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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

【すうさい堂最新情報/極私的ツイッタァ】 ■■ 2017年10月13日(金)13時より移転オープンしました。■吉祥寺本町1-29-5 サンスクエア吉祥寺201 ■0422-27-2549 ■土/日/祝日のみ営業

アンチゴッドファーザー



人と映画の話をすると『ゴッドファーザー』が好きだと言われることが多い。
なぜかというと人と小説の話をすることがまったくないからである。すいません。
問答無用の名作である。「1」に関しては自分も十回は観ていると思う。
ということを明確にしつつ、あえてわたくしは反ゴッドファーザー(以下GF)主義の立場をとる理由をつらつらと記したい。
なんでかというと、これを至上の作品としてしまうと他の作品が認められなくなるから。
「これと比べちゃうと他は」ってやつである。しかし、コッポラだってこれ以上完成度の高い作品は作っていないと思う。つまりジャンル映画鑑賞に入る前に足がそこで止まる。
もちろんそうじゃないクレバーな方も多いとは思うが、いわゆるキネ旬な感覚のオールタイムベストってのがなんとなくわかっちゃうわけで、どうせあれだろ、『ディア・ハンター』『未知との遭遇』『2001年宇宙の旅』あたりと並べて四天王なんだろ?重くて哲学があって偉そうなのが映画だと思ってる。ちゃんちゃらおかしいのである。
ちなみに個人的な暫定的オールタイム・ベストワンはタランティーノの『デス・プルーフ』。超バカみたいな内容であるにもかかわらず、こんなにカッコいい作品は他にないと思うから。

アル・パチーノ出演作ならばチンピラの愉快な破滅を描いた『スカーフェイス』を圧倒的に推す。
バスルームに掲げられたバカ丸出し座右の銘「The World Is Yours」の前で死ぬ血みどろパチーノが素晴らしい。
時代的に血糊も増量マシマシだが、そいうものは多ければ多いほど面白いに決まっているし、由緒正しいお家柄の抗争劇であるGFに対し、『スカーフェイス』はイタリア移民のドチンピラがコカイン売り上げ大王として伸し上がる話なので、こっちのほうが面白いに決まってる。コカインをお砂場状態にして吸うシーンとか最高。実際、パチーノ演じる「トニー・モンタナ」はギャングスタ・ラップの連中のヒーローになっているということだ。

ホラーをあまり観ない人でも『シャイニング』は好きだという声が多い。もちろん名作だし十回は観ている。ジャック・ニコルソン&その奥さん役の顔芸とか最高である。
監督がキューブリックということで引っかかるのだろうし、棚もホラーに分類されているが、これはホラーというよりはキューブリックのアート映画だと思う。
やはりホラーにはある程度の「ゲスさ」が必要なので、好きなホラーを十本挙げるとしたら『シャインニング』は入らないんだよなあ。
「こりゃヤバいところに足を突っ込んだか?」と思わせてくれるものが一番刺激的なのであって、それが楽しいと思えればいくらでもDIGできるというものです。
老若男女を楽しませて「ぐうの音も出さない」エンタメ代表格は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』かなと思うし、面白さを否定する気はないんだけど、これが一番っていうのは「一番好きな音楽はドリカムのベストです」っていうのとあまり変わらないんじゃないか、と。
マジョリティ過ぎるものは掘る隙間がない。
(本音を言うと『バック~』は「この作品ではチャック・ベリーが曲をパクったことになっている。黒人が発明したロックンロールをそうじゃないことにしてしまった、とんでもない映画」という町山智浩氏の指摘が響いて以来、あんまり好きじゃない。単なるギャグといえばギャグなんだけど)


「映画は未来の子供たちに贈るプレゼント」などの戯言は死ねばいいと思うし、「政治的なアイロニーがあるから上等」などの物言いも死ぬほどくだらない。そういうファックオフな諸々を取っ払ったら映画なんていくらでも観られる(もちろんすべての表現がそうなのだが、映画は特にそういうキャプションが付けられ勝ちな気がする)。
「ご家族そろって楽しめます」などという価値観の押し付けも恐ろしい。だが「全然楽しくないよ!」と思った子供は正しくDIGするタイプになる。
最近何をみてもつまんなくてー、とか言ってるのはそいつがインポなだけ。「名作ばっかり観てるとバカになる」との名言は誰の言葉だったっけ?
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内田裕也のファッキン追悼上映会に行ってみた



池袋新文芸座で行われた内田裕也追悼上映会『スクリーン上のロックンロール』。2日だけ出かけた。
「死んでから盛り上がりやがって」と言われそうなのだが、実際レンタル店では彼の主演作はもはや壊滅的に置いていないのである。こういう機会に観ないと。
『餌食』『水のないプール』『10階のモスキート』『コミック雑誌なんかいらない』とすごいタイトルが並ぶ日は劇場がパンパンだったようで、残念ながら混雑が恐ろしい人間としては静かにスルーした。
『餌食』なんかはVHSしか出ていないし、なんといってもこれを観てレゲエにはまったので、行きたかったのだがなあ。世界一凶悪なレゲエ映画、DVD化希望。
とはいえ、他にもレアな作品の上映があった。まずは『嗚呼!おんなたち 猥歌』(81)と『少女娼婦 けものみち』(80)。どちらもポルノ。そしてどちらの内田裕也も最低で最高。

『嗚呼!おんなたち』の内田裕也はあまり売れていないロックシンガー。とにかくろくでなしだがすけこまし。
というより、目をつけた女は場所をかまわずレイプ。自分の奥さんだってレイプ。合意の上とか、そんなの関係ねえ!フェミ系の方が鑑賞されたら激怒しそうなキャラクターであり、今はポルノでさえこういうものは作りにくくなっているのかもしれない。
実際も内田裕也を「あんちゃん」と呼ぶ安岡力也がマネージャー役であり、彼らのバディムービーととらえることも可。力也が怒り任せにシャツをビリビリ破くとそこには薔薇の刺青が彫ってある、という演出がものすごく安易でいい。
冒頭には国鉄服時代のアナーキーが登場し、レコード化できなかった『タレント・ロボット』をまるっと演奏。映画の内容ともシンクロする。
内田裕也がジョニー・ロットンのTシャツでスターリン時代の遠藤ミチロウのようなライブパフォーマンスをするシーンもあり「ジャパニーズパンクのあけぼの」のにおいも感じられる。
ちなみに裕也氏のオリジナルで『PUNK! PUNK! PUNK!』というのがあるのだが、全然パンクじゃないグッド・オールド・ロックンロールである。
その気はないんだが、この当時の内田裕也の強烈なフェロモンは裸になったときも顕著であり、贅肉がなく、首も長く、そしてケツがきれい。これはモテるわなあ、と思う。

『少女娼婦』は海辺の町を舞台に、トラック・ドライバーの役で登場。合意の上ではあるが女子高生とやりまくる。現在では絶対アウトです。
そしてこれは観念的な会話といい、ポルノでATG作品をやってみた的な内容 。監督はどちらも神代辰巳。
少し前に観た『赤い暴行』なるポルノも実在した(売れなかった)バンド「DEVILS(デビル)」のメンバーが主人公の「青春残酷ポルノ」で、この映画にも本人役の「内田裕也」として出演していた。
彼のロックンロール精神は当時のポルノムービーと共鳴していたらしい。

映画祭のしんがりに控えるのは『エロチックな関係』(78)と『エロティックな関係』(92)。
『エロチック』はポルノでありながら『野良猫ロック』シリーズなども手がけた長谷部安春の脚本・監督。
完全に初見であり(ソフトもみたことがないから相当レアか?)、個人的には一番の目玉。
おしゃれでフレンチである。なんといってもサントラがすべてミュゼット!
内田裕也はあまりパッとしない探偵の役。とはいえ秘書のエロいおねえさんとはやりまくっている。
珍しく依頼人がやって来て妻の浮気調査を頼まれるのだが、それは闇の事件に関わっており、巻き起こる命からがらのトラブル、ってなストーリー。松田優作の『探偵物語』を連想させるが、こちらのほうが先。
この作品の内田裕也はコミカルで飄々としたとてもいい演技をしている。コワモテではない裕也氏を見られるという点でもなかなかレア。レイプする役が多いけどここではほとんど女性に乗られているってのが面白いですね(そうでもない?)。
ラストの悪戯っぽい笑顔を見ると、これはモテるわなあと思うのである。

『エロティック』はリメイク作である。
もともと『エロチック』がポルノならではの大雑把な話であるのだが、この脚本をそのままに宮沢りえとビートたけしという超豪華なメンツを共演として迎え、ハードボイルドとしてお色直しして、オール・パリ・ロケで行うとどうなるかというと、大失敗作が誕生するのである。
そもそもパリで撮影する必要がこれっぽっちもない。多分、元ネタがフレンチ風味だったから。
つまりバブルだったわけで、今じゃ考えられないものすごく贅沢なお金の使い方なのだ。
ストーリーは律儀にオリジナルを踏襲しているのだが、なにせ大雑把な脚本なもんで、これをエンタメのハードボイルドとして仕立てているものだから、ゲスな書き方をすると「ガバガバ」なんである。雑な脚本が映画の規模に合ってない。
当時の宮沢りえはめちゃめちゃかわいいし、ビートたけしに至ってはこれを本物の「イケメン」というのではないだろうかと思う。
そして役者としては内田裕也より一枚も二枚も上手だ。ここでも歴然たる差がついてしまった(というか裕也氏、演技が下手になってる・・・・)。
オリジナルにはない銃撃戦も、普通の娘さんである宮沢りえがなんでそんなスナイパー並みの命中率なの?とか思うのは無粋なのだろうけど、まあ苦笑いが止まらないです。日本が景気よかったころの記録映像として解釈。
あっ監督は若松孝二。この反骨の監督は心中どういうつもりでコレを撮ってたのだろう・・・。
挙げてきたタイトルの中では辛うじてレンタルで観られるのがこれだけというのも、いろいろ誤解を招く所為ではある。

とりあえず内田裕也という人は日本でしか生まれ得ない、純和製のロックンローラーなのであった。
改めてFUCKIN' Forever!


ベリアルはラスカルである



「それ、知ってるよ」という概念があると思うのである。
後に続くのが「知ってるよ・・・・・」のテンテンテンであったり、「知ってるよ(笑)」の軽い自虐だったりするのだが、つまり「あんたも好きねー」という、ちょっとした後ろ暗さを伴うもの。
ただ、これは共犯者的な感覚であり、分かり合える者はドルーグ(仲間)だと思ってよろしい。
書籍や音楽はわりと吟味してから手に取る媒体という気がするのだけど、映画に関しては一番「事故物件」にぶつかる率が高いと思う。もちろん「そんなものは手に取りません」というオーガニックなベジタリアンみたいな方もいるだろうが、基本的に体に悪いもんのほうが旨いんである。
「あれ面白いよね!」で済む作品はわりと一、二回しか観ないことが多いが、「ああ・・・・これな・・・・(苦笑)」系のほうが後をひくというか、再見率が高いような気がする。ダメなやつ、ひどいやつがカルトムービー化するのも、きっとそんな理由によるものなのだろう。

「それ、知ってるよ」の代表格のひとつが『バスケットケース』(82)ではないかと思う。
シャム双生児の兄弟が主人公。弟のドゥエインはイケメンなのだが、彼のわき腹にくっついて生まれた兄のベリアルは人間というよりは醜悪な肉塊。普段はバスケットケースの中に潜んでいる。
フリークスの悲しみを描いた名作カルトホラー、とよく言われがちなのだけど、自分の見解では「トンデモな兄貴を持ってしまった弟の悲劇」である。
ベリアルのデザインがそもそも、くちゃっと身体の尺が短くて、牙が生えていて爪が尖っていて目が赤く光って雄叫びをあげるという、幼稚園児の落書きみたいなもの(先生に見つかると怒られる系のやつ)。
最初こそ兄弟が団結して、自分たちを無理矢理分離手術で切り離した医者を狙って殺すためにがんばるのだが、弟に初めての彼女が出来そうになると、キモくてウザくてマジ卍な兄貴につきあうのが嫌になってくる。テレパシーで会話できるところがまたウザい。
兄は弟につれなくされると怒りまくり、部屋をメチャクチャにして暴れるのだが、ここはコマ撮り撮影なのでちょこまかした動きのベリアルが何回か観ているうちに「かわいいなあ」などと思ったりする。あと、ごはんをムシャムシャ食べるところがかわいい。
ベリアルは黒目勝ちで見ようによればキュートでもあり、超おこりんぼだったりもするから、一見愛らしいけど実は凶暴なアライグマと共通するものがある。というわけで「ベリアル=ラスカル説」が成り立つ。誰もそんなことを言った人はいませんが。
ちょいゆるキャラっぽい気がしなくもないので、どっかのメーカーでソフトにアレンジして、キーホルダーとかバッジとかスマホの待ち受けとかを作ってみたらヤングなガールに「キモかわ~!」なんて感じで受けるのではないか。「これが今女子高生の間で大流行のベーちゃんです!」。

実はこの作品には続編があり『バスケットケース2』『90)、『3』(91)がそれである。
はっきり言って完全に蛇足。誰も『イレイザーヘッド2』なんて観たくないでしょう?
とはいえそのような物件が存在しているのであれば、ベリアル・ファンとしては観なければならないのは義務だ。もちろんスルーしても人生には一向に差し支えない。が、それこそが「彩り」だと信じているんだよ、ぼくは!!
前作でホテルから墜落して死んだと思われていた兄弟が生きていて、指名手配と知りつつも、とある母親と娘が引き取り、家に迎える。
その屋敷は実はフリークスの館であった。母親であるルースがあちこちからフリークスたちを貰い受け、保護していたのである。
登場するフリークたちはグロテスクだけれどもキッチュで、現実の奇形としてはありえないデザイン。
楳図かずおの「妖怪百人会」に近いと思う。さらにわかりやすく説明すると、赤塚不二夫が描くキャラっぽい(「超出っ歯くん」なんかは特に)。
感動的なのはそこにベリアルとまったく同じ姿のフリークス女子・イヴがいて、ベーちゃんイヴちゃんは恋人同士となり交合にまで至る。ジェイポップで言うところの「出会えたキセキ」ってやつだね。
チープだがちゃんとしたホラーだった前作と比べたら、目も当てられないくらいの悪ノリ。
制作費もたくさんもらえたので「いろんな造形のフリークスが出せて楽しいなあ」といったところか。
「東京コミックショー仕様」の胎児くんや、ラストの「人間裁縫」は本当にバカ。まあしかし、それが彩りである。
『3』はさらにエスカレートして、もはやドタバタコメディ。イブが妊娠してたくさんの赤ちゃんを産み、ルースがなぜフリークスを守護するのか、という謎が解ける。どうでもいいとは思いますが、それが彩りです。あっ、「ハイパー・サイボーグ・ベリアル」も登場する!
※実はこのルースおばちゃんが一番のキチガイなのであった。
三作ともフランク・ヘネンロッターが監督を手がけ、サーガとしてもまあまあちゃんとしている。つまり通して鑑賞すると「なかなか立派な変態映画だなあ」ということである。
とりあえず一作目はどこのレンタルショップにも置いてあります(続編がどうしても観たいという好事家さんには、ブルーレイが入手可能です)。


極悪イルザ・フォーエバー



もともと残酷な女殺し屋とか残酷な女マフィアとか残酷な女カラテ使いとかが大好物なので(ルーツをたどればキューティーハニーの敵役「パンサークロー」あたりに行き着くと思う)、ダイアン・ソーン主演によるイルザ・シリーズはアリであります。
これは三部作であり、一作目が『ナチ女収容所 悪魔の生体実験』(74)で、ナチス強制収容所の女所長。二作目が『アラブ女収容所 悪魔のハーレム』(76)で、アラブ・ハーレムの護衛隊長。三作目『シベリア女収容所 悪魔のリンチ集団』(77)で、スターリン体制下の収容所のボス。
何をされているかというと、捕虜への拷問およびその御褒美としてのセックス。
特に一作目のダイアン様はナチの制服の着こなしが見事であり、ジャケットにもなっている両手に腰を当てての「イルザ立ち」がキメキメである。ああ姿勢がいい。
これは内容の悪趣味さと、バスト1m超えと言われるダイアン・ソーンのおっぱいぷるんぷるんファックシーンのからめ手で大ヒットしてしまったので、ジャンル映画大国のイタリアで「ナチス・プロイテーション」と呼ばれる史上最悪のジャンルが続々と制作された。平たく言えば「エログロナチ映画」。
自分はこのジャンルが大好きで、中古DVDが安価で売られているとつい買ってしまうのだが(『美女集団監禁/ゲシュタポSM収容所』とか『獣人地獄!ナチ女収容所』とか)、なぜ好きかというと、こいつらは言い訳がきかないくらい最悪な内容だから。
レンタルではほぼ壊滅状態だし、再上映してくれる劇場などあるわけがない。
とはいえどんな犯罪者にも弁護士はつくわけで、そこは弁護してあげたいと思うのが人情(人情?)。
つまり、グラムロックや初期パンクのような徒花の魅力。一瞬で駆け抜けて消えてしまったものに対するロマンである。前にも書いたが、お花畑だけがロマンではないのだ。
本当にしょうもない。収容所の捕虜の女性たちはみんな若く、肌もきめこまかく、おっぱいもおしりもむちむちぷりん(わざとひらがなで書いてみた)。めっちゃ栄養が行き届いてる。
セクシー美人の捕虜たちをブロンド巨乳のイルザが拷問したり人体実験に使う。
その残虐なイルザも本来お慰み用であった男にマジ惚れしてしまい(だって女の子だもん!)、最後は身を滅ぼされるというのが全シリーズを通してのパターン。
当時ダイアン・ソーン、42才。超熟!
アホである。そして致命的なのが「ナチスのくせにみんなイタリア語か英語で喋っている」という点で、つまり悪趣味な大人の絵本、早すぎたコスプレというわけで、ある意味で無邪気。
ガチのネオナチが観たら本気で怒るかもしれない。しかし結果的には「ナチスを冒涜している」ということであり、それはいくらやってもいいことであると思う。
もちろん「ユダヤ人の身にもなれ」と言われたらぐうの音も出ないのだけれど、これらの作品群はそのような「政治的正しさ」が流布する以前に作られた問題児たちなのである。

DVDにはコメンタリーが収録されていて、監督やダイアン・ソーンが楽しげに語っている。
特にダイアン様は朗らかなおばちゃんっぷりで、彼女はもともとコメディエンヌだったという。
今は結婚式の司会業なんかもやっており、リクエストがあればナチの制服を着てくれるとのこと。いい人である。
「私にはちゃんと食事が出るのにエキストラには出なかった。なのでみんなに食事を出さなければ私も食べない、と言ったら、翌日から本当に私の食事も出てこなかった」と笑いながら語っていて、本当にいい人だ。彼女のもとにはいまだに世界中からファンレターが届くという。やっぱりね、カッコよさという点では抜きん出ているからだろう。
監督ドン・エドマンズも「これだけの低予算でこれだけのものを作れるものなら作ってみろ」と言っており、世間的には最低最悪でも、制作チームは自分たちの作品に誇りを持っている。
ハーシェル・ゴードン・ルイスも残酷表現ということにおいては、一歩だけ駒を進めた。そこを後輩たちが面白く肉付けしていく。タランティーノやロブ・ゾンビなどの本当に面白くてクレイジーな映画作家も実はこの(手の)映画のファンなので、ナチプロとはいえ半歩くらいは駒を進めていたのかもしれない。やはり暗黒史は面白い。
ちなみに劇中で悪と色欲の限りを尽くすナチ将校たちも、ラストには必ず制裁されます。

二作目『アラブ女収容所』は拷問拷問また拷問で(冒険冒険また冒険っぽく書いてみました)、ナチスというロケーションには及ばないもののなかなか面白い。「駝鳥の目玉だと思って無理矢理食ったら実は人の目玉だった」というひどいギャグもあります。
三作目『シベリア女収容所』は捕虜が全員男なので、すでに看板に偽りあり。
しかもシベリア・パートが途中で終わってモントリオールに飛んでしまうというグダグダぶりで、監督も違う。
『ILSA THE LEGEND』は中古DVDをポチって所有しているのですが、ボックスの良さは「三作目は駄作だけどシリーズものだからまあいいか」と、やさしい気持ちになれるところ。
ちなみに帯がふるっているので記しておく。

地獄の女拷問人イルザ、ここに降臨!
「今度は全部ブチまけるわよ!」




見つかったのは『悪魔のハーレム』。
実はいろいろ趣向を凝らした、なかなかのエログロ・エンターテイメントなのであります。

ディフェンスは正しい!



アナログな考えというのは重々承知だけれど、やはり作品というものはパッケージ化されてなんぼだと思う。ダウンロードでは体の隅々にまでその「怨念」が行き渡らない。ちなみにアーティストに対し「ファンです。いつもユーチューブで見てます!」っていうのはそれ全っ然ファンじゃないですから!
たとえば昔の角川文庫版・夢野久作や春陽堂文庫版・江戸川乱歩なんかはそのカバーを見ただけで「全部欲しい!」と思ったものだよ。ものすごく禍々しいフェロモンを放っていたのだ。
個人的に同じにおいを感じるのは平山夢明大先生の著作で、怪談じゃなくて小説のほう。「彼岸系」というか、どれもこれもヤバい装丁ですよね。あとはやはり楳図かずお大先生で、オリジナル版はもちろんだが祖父江慎大先生がデザインした一連の単行本(小学館)が超超超カッコいい。

CDやDVDのパッケージも同じこと。紙一枚というなかれ。そこが「命懸け」であれば買ってしまうのが人情というものだ。
『フォーリング・ダウン』(93)のアートワークをご覧になって頂きたい。白シャツの会社員姿のマイケル・ダグラスが両手にそれぞれスーツケースとマシンガンを持っている。
「これはどういう映画なんですか?」と聞かれたら、「こういう映画です」と即効で返せる素晴らしいデザインである。
真夏。離婚した妻が引き取ったわが娘の誕生日。一刻も早く会いたいが、渋滞。そこで男(マイケル・ダグラス。後半でコードネーム「ディフェンス」と呼ばれる)は早速ブチ切れ、車を乗り捨てる。
公衆電話で電話をかけたいのでコンビニでコーラを買い、細かい釣銭をもらおうとするが、韓国人店主の言い値で買ってしまうと電話がかけられない。どうにかしてくれと頼む彼に店主は応じてくれない。
そこでディフェンスはブチ切れ、手元にあったバットで店内を滅茶苦茶に破壊する。
店を出たらカツアゲ目的のチンピラを返り討ちでボコボコにし、彼らのマシンガンを手に入れる。
お次はハンバーガーショップへ。朝食メニューを頼むが時間帯を数分過ぎているため「お出しできません」と断られ、ついマシンガンのトリガーを引いてしまう。
恐怖で固まる客たちの前で改めてメニューをオーダーすると、出てきたものが写真とまったく違うぺちゃんこなハンバーガーで、それに一言、「おかしかないか?」。
そしてハンバーガーショップを出た後、今度はミリタリーショップに入り、ネオナチでレイシストの店主とすったもんだのあげくバズーカ砲を手に入れ・・・という話。
荒唐無稽ではあるんだけど、彼を追う「その日が退職予定だった刑事」の好感度もあり、実に楽しく観られる。あまり評価されてはいないようだが、サスペンスというよりはブラックコメディの大傑作である。
しかもディフェンスはお店にはちゃんとお金を払っているので「そういう意味で事件性は無い」ってのが笑える。

ディフェンスの怒りは我々庶民が日常感じる不満なのだ。ちょっとしたものが高い、メニューの見本と出てきたものが全然違う、横柄な店主は最悪だ、etc。
さらに彼は予算消化のための無意味な工事現場を豪快にぶっ壊し、自分たちが楽しむだけのために広大な土地と緑を独占しているゴルフ会員のジジイたちに制裁を下す。これはもう「世直しヒーロー映画」である。
ラストは刑事との一騎打ちになるのだが、ここがものすごくいいんだな。名場面なので書きませんが。
「溜飲を下げる」というのは大事で、表現に触れてそれができるのならばベストなのだ。
それは人それぞれで、自分はこのような作品に触れるのが楽しいし、『男はつらいよ』全作がバイブルという人もいるだろう(たまにはそういう手合いも観てみればいいのにと言われそうだが、「下町に住む人に悪人はいない」みたいな性善説を延々押し付けられたら発狂しそうになるのであり、渥美清という人を特に嫌いになりたくもないので、スルーさせて頂く)。
もしもこの世に、恋愛小説と、友情マンガと、「魂が震える渾身の大作」映画と、「いつでもあなたを応援しているよ」系の歌しかなかったら、生きている心地がしない。むしろ死んだほうがいい。




淀川先生の名解説があったので貼っておきます。

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HN:
すうさい堂主人
性別:
男性
職業:
古本すうさい堂
自己紹介:
自称「吉祥寺の盲腸」、すうさい堂のだらだらした日常の綴り。
本を読むという行為は隠微なこと、悪いことを覚えるためのモノ。

180-0004
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