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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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内田裕也のファッキン追悼上映会に行ってみた



池袋新文芸座で行われた内田裕也追悼上映会『スクリーン上のロックンロール』。2日だけ出かけた。
「死んでから盛り上がりやがって」と言われそうなのだが、実際レンタル店では彼の主演作はもはや壊滅的に置いていないのである。こういう機会に観ないと。
『餌食』『水のないプール』『10階のモスキート』『コミック雑誌なんかいらない』とすごいタイトルが並ぶ日は劇場がパンパンだったようで、残念ながら混雑が恐ろしい人間としては静かにスルーした。
『餌食』なんかはVHSしか出ていないし、なんといってもこれを観てレゲエにはまったので、行きたかったのだがなあ。世界一凶悪なレゲエ映画、DVD化希望。
とはいえ、他にもレアな作品の上映があった。まずは『嗚呼!おんなたち 猥歌』(81)と『少女娼婦 けものみち』(80)。どちらもポルノ。そしてどちらの内田裕也も最低で最高。

『嗚呼!おんなたち』の内田裕也はあまり売れていないロックシンガー。とにかくろくでなしだがすけこまし。
というより、目をつけた女は場所をかまわずレイプ。自分の奥さんだってレイプ。合意の上とか、そんなの関係ねえ!フェミ系の方が鑑賞されたら激怒しそうなキャラクターであり、今はポルノでさえこういうものは作りにくくなっているのかもしれない。
実際も内田裕也を「あんちゃん」と呼ぶ安岡力也がマネージャー役であり、彼らのバディムービーととらえることも可。力也が怒り任せにシャツをビリビリ破くとそこには薔薇の刺青が彫ってある、という演出がものすごく安易でいい。
冒頭には国鉄服時代のアナーキーが登場し、レコード化できなかった『タレント・ロボット』をまるっと演奏。映画の内容ともシンクロする。
内田裕也がジョニー・ロットンのTシャツでスターリン時代の遠藤ミチロウのようなライブパフォーマンスをするシーンもあり「ジャパニーズパンクのあけぼの」のにおいも感じられる。
ちなみに裕也氏のオリジナルで『PUNK! PUNK! PUNK!』というのがあるのだが、全然パンクじゃないグッド・オールド・ロックンロールである。
その気はないんだが、この当時の内田裕也の強烈なフェロモンは裸になったときも顕著であり、贅肉がなく、首も長く、そしてケツがきれい。これはモテるわなあ、と思う。

『少女娼婦』は海辺の町を舞台に、トラック・ドライバーの役で登場。合意の上ではあるが女子高生とやりまくる。現在では絶対アウトです。
そしてこれは観念的な会話といい、ポルノでATG作品をやってみた的な内容 。監督はどちらも神代辰巳。
少し前に観た『赤い暴行』なるポルノも実在した(売れなかった)バンド「DEVILS(デビル)」のメンバーが主人公の「青春残酷ポルノ」で、この映画にも本人役の「内田裕也」として出演していた。
彼のロックンロール精神は当時のポルノムービーと共鳴していたらしい。

映画祭のしんがりに控えるのは『エロチックな関係』(78)と『エロティックな関係』(92)。
『エロチック』はポルノでありながら『野良猫ロック』シリーズなども手がけた長谷部安春の脚本・監督。
完全に初見であり(ソフトもみたことがないから相当レアか?)、個人的には一番の目玉。
おしゃれでフレンチである。なんといってもサントラがすべてミュゼット!
内田裕也はあまりパッとしない探偵の役。とはいえ秘書のエロいおねえさんとはやりまくっている。
珍しく依頼人がやって来て妻の浮気調査を頼まれるのだが、それは闇の事件に関わっており、巻き起こる命からがらのトラブル、ってなストーリー。松田優作の『探偵物語』を連想させるが、こちらのほうが先。
この作品の内田裕也はコミカルで飄々としたとてもいい演技をしている。コワモテではない裕也氏を見られるという点でもなかなかレア。レイプする役が多いけどここではほとんど女性に乗られているってのが面白いですね(そうでもない?)。
ラストの悪戯っぽい笑顔を見ると、これはモテるわなあと思うのである。

『エロティック』はリメイク作である。
もともと『エロチック』がポルノならではの大雑把な話であるのだが、この脚本をそのままに宮沢りえとビートたけしという超豪華なメンツを共演として迎え、ハードボイルドとしてお色直しして、オール・パリ・ロケで行うとどうなるかというと、大失敗作が誕生するのである。
そもそもパリで撮影する必要がこれっぽっちもない。多分、元ネタがフレンチ風味だったから。
つまりバブルだったわけで、今じゃ考えられないものすごく贅沢なお金の使い方なのだ。
ストーリーは律儀にオリジナルを踏襲しているのだが、なにせ大雑把な脚本なもんで、これをエンタメのハードボイルドとして仕立てているものだから、ゲスな書き方をすると「ガバガバ」なんである。雑な脚本が映画の規模に合ってない。
当時の宮沢りえはめちゃめちゃかわいいし、ビートたけしに至ってはこれを本物の「イケメン」というのではないだろうかと思う。
そして役者としては内田裕也より一枚も二枚も上手だ。ここでも歴然たる差がついてしまった(というか裕也氏、演技が下手になってる・・・・)。
オリジナルにはない銃撃戦も、普通の娘さんである宮沢りえがなんでそんなスナイパー並みの命中率なの?とか思うのは無粋なのだろうけど、まあ苦笑いが止まらないです。日本が景気よかったころの記録映像として解釈。
あっ監督は若松孝二。この反骨の監督は心中どういうつもりでコレを撮ってたのだろう・・・。
挙げてきたタイトルの中では辛うじてレンタルで観られるのがこれだけというのも、いろいろ誤解を招く所為ではある。

とりあえず内田裕也という人は日本でしか生まれ得ない、純和製のロックンローラーなのであった。
改めてFUCKIN' Forever!


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