ハロウィン終了。うちのまわりも仮装親子の行列がなかなか賑やかであった。
ハロウィンは嫌いではない。まるで興味がない神さんキリストさんを讃えるクリスマスと違い、悪魔やモンスターやコミックキャラと一体化して楽しんでしまおうという、どっちかというとけしからん方向に着地するお祭りだから。真面目な日本に定着したのも少し不思議。
最近はそうでもないけど、かつては「クリスマスイブを楽しめない奴は終わってる」という圧力がとても強かった。それに対してハロウィンは、アンチからは「バカみたい。くっだらない」とバカにされているのだろうが、やってる側は「バカを承知」でやってるので、別に関係ない。非常にバランスがいい。
どちらも本来の日本に関係ないことを全力で騒いでいる。ならばハロウィンの突き抜けたバカバカしさのほうが、よっぽど清々しい。
今年のハロウィンの話題といえば欅坂46。実は今回の件で初めて知ったグループ。
ああやっちゃったねという印象。ナチス風の衣装。というか、もろナチ。ユダヤ人協会からクレームがつき、大炎上。
で、自分は画像を見て「ナチでもかわいい子はかわいい」なぞと思ってしまい、さらに禍々しいものをまとっているというギャップで「かわいさ二倍マシマシ!」などと困った感じに盛り上がって、動画を検索した。
『サイレントマジョリティー』。か、かっこいい。かっこかわいい。誰一人ニコリともしない。笑顔を売りにしない。特にフロントの女の子の凛とした存在感。軍隊のように統制されたダンス。見ようによっては非常に際どい。
で、歌詞をちゃんと聴けばわかることだがナチズムやファシズムとは真逆のことを歌っているのである。このバランスは絶対に計算されたものだ。
その辺もちゃんと汲んで欲しいですよねホントーに!
岡惚れである。この件で方向転換とかしてしまったら非常にもったいない。
アイドルグループの「隣の女の子」化が著しい昨今。同級生や同僚あるいはそれ以下。ちょっと近づきすぎじゃないか?と思っていたところへの欅坂。ほぼ爆弾。
というわけで弁護したくなってしまった。ユダヤ協会が怒るのは当然としても、ハロウィンから発生した件だし書いてしまうのだけど、日本人にとってナチスとは悪魔やモンスターと同列の、(困ったことに)親しみを感じるアイコンなんである。
かつて子供番組の敵キャラは明らかにナチをモデルにしたものが多く、実は仮面ライダーよりもショッカー派だった自分が特に好きだったのが、もろナチの「ゾル大佐」であった(彼の正体が狼男ってのもカッコよかった)。
当時はもちろんナチもヒトラーも知らないが、そうやってDNAに沁み込んでいった気がする。
イナズマンの「ガイゼル総統」(総統!)なんてさらにエグくもナチだが、その頃はなんとなく容認されていたわけだ。好きでした・・・・。
海外の残虐なシリアルキラーを、日本人からすれば例えばドラキュラのような、ダークファンタジーのように感じてしまう部分に近いのだと思う。
もちろんナチが行ったことは、最悪の蛮行である。
実はアーバンギャルドもまったく同じようなことをやっていて、キノコホテルもジャケが『愛の嵐』だったり、マリアンヌ様がブックレットでナチ帽子を被っていたりで、ちょいちょい皆さん「やりたがる」。
ただ悲しいかな存在がマイナーゆえ、あまり(まったく)大事にならない。
確かにナチ親衛隊の稲妻のような「SSマーク」はカッコいいし、制服はどこまでも洗練されている。日本の軍服なんて「反吐が出るわ」くらいしか思わないのだが。
ナチ・コレクターとしてはモーターヘッドの故・レミーさんが有名。彼の言い分がイカしていて「俺はドイツ軍のグッズが好きだが、それはデザインをいいと思っているだけだ。俺は黒人の恋人がいたこともある。だから俺は差別主義者じゃない」というもの。ザックリと清々しい。
とりあえずボスのプロデューサーも謝罪コメントを出したし、「今回はごめんなさい」で済む話。
「うっかり(本音の)差別発言」なら、社会的名士と言われている立派な方々がしょっちゅうやらかしている。
「彼女たちは自分のやっていることをまるで理解していない。嘆かわしい」と言うのならば、完全にアイドル側に罪はない。ただ着ただけだ。
学校の授業で触れただろうけど、そこだけつっこんで勉強する必要はまったくないですよね。
ま、兎にも角にも世間から注目が集まった。もちろん炎上商法?という気がしなくもない。
しかし、何かやらかして世界中から顰蹙を買うなんてのは、本来ロックンロールの役割だったはずだが、今回は日本のアイドルにお株を取られてしまった。
という意味では大変情けない話でもある。数十年前にジョン・ライドンが放った「ロックは死んだ」発言がますますリアル。
だが「アイドルは生きてる」。「今」だ!