリフをちゃんと追っていてもわかる(ギャグしか言ってないです)。
そもそもホラーとパロディは相性がいいのに、「2」を否定する人は本家のブラックユーモアもいまいち理解できないんじゃいの?ということで、ホラーファンと限定してもあまり魅力的ではない。
やわらか頭でいたいものです。


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HN:
すうさい堂主人
性別:
男性
職業:
古本すうさい堂
自己紹介:
自称「吉祥寺の盲腸」、すうさい堂のだらだらした日常の綴り。
本を読むという行為は隠微なこと、悪いことを覚えるためのモノ。

180-0004
武蔵野市吉祥寺本町1-29-5
サンスクエア吉祥寺201

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