漫画家・土田世紀氏、肝硬変のため死去(末井昭さんのツイートより)。享年43歳。
これは早すぎる。急遽、追悼コーナーをでっちあげる。
おすすめは短編集『ノーサンキューノーサンキュー』で、特に表題作は秀逸。
子持ちの無職男と、妻を失ってから生きる気力をなくしている警察官はダチ同士。
無職男は警察官から金を借りてはパチンコなどでやりすごし、趣味である「ベンツのエンブレム狩り」を続けている。
が、警察官にエンブレム狩りの現場を見られてしまう。
後日、親子連れで遊園地に呼び出された無職男は「ダメ男のストレス解消で結構じゃねえか!」「ワッパはめろや!」と開き直るのだが、警察官はボロボロと涙を流し、
「いっぱいいっぱいだよな・・・・」「俺もお前も・・・」「今、きっとピンチなんだよ」
「・・・・やれよ、大山」「世界中のベンツからエンブレム取りまくれ!」
と、見逃すってだけの話。
友情に殉ずるってことは、必ずしも社会的に正しいとは限らないんだよなあと。男泣きの、いい作品集です。
ドラゴンアッシュのベーシスト氏も死去。心不全。ううむ。思うことはあるがあえて書かない(そして思い入れはない)。
ギターウルフのベースウルフ・ビリー氏と同じ亡くなり方。
90年代のバンドマンに決定的な影響を与えたのは、フリッパーズギターとギターウルフなんじゃないかと思っている。
(あとはやっぱりハイスタンダードあたりか)
フリッパーズはオサレでオタクで、彼ら登場以降髪を立てなくても、Tシャツとスニーカーでライブをやっても、ライブでシャウトしなくてもよくなった。イタリア映画のサントラや昭和テレビ番組の音楽やソフトロックなど、それまで無視されていたものをメジャーに流通させたのは功績だと思う。
ギターウルフの後発への最大の影響力は「バンド名のカタカナ表記」!これに尽きる。
皮ジャン・グラサン・リーゼントといういでたちも、ウルフ登場以前には「いくらなんでも」いなかったと記憶する。
そして彼らが敬愛する「キャロル」を、音楽ファンがロックバンドとして、ちゃんと認識するようになった。あと、ジェーン・ジェットも。
しかし、ギターウルフの素晴らしさは「ほとんどまともに曲になってない」ってところで、『環七フィーバー』『ワイルドゼロ』『カミナリワン』などセンスはやたらといいタイトルをサビで連呼して、爆音ロックとして成立させている。
あの汚い音でそのままメジャーデビューってのが、ちょっとした驚きであった。
ビリー在籍時のライブは、10年くらい前にクランプス来日公演のフロントアクトで見た。
『仁義なき戦い』のSEと共に登場するオープニングが一番カッコいいってのが、少々問題であったが。
そういえばクランプスのラックス・インテリアも数年前に死んじゃったな。
心不全ってことはないが、自分も血圧は高いのでちぃと気をつけよう。とかいいつつ食生活に全然気を使ってないんだが。
自分は世界にひとつだけのお花「すうさい堂主人」であるわけなのだけど、「すうさい堂主人でいる割合」と「収入の激減」が完全に正比例しているということが、目下の悩みの種のお花畑なの。