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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

【すうさい堂最新情報/極私的ツイッタァ】 ■■ 火曜と水曜が定休です。※店主が大昔に描いた絵を売り始めました。

夏だ!もうどくだ!ピラニアだ!



先日は池袋サンシャインシティの『毒毒毒毒毒毒毒毒毒・痛』というイベントに行って参りまして、これは「もうどく展2」と読む。
クラゲ、ムカデ、ヤスデ、カニ、カエル、カメ、ハゼ、エイ、スカンク(おねむ中)など様々な毒を持つ生きものが展示されていて、特に嫌だったのが二センチくらいある「パルポネラ」なるアリ。こんなのに群がられて食われるならいっそのこと殺してくれーと言ってしまうなあなどと妄想する。「ギー」とか鳴くらしい。嫌な虫もいたものである。黒に白玉のエイ、「ポルカドットスティングレイ」はカッコいいと思う。さくっと見られるので「ぼっち」でもおすすめです。
ところでこうした毒性の生物はクリエイティブ中枢を刺激することも多く、「こんなのに襲われたら嫌だなあ(でもきっと面白いよなあ)」と、様々なパニック作品が創作される。「金魚インスパイア」とかって、あまり聞かない。
ショッカーの初期怪人なんかもクモ、コウモリ、カマキリ、ハチ、コブラ、サソリ、ヤモリ、食虫植物など禍々しい生物をネタにデザインされており、シンプルな造形は今見てもイケてる。サイコビリーなテイストもめっちゃ高い。
(上野でやってる「深海展」も行きたいなあ。深海魚ファンなので。デメニギスとかカッコいいし)
本物のサソリが入っているキーホルダーがかわいかったので買って帰りました。
http://www.sunshinecity.co.jp/campaign/cp/moudoku2/


さて夏だ。夏といえば人間がお魚にモグモグ食べられる映画が観たくなるのが人情ということで、『ピラニア』(2010)鑑賞。監督はホラーリメイク名人のアレクサンドル・アジャ(なぜかたいへんイケメン)。公開時のタイトルは『ピラニア3D』で、千切れたちんこやおねえさんのおっぱいが目の前に迫ってきていたと記憶する。
ホラーファンはもちろん、「バカ映画ファン」からも大絶賛で迎えられた名作。
湖×春休み×大学生。マッチョもボインも水着でテクノを大音響で鳴らし大騒ぎ。調子こいた連中は「濡れTシャツコンテスト」で盛り上がる(放水するのがイーライ・ロス!ツボった!)。はっきり言ってバカしかいません。
こいつらを太古から生き続けていた凶悪なピラニア先輩たちが「ごち!」と、パクパクする素晴らしい作品。
もちろん大パニックが巻き起こるが、ピラニア先輩にとって彼らは「やきそばパン」とかと一緒なのだ。
ヨットが転倒して乗っているギャルやガイズが落ちて、勝手に「九州ラーメンの替え玉」状態として放り投げられる。しかも「全部乗せ」である。そりゃ食うよ、って話である。
モーターボートのスクリューに髪をからませた女性を(非道なことに)そのままに発進すると、髪と一緒に顔面の皮膚がずるむけるというシーンがあるのですが、「一皮むけばみんな同じなのだろうなあ。人間だもの」と相田みつを的な感想が思わず漏れます。
とにかく「俺たちただいま青春絶好調!人生超絶たのしー!!」とはしゃぎまくっていた連中が次の瞬間には単なる魚のエサ。最高である。ここには「ハッピーな奴らは全員死ね」という真摯なメッセージがある。
我々は普段、魚をおいしくいただいているので、たまには立場が逆転することもあるよねーということも本作で確認したい。
下半身をズタボロに食われて瀕死のエロビデオ監督。彼の今際の言葉が、「濡れTシャツ・・・・・」。
バカもここまで来るとたいへん立派なので、爆笑を通り越して感涙を禁じ得なかったりする。
さかなクン・パニック映画としては『ジョーズ』が金字塔なのだろうけど、今となっては血と乳とチープ・スリルにまみれた(「ち」でまとめてみました)『ピラニア』に軍配を上げたい。

ところで本作は、冒頭でピラニアの犠牲になる釣り氏が『ジョーズ』でシャークハンターを演じたリチャード・ドレイファスだし(カッコよかったよね!)、ピラニア発生の謎を究明する熱帯魚屋が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「ドク」でお馴染みクリストファー・ロイドだし(あ、「どく」でつながりました)、主役級の男子がスティーブ・マックイーンの孫だったりして、無駄に豪華、とか言っちゃいかんのか、とにかく、「魂のバカ映画」である。なにもいわずに喰われろ、夏!


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「悪魔のいけにえ」は2も最高



毎回ためになることを書いているつもりなのだけど、今回は「やわらか頭は大事」ということについて。
テキストは『悪魔のいけにえ2』(86)。また本じゃないっていう。
昔からこの作品は賛否両論あって、「オリジナルの恐ろしさがない」「ふざけすぎ」という声が多い。
自分は実は初見が「2」で、これは封切りで鑑賞。オリジナルはかなり後になってビデオで観た。
確かに「同じことをやってるのにオリジナルはちゃんと恐ろしい!」とは思ったのだが、「2」のクレイジーっぷりも最高なんである。久々に見直したら「やっぱいいな!」、と。これは誰かがちゃんと伝えないとな、ということで。

「1」はごく普通の若者が惨殺されるということが恐ろしかったのだが、「2」はいきなりバカ二人が車で暴走している。一人は東京タワーで売ってるようなアホアホサングラスをかけ、ピストルを乱射している。
おわかりのように「このバカたちがこれからぶっ殺されますよ~」という演出なんである。
「1」では規制を免れるために血が出るような残酷描写は「信じられないことに」ほとんどなかったのだが(それでもレートを下げることは無理だったようだ)、今回は開き直って血まみれ残酷描写が大爆発。手腕を振るうのは信用できる男、トム・サヴィーニ。冒頭でドライバーが頭半分をぶった切られる。もちろん凶器は「自動のこぎり」だ!

今回はレザーフェイスの役者も代替わりしていて、かなり「お茶目」。主役のラジオDJ女子に一目惚れして、一度は助けてあげちゃう。ほぼ人格が与えられなかった(ゆえに恐ろしかった)「1」とはかなりテイストが違う。チェーンソーを振りかざすたびに腰を振るので、おぞましくもかわいらしい。
ちなみによく聴くとわかるのだが、「ババ」と呼ばれている。
そしてこの殺人一家にも「ソーヤー」というファミリーネームが付けられた。
本作で特に人気が高いのがデニス・ホッパー。彼は「悪人か狂人しかやらない」という信用できる男。
今回は「前作で殺された甥(車椅子の性格悪い奴)の復讐に燃える保安官」という役どころ。
「復讐用のチェーンソー」を購入するシーンからしてテンションMAX!店の親父も「こりゃ頼もしいね」とちょっと笑っちゃってる。ソーヤー家に侵入するなり柱を斬りまくって気持ちよくなってるし、一家の前に「歌をうたいながら」登場するところがバカバカしくて最高。
個人的にはホッパー以上に重要だと思っているのが「チョップトップ」で、「1」のレザーフェイスの兄「通称ヒッチハイカー」の代わりに登場。交通事故で頭をボコって、頭蓋骨に銀のプレートを埋め込んでいる。
しかもむき出しになったプレート周辺の肉を、ワイヤーでこそげ落としてうまそうに食うのである。
完全なキチガイだが、本作ではMCとしてもいい感じの仕事をする。ビル・モーズリーという人が演じていて、彼は『デビルズ・リジェクト』でも殺人家族の長男を好演。信用できる。
ソーヤー家の父親(ソーヤーとうさん)だけはジム・シードーなる同じ俳優が引き継いでいる。このおっさんは他の作品ではみたことがない。信用できる。

『悪いけ』といえば晩餐シーン。「1」は本当に女優を追い詰めているような演出が壮絶で、叫び声と共に「瞳孔が開いた眼のアップを映し続けるシーン」はトラウマになったりしたが、さすがに「2」はそこまでの凄惨さはない。
が、あのミイラじいさんはまだ生きていて、というか前よりお肌がツヤツヤしている。
で、じいさんが金槌片手にニヤけるシーンのアップがあるのだが、この顔が「漫★画太郎先生が描くジジイ」にそっくりなのであります。これは是非ご確認されたい(どうでもいいですか)。
クライマックスはレザーフェイスとホッパー保安官によるチェーンソーのチャンバラ対決!これはオリジナルにはないもので、のこぎりがレザーフェイスの体を貫きつつ、ちゃんと回転している!
声を大にして言いたい。レーザーガンとかCGでドカーンとかじゃなくて、魂溢れるガチな名場面を映画はもっと作るべきだ!

ラスト、逃げ切ったヒロインは超ホットパンツでチェーンソーを掲げ、勝利?のダンス?を踊る。
頭上には旗が翻っている。アメリカ国旗かと思ったがどうも違うみたいで、なんだ?バカの旗か?
監督のトビー・フーパーが「観客に笑ってもらえるまで十年かかった」と言っているので、元々がブラック・コメディのテイストを持ち合わせているのが『悪魔のいけにえ』なのだ。それは「2」の、ソーヤーとうさんのセリフをちゃんと追っていてもわかる(ギャグしか言ってないです)。
そもそもホラーとパロディは相性がいいのに、「2」を否定する人は本家のブラックユーモアもいまいち理解できないんじゃいの?ということで、ホラーファンと限定してもあまり魅力的ではない。
やわらか頭でいたいものです。


バカすぎてさわやか



「危ないことをやってるのはスタントマンかバカです」
冒頭で繰り返される字幕。何の話かというとアメリカのバカ・パフォーマンス集団『ジャッカス』のこと。
で、彼らはスタントマンではないので「バカ」。むしろプロ・スタントマンはいくらギャラを積まれてもやらないようなバカなことをやる。
MTVのコーナーとして人気になり、制作された映画版『ジャッカス・ザ・ムービー』(2002、2006)の二作を今さらながら観てみた。
ジャッカスのネタはおよそ①身体をはったもの②動物もの③スカトロもの④内輪ドッキリもの⑤変装もの、の五つに分けられる。一番多いのは①で、当然ながら一番キツいのが③で、一番市井の人に迷惑をかけているのが⑤である。
一作目はいきなりカー・クラッシュ。しかもレンタカーで借りた車をメチャクチャにする。車どうしでぶつけ合いフロントに突っ込んでいったりするので、まるでガチの事故現場。ドライバーは「マジで死ぬかと思った」とニヤニヤ。
この人たちがナゼ五体満足でいられるのか。それは彼らの身体能力がとんでもなく抜群だからである(プロのスケートボーダーも二名いる)。
ゴム弾とはいえ本物のショットガンで撃たれるとか、本物のボクサーとガチで試合をするとか(しかも場所はスーパーで、・・・脳震盪を起こして病院行き)、めちゃめちゃ危険なことをやっているのに、ネタはさらに過激にエスカレート。それはつまり恐らく、何も考えてないから。メンバーに受ければ、やることに決定。問題はそれを「誰がやるか」ってことだけ。
抜群の身体能力と何も考えていない脳みその化学反応が、ジャッカスなのだ。

自らが餌になってサメに接近する。その際、頬には「釣り針」を突き刺す。別に必然性はない。
ただ「絵的に面白くない?」ってことだけで、痛みも根性で耐える。実際、スレスレでサメに噛まれそうになるし、あれだけ接近できればちゃんとした海洋ドキュメンタリーも撮れそうな気もするのだが、そんな真面目なものを作るつもりはまったくないらしい。なぜなら「ギャグじゃない」から。
このネタをやったスティーヴォーって兄ちゃんが自分は特に好きで、彼は背中に「オレ最高」とサムアップした自分の姿をでかでかと入れている。本人は「世界一バカなタトゥー」と言っているけれど、これはすごくいいなと思う。当人は年をとっても「若くてものすごくバカだった自分」が、ずっとそこにいるからだ。
とにかくメンバーたちは笑う。仲間がひどい目にあっているのを見てげらげら笑う。
それは当然いじめではない。自分の番が回ってくるのを承知の上で、笑っているのである。「オレもあんだけやったわけだし、なっ?」ってこと。
やってることはどうしようもないのに、メンバーがピュアなので(バカとも言う)全然憎めない。
ジャッカスには普通の人よりもかなり背丈の足りないメンバーもいる。が、分け隔てなく彼もムチャなことをやらさせる。バリアフリーとはこのことだと思う(ま、この人も筋肉ムキムキなんだけど)。
最高にバカバカしくも恐ろしかったのは、コンドームに入れたミニカーを黄門様に挿入するというもので、そのまま病院に行く。つまり「アナルinミニカー」のレントゲン写真を撮るのが目的で、たしかに「その物体」の影が写っている。
下手すりゃ開腹手術をしなきゃいけないかも知れないところを、彼は「自力で」ひり出してたね。
ウンネタも多いジャッカスだが、メンバーたちは運も強い。
「爺さんに変装して店で万引き」とかの一般人を巻き込むネタは大変迷惑だし、やられたほうも激怒しているのだけど、それを見て世界中の人が笑っているという比率を考えれば、まあまあ良しとしませんか?

今日の文章は、人によっては血の気が引いたり気分を害することもあるだろうなーということでもうやめますが(散々書いちゃいました。えへ)、二作目のエンディング。これが重要。
なんとミュージカル仕立て。メンバーたちが「精一杯生きて人を愛そう」と歌う。
普通なら陳腐としか感じない歌詞だけど、彼らは本当にそう思ってるんじゃないかと思ったらちょっと泣けてきた。
人々に笑って欲しくて、ジャッカスはバカバカしくてサイテーでなおかつ、危険なことにチャレンジし続けた。ただし、傷つけるのはおのれの身体だけ。ネットで他人を誹謗中傷する奴のほうが、よっぽど人を傷つけている。
血やウンゲロが本物なのでモノをつまみながら観るのはやめておくべきと一応忠告しますが、鑑賞後の印象は妙に爽やかである。とはいえシラフで観るものでもないのだが。あ、柑橘系のアルコールも控えたほうがよろしかろうと。
ジャッカスのシンボルマーク。ドクロの下のクロスボーンの位置にあるのが松葉杖。カッコいい。
メンバーは現在もそれぞれ活躍中。一名は鬼籍へ。




チームアメリカ、ファック・イエー!



よくこんなとんでもないものが制作・公開されたもんだ。『チーム★アメリカ/ワールドポリス』(2004)である。
マリオネットによる人形劇。ただしエログロ山盛りなのでR-18。「人形劇とは子供たちに夢を与えるものだ」と思っている方は絶対観てはいけません。いや、そういう人こそ観るべきか?不協和音で既成概念を壊せ。
制作・監督はトレイ・パーカー&マット・ストーン。アメリカ最狂アニメ『サウスパーク』のクリエイター。
劇場版『サウスパーク無修正版』もとんでもない内容だったが、これはさらにイッちゃってます。
チームアメリカはテロ撃退のための国際警察。冒頭、フランスでテロリストを壊滅させたのはいいが、爆撃を容赦しないので、ついでにエッフェル塔やルーブル美術館も全壊。
チームの司令官はブロードウェイの俳優・ゲイリーの演技力を見込み、組織のスパイとしてスカウト。
彼が後に同チームのリサと恋に落ちる。のだが「恋に落ちる」だけじゃなくて、まぐわるところまでバッチリ見せる。なかなかのハメっぷりだが、あやつり人形が全裸でカクカク動いているのは見ていて本当にバカバカしい。最高。

チームアメリカはやり過ぎなので、実は嫌われ者。もっともアンチなのはアメリカ俳優協会。
登場する人形たちも実名。特にマット・ディモンは「まっと・でぃもん」のひとことしか喋らないアホアホな役。この頃彼は天才科学者の役が続いたらしく、作り手としては「あいつ気にいらねえ」ってことなのか、一番のバカキャラとして登場させられてしまった。
さらにヤバいことに、悪役として実名で登場するのがキム・ジョンイル。世界の壊滅を狙う大悪党で、彼とチームアメリカが対決する。
ジョンイルの手先となった有名俳優たちがチームと戦う。で、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ジョージ・クルーニーたちがグチャグチャにぶっ殺される。
人形劇としては『ミート・ザ・パペッツ』と並ぶ残酷さなので、「お見事!」と盛り上がります。
しかしピーター・ジャクソンの初期作品が今やまったく観られないとはどういうことか。『ロード・オブ・ザ・リング』のファンとはかぶらないからか?それとも「なかったこと」にしたいのか?なんてことだ。

この作品は日本語吹替えで鑑賞することを強力におすすめする。
キムジョンの悪意たっぷりの声当ては勿論のこと、ラストのゲイリーによる大演説、これが素晴らしい。
さすがに自粛するしかない言葉の羅列なんだけど、本当につき抜けたバカバカしさでもう。もう。
うおーっ!!となるしかないですよこれは。恐らく腹をくくって声を当てたと思われる、声優さんの演技も素晴らしい。
他にもどうかしてる大量のゲロ吐きシーンや、司令官による強制フェラ、それにマイケル・ムーアのひどい扱い。
マイケルは左側の代表みたいな人だけど、彼をバカにすることによって、右も左も平等にこきおろすことになる。まあ単に「なんかアイツも気にいらねーな」ってことかも知れないけど。
「エイズの歌」や「モンタージュの歌」など、挿入歌のブラックさも甚だしく、「自由(freedom)は無料(free)じゃない。誰かがサービス料を払わないと」というなかなか皮肉な歌詞があるのだけど、トータル的には「ずいぶんまともなこと言ってるなあ」という気になる。
キムジョンが「ぼくはひとりぼっち~」と切なく歌うバラードがあるのですが、その後ろでは拷問されている人々が映り込んでいる。一瞬のシーンなのでお見逃しなきよう。爆笑もんです。
そして最後に現われるキム・ジョンイルの正体・・・・これなあ、暗殺指令とか出なかったのかなあ?
まあとにかく、命がけで世にもくだらない作品を作ったということだ。実に素晴らしい。劇中ラストの言葉を借りるなら「ファック・イエー!」だ。
わざとやってるとしか思えない「マリオネットのあやつり糸の見え具合」は、政治的とか社会風刺とかの意味合いを軽く越えてポップ、かつアナーキー。

ちょっと前に脳学者の茂木健一郎が「日本の笑いは権力者に対する批評眼がない」とツイートして芸人に叩かれたけど、イメージとしてはまあそうだよなというか、自分はどっちかというと茂木側。
たしかに「ひな壇」と呼ばれる席に座っている芸人たちは司会の大御所を笑わせることに懸命。しかも日本語なのに「テロップつき」という検閲状態を見るにつけ、ああ確かに終わってるな、とも思う(爆笑問題の太田光が激怒したというのは分かる話で、彼らはちゃんと批評性や反骨精神を持っているからだ)。
しかし、部外者(素人ですよ!)のちょっとした発言を業界ぐるみで叩くというのは、強者には向かない牙が弱者には向くという証明。本来、異を唱えて笑わせるはずの芸人が同調圧力を押し付けてどうすんだ。
茂木先生も『チームアメリカ』や『サウスパーク』を知っていれば、「世界にはこんなにとんでもないことをやってる奴らがいるんだぞ!」と、堂々と反撃出来たかもな。


「死霊のはらわた」新旧対決



聞くところによると、最近は「ホラー映画」という言葉が嫌われているらしい。それを使うと作品がジャンル化してしまって、特定の層しか呼べないから、ということらしい。
どうりで「ソリッド・シチュエーション・スリラー」みたいな小手先キャッチが舞っている訳だ。しかしながらジャンル映画がジャンル化して何が悪いのか。「血まみれホラー」じゃいかんのか。ちょっとシャレオツ風に濁してみたところで、内容はおんなじなんだから。観客も一緒いっしょ。
考えてみれば血がブーブー噴水みたいに飛ぶから「スプラッター映画」とはなかなか的を得た表記で、その先便をつけたのが『死霊のはらわた』(81)なのだった。

初見は公開から少し遅れた名画座で、感想としては「ホラーもなかなかすごいことになってきましたなあ」というもの。グチャグチャなんだけど、それがテンポよく続くからえらいこと景気がいい。打ち上げ花火みたいだと思った。
若き日のサム・ライミが「この作品で映画界に殴り込みをかける」ようない勢いで作っているので、その鼻息がもろに画面に出ている。実際「血が出るような」気迫で、資金も見通しもないまま撮影を続けていたらしい。
主演のブルース・キャンベルというちょっと面白い顔の俳優が困りつつも必死で戦っている姿は、だんだん笑いを誘う。コメディ的な要素も確かにあるのだ。
ローアングルで走り込むカメラワークなど、ゴア描写以外にもカッコいいシーンが実はたくさんある。やっぱり持ち前の才能なんである。

これをリメイクするという果敢な挑戦をしたのが2013年の同タイトル。『死霊のはらわた2』でサム・ライミ自身がコメディに仕上げてしまったので、もはやそれもできない。じゃあどうするかというと、正攻法の「血まみれホラー」として作ることを選んだ。
なのだが、オリジナルのファンからの評価はいまひとつらしく、恐らく「ブラックユーモアのセンスが抜け落ちてしまった」みたいなことなのだろうけど、それを言っちゃあおしまいというものです。
ではどうしたかというと、「痛み」を観客に共有させることを選んだ。
オリジナルは「死霊に憑依された仲間」を殺していくという内容なので、いくらグチャグチャにされてもまあ、オバケだからなあという前提があるため、無責任に「やれーやれー」と盛り上がれる(あくまでも今の視点からすればですが)。
初見の人が鑑賞するとしたら、チープさも込みで笑っちゃうところがあるオリジナル版よりも恐怖を感じるのは、リメイク版ではないかと思う。ちなみに「貞子」もちょっと入ってます。
主人公の妹がジャンキーであり、クスリへの依存をやめさせるために山小屋に篭るという設定は今日的であり、前述の「痛み」のシーン(書かないよ)は『超いってぇ!!!!』を体感させてくれる。
なんだか大量生産されてる「似非ドキュメンタリーホラー(ポイント・オブ・ビュー)」とは一線を画す、ガチのスプラッター映画であり、それだけでも十分に評価できる。
そもそもそんなにリアル感って大事か?作り物に対してわーキャー楽しむのがホラーの醍醐味ではないのか?
エンドロールの最後に登場して「GROOVY」とひとことつぶやく人物こそシリーズの顔、ブルース・キャンベルである。
監督のフェデ・アルバレスは昨年、「盲目の筋肉キチガイじじいがヤング強盗団をぶっ殺す」という怪作、『ドント・ブリーズ』を大ヒットさせた。

最後におこがましいことを書くと、近頃やたらと世界で頻発している自爆テロ、それを行っている連中は「自分の命は他人よりもイケてる」と思っているのではないか。
「聖戦」や「正義」や「忠義」に命を懸ける自分の前には、他人の命なんかどうでもいい、あるいはなくなっても仕方がないと思っている。
ましてや人を無差別に殺すことに「正義」なんてない。しかもそれは特殊メイクではないのである。
「命は平等に価値がない」「ゴミと一緒で順番なんかない」ということを、娯楽として提供してくれるおぞましいジャンルを楽しんでいる者からすれば、「そんなバカバカしいことやめなよ(こいつらがドヤ顔で行うテロなんて最悪!)」と、本当に思う。
死ぬんならひとりでやれ。


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古本すうさい堂
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自称「吉祥寺の盲腸」、すうさい堂のだらだらした日常の綴り。
本を読むという行為は隠微なこと、悪いことを覚えるためのモノ。

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