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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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仰げば尊しわが師のミチロウ



ネット社会と言われて久しいが、なんだかんだで情報操作しているのはまだまだテレビなのかもしれないと、令和元年の番組を見て思ったのである。
渋谷や道頓堀ではしゃぐ人々や、なんだか知らんがずっと行列で並ぶ人々。それらをさして「令和元年、盛り上がっております!すごいですねー」などと言っておるが、実はもっと多くのほとんどの日本国民が、家や職場などで淡々と過ごしているのである。
テレビ的には渋谷や道頓堀はバカがたくさん釣れるからありがたいわけで、別にあれが国民を代表する姿ではナイ。
まあしかし渋谷なんてかつては「80年代パルコ文化」(いけ好かないとかどうとかはこの際置いておく)とか、90年代の「渋谷系」なんてカルチャーの流れがあったはずなんだが、早朝など行ってごらんなさいよ、完全にバカ(になった状態)の若者がわんさかで、バカの一夜漬けがゴロゴロ落ちている。
若い人はいいですな、などとまったく思わないのは、さすがにあそこから何かが生み出されるとはもはや思わないから。やりたい放題に撒き散らされるゴミとゲロ以外。
ここに必要なのは怖い大人の存在、つまり「自警団としてのヤクザ」なんじゃないか、などと思ったりする。
来年の五輪に向けて渋谷区はどんなクリーン計画を打ち出すのか今から楽しみである。いひひひひ。
「令和元年の午前0時」に結婚式を挙げることで自分たちの承認欲求を満たした薄っぺらいカップルには、貴方がたと同じような薄っぺらい幸せが訪れますように。
話が逸れた。といった、新時代のよろこびに湧く日本列島に(一部の人間に)冷や水をぶっかけたのは、遠藤ミチロウ死去のニュースであった。

膵臓ガンというのは知っていたから、まあそうだろうなという感じだったのだけれど、「ある時期だけ好き」がほとんどの中で、彼は数少ない最後まで追いかけたアーチストであった(そういう意味では内田裕也も同様)。
ミチロウさんに関しては昔からいろいろ書いているのでいまさらではあるのだが、彼はたぶん「日本で初のメジャーなパンク・アイドル」だったのだと思う。
ギズムやガーゼのようなマイナーではなく(しかも超こわい)、ラフィンノーズ以降は露骨なほどパンクスのアイドル化が進むが、危険度もリスペクトされつつポップ・アイコンとしてその手前でとどまり、さらにはサブカルや文化人からも支持を得る。
意外とザ・スターリンのあり方はキャロルに近かったのかな?と思うのである。

スターリンはずっと重要なのだけど、晩年まで続けたアンプラグド・スタイルも同じくらい重要で、この姿勢にブレがなかったから最後まで支持できた。
で、アンプラグドのトリオ「M.J.Q」の『unplugged punk』と、最後のソロアルバム『FUKUSHIMA』を聴いている。
『unplugged punk』はアコーステック・ギター二本(ミチロウ/山本久士)とドラム(クハラカズユキ)によるベスト・オブ・ミチロウ的な内容。
アコギで再演される『負け犬』や『下水道のペテン師』『虫』など最高(生楽器編成なので特にキューちゃんのドラムが冴える)。であるのだが、白眉はこのバンドのオリジナル『自滅』と『結末』。
真新しい絶望。彼は常に新しい絶望を更新する。それが救い。つまりパンクであるということ。

『FUKUSHIMA』はもちろん彼の故郷、福島の原発事故がテーマ。あまり思い出したくない事例なので聴く回数も少なかったのだが、聴きなおせばやはり、遠藤ミチロウはブラックユーモアの達人なのだ。
福島(ふぐすま)弁がスパークするミチロウ版のラップ『オデッセイ・2014・SEX・福島』に始まり、皮肉たっぷりの『原発ブルース』、セルフパロディの『STOP JAP 音頭』『三陸の幻想』、民謡ナンバーに、友川かずきのカバー『ワルツ』。そして『NAMIE(浪江)』『大阪の荒野』『放射能の海』はずしりと重い。抽象的だが随所に「あのこと」を指す言葉に溢れている。
推しナンバーは『オレの周りは』。毒のある言葉を吐き散らす、彼が得意としたポエトリールーディングスタイルの到達点ではないか?

オレの周りは聞きたくもないニュース 
欲しくもない笑いと胡散臭い正義感と
常識だらけの知ったかぶりと 黙りこくった老人ばかり
窓を開けるのも嫌になる 鳥の声はカラスばかりで 
TVのCMは入院保険と生命保険の繰り返し
サプリメントの大洪水
どこまで生きりゃ気が済むんだと
死んだあとまで心配してる


平成を振り返るテレビ番組の報道局制作のもの以外はやはりというか、原発事故については触れられなかったという。圧力があったのは見え見えで、国をあげてあの一件は「なかったこと」にしたいらしい。
ミチロウさんは福島復興プロジェクトの中心メンバーの一人でもあり志半ばであったのだが、やはり日本はそんな国でした。4月に死去していた事実をあえて令和元年に発表した意図を、我々ファンはちょっとでも考えたいところ。
福島県は「名士」としてその名前を刻むのだろうけど、我々にとってはあくまでも表現者としての遠藤ミチロウ。
彼は表現者と運動家との活動をわりと振り分けていたので、そこは正解だった。
運動に関わったことばかりが先走って「作品はよく知りません」ではちょっと不憫な気がする。やはり作品を流通させ、ライブで集客してナンボが、名のある表現者だと思う。
パンク/ハードコアは言うに及ばず様々なミュージシャン、著述、映像、コミックなど彼に影響を受けリスペクトする表現者は数多い。
つまり「遠藤ミチロウを通った奴らはカッコいい」ということである。一般人だって然り。
そーいえば、天国の扉を叩いちゃったザ・スターリンのメンバー、これで三人目なんだなあ。
ありがとうございました。




さっさとくたばれ!バイバイ!

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