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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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トッド・ソロンズの地雷犬物語

 

『トッド・ソロンズの子犬物語』(2017)。これは「トッド・ソロンズの~」が重要なのであり、つまり「混ぜるな危険」とか「お子様の手には触れない場所で保管してください」のような但し書きと同じ意味である。
なので子犬じゃなくて「トッド・ソロンズのコビトカバ物語」でも、「トッド・ソロンズのアメフラシ物語」でも、「トッド・ソロンズのポルカドットスティングレイ物語」でも成立する。
ウィンナードッグ(ダックスフント)がバトンされるエピソード4話で構成されたブラックコメディ。
登場する犬がかわいいからと本気の犬好きの人が観れば、怒りで逆上すること必至の怪作。はい、ぼくはちゃんとここまで伝えたよ。

第一話。癌で治療中の子供に父親が犬を買い与える。のはいいんだけど、「躾け」に対して子供が「しつけるってどういうこと?」と聞かれると父親は「犬の個性を打ち砕くことだ」「個性とは、お前をお前らしくしているもののことだ」と答える。
例によってあんまりな応酬だが、「躾け」は人間にも使う言葉ですよねえ。うーむ。
子供は親の留守中にウィンナードッグにシリアルを与えて、下痢便をぶちまけさせて大目玉を食らうのだが、すべての動物映画が避けて通ってきたマジな汚さです。
その後、犬を避妊手術に連れて行くことになるが、母親は「ママの飼ってた犬は野良犬にレイプされて病気を移されて死んだのよ」とまたまたあまりにも、デリカシーがない言葉をぶつける。
もちろん両親は立派な社会人であり、立派に子育てをしている、つもり、なんである。
エピソードが終わる頃には幼い彼は、「どうせみんな死ぬんだ」と達観しちゃう。
病院に運ばれた犬は、女性の看護士によってそっと連れ出され、そこから第二話へ。

この第二話がちょっととっつきにくいのだけど、先の女性が名が「ドーン」で、『ウェルカム・ドールハウス』の後日談になるという仕掛け。
ドーンは偶然、同級生でいじめっ子だったブランドンと再会してなんとなくいい感じになり、彼の家へ。
妹と弟がいたが、二人ともダウン症。
音信不通だったブランドン家の父親が死んだことを妹と弟に伝えると、彼は車で当てのない旅に出ようとする。ドーンも同行することに決め「ドゥーディー(犬の名前。意味は「うんち」)はあなたたちに預ける」と、実質上、犬を捨てる。
「好きな男と好きなように生きるので、犬はもうどうでもいいです」ということ。ひっどい。

そして人をなめきったインターミッションの映像(※休憩時間。90分しかないのに!)の後、ダニー・デビード主演の三話へ。彼独特の体躯と、ヨレヨレ感が合わさってなんともいい風情。
ダニーは売れなくなって映画のシナリオ学校で講師をしている脚本家。生徒はバカばっかり。
しかも生徒はダニー式の「だったら、どうする?」という発想法を古臭いといってバカにしている。
あるバカ生徒はいろいろまくしたてるけれど「君の好きな一本は?」と聞かれると「えええ。多すぎて答えられませんよお」と答える。しかも「あっそれは引っ掛け問題ですね?」。バカは余計なことを考えるものだなあ。
といったバカを相手にしているうちにストレスが溜まりまくり、ある出来事をきっかけに、彼は学校にある過激なリベンジを仕掛ける。
もちろんソロンズ作品なので派手なことは起きないのだが、彼の理論「だったら、どうする?」がブラックなオチへとつながっていく。

最終話。金持ちのおばあちゃんに金の無心に来た孫娘。しかも彼氏を連れて。
その彼氏ってのが絶妙にアホアホなスタイリングで決めたボンクラ黒人で、自称アーチストであり、名前はファンタジーと云う。
そして我々はダメ孫が盲目の祖母に無心する様子を「ほぼリアルタイムで見せつけられる」という意地悪にあう。せっかく、映画をみているというのに、だ。
アートかぶれの孫は女優にも首をつっこんでいるらしく、「今度役がついたの。ジャンキーの売春婦で。出番はちょっとだけど深い役なのよ」。そんなわけ、ねーーーーだろーーーっての。
しかも孫は「おみやげ」としてダチョウの卵をひとつ持ってくる。一体何がやりたいのか?アートか?
彼らが帰ったあと、老婆は夢を見る。それは少女たち(かつての自分。人生の分かれ道で捨てていったわたし)がお別れの挨拶をしに現れるというものだ。
ひとりひとりが「人生をがんばったあなた」「他人を愛したあなた」「自分を愛したあなた」「母親や娘を許したあなた」etcで、最後が「チップをはずんだあなた」。
彼女たちが全員手をふり、「さよーならー」。
老婆は「行かないで!」と、はっと目覚める。「チップをはずんだ自分」にまでバイバイされるとは、この人にはいったい何が残っているのか?という残酷なオチ。
そして老婆が飼っている犬(名前はキャンサー。「癌」という意味)が・・・・という愛犬家憤慨のマジでひどいラストがあり、休憩時間(ははは)にも流れた妙に哀愁のある曲でエンド・クレジット。
すべてのエピソードがピーカンで展開し、よく考えたらトッド・ソロンズ作品はひどいことがおきるからといって、曇天や雨になったりとかのわかりやすい記号は皆無であり、彼の色合いはまさに「アメリカの青い空」のように、明るく突き抜けてポップなのだ。


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