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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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モラルも喰う「食人族」



今年の夏は「欅坂46・怒涛の全国ツアー」を追っていたので(ネットで)書きそびれてしまったことがいろいろあるのだが、その中に『食人族』(81)がある。
夏はスタミナをつけるためにお肉を食べましょう、そんな時期におすすめが『食人族』です、とやりたかったのだが、もう終わってしまった、夏。
ただ、アイドルを追いつつもこういうものに目配せをしているので、これを自分の中では「バランスが取れている」と言う。
実に悪名高い作品。同時期に制作された「食人映画」というジャンルのものをいくつか観てみたのだが、映画的な完成度は本作がダントツ。
他の作品があまり出来のよくないホラードラマであることに対し、こちらはすでにフェイク・ドキュメンタリーの手法を導入している。ゆえに妙な生々しさがあり、当時日本でも大ヒットしたのだが、そのときに劇場で鑑賞した観客たちの衝撃はいかほどのものであったか、と思う。
アマゾンの奥地へ突撃取材した撮影クルーの消息が途絶えた。彼らの足跡をたどるために学者たちのチームが現地入りし、原住民と触れ合う。やがて撮影隊が残したフィルムを発見。そこに映っていたものは・・・という物語。
出演している部族の皆さんが本物のアマゾン原住民である。

差別や残酷描写でいっぱいの『食人族』だが、実は最も悪名を轟かせているのが動物虐待であり、その最たるものがカメを殺して食べるシーン。
他のシーンは既存のフッテージから拝借したものとしても、ここだけはガチ。
で、このシーンに「文明側の」アマゾン・日本のカスタマーから物言いがついた。
「私はみていないのですが」と前置きしつつ、「こういうシーンがあるのはよくないのではないか」との書き込みがあり、予約が始まっていた本作のブルーレイが発売中止になったという。
別リリースで発売は再開されたが、アマゾンの『食人族』のリンクはすべて削除されているらしい。
『食人族』は観た人が百パーセント「嫌な気持ちになる」映画だ。それは、観た自分が保障します。
ただそれよりもっと「嫌だなあ」と思うのは、「わたしはみていないんですけれども」「こういう場面がある映画ってダメですよね?」という匿名の書き込みにより、「それはよろしくないですね」と、簡単にひとつの作品が葬り去られてしまうということだ(この投稿者は日本にも「すっぽん料理」という文化があることを知らないのだろうか?)。
「作品を愛する」予約したファンたちはガッカリしたことだろう。自宅であの「嫌な気持ち」を堪能できる権利を奪われてしまったのだ。自腹で「ブルーレイ買うよ!」という人がたくさん居た中で、「買いもしない、観もしない、名前も名乗らない」たった一人の者が売り手と買い手の市場をチャラにした、というわけ。
実はカメのシーンを巡り、この作品はすでに裁判沙汰になっている。ただし監督の「たしかにカメは殺した。だが肉は全員で食べた」と答えて勝訴している。すでに「済んだ話」なんである。
他の動物も手にかけて、食べた。「魚しかいない環境で肉は必要だった」と答えられれば説得力もある。
しかも監督のルッジェロ・デオダートは「私だって動物殺しは嫌だったが、それがアジアに映画を売るための必須条件だった」と話している。
要するに当時の血に飢えた「残酷な観客たち」のニーズに応えるためのパートだった。
もちろん今の映画ファンはそんなものは望まないだろうが、当時のモラルはそんな感じだったのかなあ、くらいの想像力はあってもいいと思う。
そもそも常に命の危機に晒されているアマゾンの野生動物を「食った」ことが、本当に動物虐待なのだろうか?むしろたくさんの猫たちが虐待され死んでいったという噂のムツゴロウ監督『子猫物語』など、絶対に観たくないのだが。
本作に「彼らと我々、本当に野蛮なのはどちらか?」というセリフがあるが、それをそのままこのカスタマーに捧げたい。
『デビルマン』に登場する「人間を食う」カメのデーモン・ジンメンはこんなことを言う。
「だからオレは殺さずに食ったのさ!人間の感覚では生きものを食うのは悪いことじゃない。そうだろう?」

特筆すべきはリズ・オルトラーニによりサントラだったりする。
冒頭で流麗なメロディが流れ、作品とのギャップに思わず笑ってしまったのだが、文明人クルーによる原住民の家を焼き討ちするシーンにもこの曲が使用され、なかなかの皮肉になっている。ちなみにこれをテンポアップすると「徹子の部屋」のテーマになります。
本当に藁葺きの家を燃やしているので、よくぞこんなシーンが撮影できたもんだと思う。撮影スタッフと原住民たちのギブ&テイクが出来ていなければ到底無理だ。
そして『食人族』に衝撃を受けた若き日のイーライ・ロスがそのスピリットをバトンし、最高に愉快で最高にイカれた『グリーン・インフェルノ』を作った。本作の本当の価値はそこにあると思う。
忌まわしいものには忌まわしいなりの価値がある。それがたとえレンタル店で埃をかぶっているとしてもだ。
そうなんです。やたらと「こういうシーンがあるから封印しろ」ってのはダメなんです。「表現の自由」とは破壊描写や残酷描写、過激なギャグなど「エクストリームな表現」を守るためにある。「何丁目の夕陽」とかには必要のない言葉。
ホラーに「伝説の作品、ついに解禁!」とかいうキャッチは実はいらない。簡単に手に取れて「うひゃー」とか「くっだらねー」とか思えればそれでいい。もともとそういうジャンルのはずである。


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