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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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悪たれ小僧が生死をかけて何をかいた?



PANTA自伝『歴史から飛び出せ』(K&Bパブリッシャーズ)を読む。
パンタというベテランロッカーに関しては、頭脳警察の再結成含め3回くらいライブを見ているので、好きは好きなんだけどそんなにソロを熱心に聴き込んだ覚えもないし、レゲエの『つれなのふりや』はカッコいいとは思うのけど、PANTA&HALの世界観が大人っぽすぎて(藁)今に至るまで半分くらいしか理解できていないっていう微妙な距離感ではあるのだが、70年代の頭脳警察は大好物です。
「頭脳警察」というバンド名がまずモダーン。パンクの元祖と言われているが、それっぽい曲は実は10曲もないんじゃなかろうか。

最も政治的ないわくつきのファーストは「ああ、当時の実況録音」くらいの感想しかなくて、発禁・回収されたセカンドにしても、実は半分くらいはフォークソングだし。
個人的には獰猛なパンクの雛形『ふざけるんじゃねえよ』で幕を開け、頭脳ビリーと呼びたい『歴史から飛び出せ』から、名バラード『時々吠えることがある』などが収録された「3」からが真骨頂。
4枚目『誕生』は地味は地味だが、心情を吐露しているだけの初期フォーク(っぽい)ソングと違い、かなりディープ。「俺は王者だ」「俺は影の黒幕さ」と魔王であることを宣言しているような『無冠の帝王』は無類のカッコよさ。いいアルバムです。
5枚目『仮面劇のヒーローを告訴しろ』は実質上パンタのソロだが、インテリジェンスとポップさとダーティーさが混じり合った名盤に仕上がっている。『ハイエナ』などの昭和ディスコティックな雰囲気がたまらん。
ギターをサウスポーに構えるパンタは、古今東西のロック・アルバムのジャケットの中でも、最もクールな存在感。
そして70年代最後の『悪たれ小僧』。パンタとしては「単なるロックバンドのアルバムを作りたかった」と発言しているのだが、これが「単なるロックバンド」だったら他の連中は一体どうなっちゃうんだい?と言いたくなるくらい重厚な作品。
タイトル曲や『戦慄のプレリュード』『サラブレッド』など、グランジの原型ですよ。
さらに『夜明けまで離さない』なるキラーチューンまで収録されているし、ラストの『あばよ東京』に関しては、初期の名曲『銃をとれ』のイメージは血が滾るような「赤」だが、この曲は血が乾いてどす黒くなった「鉄錆」のにおいがする。

政治の季節とまともに接近してしまうあたりが当時のパンタの青さだけれど、頭脳警察最大の魅力は「青臭さ」だと思う。事故記録として残っているという「日劇ウェスタンカーニバルのマスターベーション」事件にしても、楽屋のバンドマンたちに「ライブでマスかくから」と吹聴してしまったため引くに引けず、ラリってこすってはみたものの起ちゃしねえ、ってのが実際のところだったらしい。うーむ、青すぎる中村君。
でもって、当時のパンタの美青年ぶりと相まって、頭脳警察ってすごく「青春」ぽくていいなあと思う。
恐らく本当の地獄を歩いていたのは「村八分」あたりで、そのざらついた軌跡ゆえ彼らの残した音源はほとんどライブだが、およそ「ロックの音を作る」ということが無理解だった時代に、割と真面目にアルバムをリリースし続けた若き日のパンタ&トシによる「青いうた」たちを、好んで自分は繰り返しリピートするのだ。

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