動画サイトで、『ラフィンノーズという生き方』を見た。
30年以上やってるベテランパンクバンド。平均年齢50.ボーカルのチャーミーは今年で52歳になる。
素でいるぶんには普通のおじさん。楳図かずおにちょっと似てきた気がする。だが年間80本以上のライブをこなす現役パンクロッカー。バンドはラフィン一筋でとにかく、80年代からのスタイルでずーっと続けてるってとこがすごい。
「GET THE GLORY」世代ってのがあるとすれば自分なんかは確実にそれなのだけど、人気があったからレンタルでちょっと聴いてたくらいで、あまり思い入れはない。
アイドルっぽい売られ方が鼻について(メジャー盤を聴いたときのガッカリ感!)、本人たちもそれでよしとしているようなところがあって、何よりも稚拙な歌詞。ノリだけのポップさで押し通している英語と日本語のチャンポンがもはやパンクとは思えなくて、一番近いセンスはサザンの桑田圭祐である。
パンクってのは実は歌詞の衝撃が重要なんで、スターリンやINUやフリクションや赤痢がそれぞれのスタンスで投げつける、「冷たさ」が本物だと思ってた。
あれだけ荒れ狂っていたハードコアのライブから死人が出たとは聞かない。つまり皆さんが「玄人のパンクス」だったからである。ラフィンの野音で3人が亡くなったのは、「素人さん」を巻き込んでのスタンスが生んでしまった事故。
ところが最近のライブはどうだ。えらいことカッコいい。そして「BURST 」あたりからたどり着いてきたのか、客層がえらいことカッコいい。
が、曲はやっぱり相変わらず好きになれない。けど、エグい。『聖者が街にやってくる』とか、まあだやってる。全身全霊で。・・・・エグい。全盛期のアイドルパンク時代より、今のほうがエグい。
バンドの運営もツアーの運転もメンバーだけで行い、音楽だけで食えていて、コアなファンもついている。これ、バンドとしての理想系なんじゃないかと思うけども、ひとたび歯車が狂えばその場で分解してしまう可能性も常にはらんでいる。
チャーミーは気仙沼出身。震災後の凱旋ライブで彼が放った、「何度でも再生してやるぜ、ラフィンもおんなじだ」
『ズーっとやってやんだよ!!』 の一言が強烈。こんな簡単な言葉なのに。
ラフィンってのはちとキャロルっぽいんだよな、と昔から思っていて、チャーミー本人も永ちゃんのファンを公言していた。だが矢沢という人はビジネスマンとしても有能なのでかなりいろいろな物が見えていたが、チャーミーはラフィン以外のやり方がわからないんだと思う。
「自分のためだけにラフィンをやっています」と言い切るチャーミーにとってラフィンノーズは希望なのか。
ひょっとしてほかにやりかたがわからない、逃げ場がない、ゆえの絶望からラフィンを続けるしかないんじゃないか?などと毎回完全燃焼しているようなライブを見ると、そんなことを思ってしまう。
ベテランてのは後半戦がキツい。普通は最盛期よりいいものを作れるわけがないのである。
ただラフィンに関しては、どんどんエグくなっている気がする。個人的にはやっぱりまったくファンじゃないですけども。
イギリスには還暦を越えたジサマ、チャーリー・ハーパー率いる『UKサブス』というパンクバンドがいるが、チャーミーのラフィンノーズなら同じくらいイケるんじゃないか?と思う。
しかしあの歳で「チャーミー!」と呼ばれ続けるってのも、エグいな。
やっぱりパンクはエグくないと!といったところで腑に落ちた次第。