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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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蜥蜴のロックンロール



さて本年度もがんばった、ということで自分へのご褒美にドアーズ全アルバム6枚組CDセットを購入。 もし若干とっつきにくいと思ったら、最大のヒットだが実は間奏が無駄に長いだけで大した内容がない「ハートに火をつけて」、詞曲ともに昭和歌謡のようなヒット曲「タッチ・ミー」、ハッタリを通してるだけで長ったらしいのみの「ジ・エンド」の3曲を無視すると、非常にシャープに全体像が浮かび上がる。
ジム・モリソンの悪魔的な風貌ももちろんだが、キーボードのレイ・マンザレク!60年代でもっともカッコいいミュージシャンの一人。
サイケデリックと呼ぶにはヒッピー思想皆無、ガレージと呼ぶにはメンバーの力量がプロフェッショナルすぎる、ポップスターと呼ぶには不穏すぎる、そしてベーシスト不在という、シーンのど真ん中で活動しながらも異端中の異端バンドであった。
初期の繊細さから後期のブルースシンガーとしての顔まで、モリソンのボーカルの、ごほっ(咳払い)、、一貫した「変態的」な魅力。
これほどセクシャルなボーカリストはそうそういないってなもんで、当時のアングラサブカル女子が夢中になったのも死ぬほど理解できる。60年代妖艶系男子であと思いつくのはミック・ジャガー、ルー・リード、イギー・ポップくらいか。
イギリスのバンドってのは意外とセクシャリティーが少ないように思う。
ついでに書くと天才ジャニスのシャウトはちょっとトゥーマッチだし、天才ジミヘンの音楽はなんか高等数学のようだし、天才ディランの詞はさっぱりわからんし、天才ジミー・ペイジが作ったハードロックのフォーマットがどうにも苦手だし、破壊を繰り返すキチガイバンドのボーカルがなんで野口五郎なのか?という疑問がどうしてもぬぐえないんだよなザ・フーって、といったところなので、パンクびいきの自覚も含めて60年代3大バンドはドアーズ、ストーンズ、ヴェルベット・アンダーグラウンドであります(ストゥージスはやっぱ70年代かな)。

モリソンの通称が「リザード・キング」であるように、コレハと思うロッカーはトカゲっぽいイメージがある。
リアルなロックンロールは、クールダウンが基本です。アゲアゲだったらそれこそ、すーぱーふらいだとか、みひまるじーてぃーだとか、あるわけですから。ゆえに体温が低そうな連中に魅力を感じるのである。

1st『ハートに火をつけて』、これはもうマスト。ラリりながらトライアスロンをやっているようなギリギリのバランスに溢れた名盤。ジムはこの時点で手を差しのべてくれてはいるが、掴んだその手は確実に冷たい。
2nd『まぼろしの世界』は、疾走感は後退したものの、常人では製作不可能な幽玄的世界。すべて、美メロだけで構成されているという奇跡。「アシッド云々」という以前に音楽でありポップ・アート。
3rd『太陽を待ちながら』は小休憩といった感じ。「ハロー・アイ・ラブ・ユー」が派手だが、シンプルながらも捨てがたいナンバー多し。フラメンコ出身のギタリストが唯一その腕前を披露する「スパニッシュ・キャラバン」が○。
4th『ソフト・パレード』はあまり評判が芳しくないが、ホーンいらないよなとは感じるものの、それ以外は骨太な演奏が多い。3曲目から聴くべし。ソフト・ロック側から評価するとまた違うかも。
5th『モリソン・ホテル』はへヴィなブルースと、それまでの持ち味が融合した後期の名盤。クスリと酒で太りだしたジムだが、その声はさらに黒く、ドスが利いている。
6th『LAウーマン』はラストアルバム。さらにブルースに接近し、ジムのルックスも当時山ほどいたであろう、「普通のヒッピーおじさん」のように変貌。でも、これも捨てがたき。初期に戻ったように繊細な「ライダーズ・オン・ザ・ストーム」を最後に、ジェームス・ダグラス・モリソンはパリのアパートのバスタブで死亡。
トカゲだったら水なんぞ平気だろうが、死ぬ間際は人間に戻っていたようだ。

パリにあるジム・モリソンの墓を訪問した友人は、そこに投げられている各種ドラッグをお持ち帰りしてウハウハだったらしい。ジャンキーたちが自分が吸うぶんと分けて、大先輩の墓に献花するようにクスリや大麻を置く。さらにろくでなしがそれをご馳走になるという図。どうやら彼の存在は死してもなお、「悪の温床」として機能しているらしい。

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