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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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PUNKという価値観について一席ぶってみた



『レコードできくイギリスのパンク/ニューウェイブ史』(森脇美貴夫・著/音楽之友社)、読了。
著者は今は亡きパンク雑誌「DOLL」の代表として有名。ミッキー森脇氏はパンク勃発当時からシーンに関わり続けた人なので、この本は75年から90年までの音楽回顧録となっている。
後追いと違ってすべてリアルタイムで体験しているから、バンドやシーンが最高だった頃を肌で知っている。ゆえに「~枚目以降の彼らに興味はない」「現在の彼らにはまったく興味がない」と切り捨てる文章が多い。一番顕著なのが「二枚目以降のクラッシュはどうでもいい」ってやつで、こんなこと言ってる日本人を他に知らない。初期すうさい堂の常連さんでもあったので、「やっぱりセカンド以降のクラッシュはダメですか?」と聞いたら「うん」と答えてた。
パブロック、オリジナル・パンク、ポスト・パンク、ニューウェーブ、ポジティブ・パンク、ハードコアなどなど。意外とエレクトロ・ポップが多い。パンク雑誌の顔という立場上、あまり公に出来なかった嗜好か。
でも「レコード・コレクターズ」のユーミン特集で相当数アルバムレビューを書いていたから、基本的にポップスもお好きなのでしょう。
紹介されているアルバムを自分はどれくらい聴いているか数えてみたら、32枚だった。

一発芸みたいな連中が多いので、特にニューウェーブ系はファーストのびっくり度が一番大きい。
パンクから出発したバンドは音楽的に成長するとパンク・ファンからそっぽを向かれてしまう傾向があるが、じゃあ型どおりのことを薄くやってる後発の連中はパンクなのか?という矛盾も常に抱えている。
初期パンクといえどもバズコックスとシャム69とジェネレーションⅩでは音も主張も全然違う。どれを聴いても一緒ってわけではないんである。
パンク最大の功績は「PUNK」という概念を作った事なんじゃないかと思う。
パンクなアート・パンクな映画・パンクな漫画・パンクな小説・パンクな芸人・パンクな、パンクじゃない音楽。
「あれはパンクだ」という価値基準。こいつを物差しにすれば、深作欣二もジョージ秋山も江戸川乱歩も由利徹もゲンスブールもマディ・ウォーターズもパンクである。
自分にしてもパンクに影響を受けていなければ、果たしてこんなポンコツな店をこれだけ続けて来られたかというと、甚だ疑問。

ミッキー氏といえば思い出すのがリアルタイムのライナーを編集した『パンクライナーノート』(JICC)で、最近はすっかり見かけなくなったが、これが熱い本で購入当時は愛読致し候。
なにせ「このレコードを聴いて震えなければ、あんたとロックは縁がないんだぜ」みたいな文章がバシバシ飛んで来る。パンクなどほぼ理解出来ていなかったであろう当時の日本で、氏を含む何人かは「今これを聴かないで何やってんだ!」との思いをぶつけていたんである。
本著になると表現が「あの頃の彼らはカッコよかった」「圧倒的な普遍性」「エキサイティングな名盤」といったように回顧調になるが、何百枚ものアルバムを聴いた上で「森脇美貴夫」というブレないアティテュ-ドが形成されている。

去年までファンジン作りに参加させてもらっていた、パンク・フリークの某氏の連絡が途絶えて半年以上になる。
その人の店発行のファンジンだったので閉店となれば消滅するのは当たり前なのだが、すべての人の原稿を普通に受け取ったあと、どうも「あまり良くない辞め方」をしたらしい(予告なしの急な閉店に自分含め、かなりの人が戸惑っていた)。
一緒にイベントをやったときも「なんでこんなつまんない業界トーク聞かされてんのかな?」と思っていたのが実は正直なところ。
何百枚のレコードを聴こうが、何万円もする7インチを持っていようが、ツイッターやブログで一席ぶとうが、それまでつきあいのあった人すべてに砂をかけてトンズラした。
結局なにも学んでなかった、ということ。そういうのがパンクな生きかたではナイ。


この本では紹介されていなかったカッコいいバンドふたつ↓


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