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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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ダム道(どう)について考える



パンクとしてのあり方というのが昔から二通りあって、それは「ストレートにパンク・ロックをやり続けるのがパンクだ」という愚直派と、「パンク・ロックを封印して、新しいチャレンジを続けるのがパンクだ」という革新派。
どちらも正しいと思う。そしてそれらはいくらでも語ることができる。
そんな中で、ずーっと微妙な位置にいるのがオリジナル・パンク・バンドの「ザ・ダムド」だ。で、あんまり大真面目に語られたことがない。
彼らのファーストにして、パンク・アルバムとして一番最初にリリースされた『地獄に堕ちた野郎ども』は、それこそ地獄にまで持って行きたい名盤だが、パンクの古典であることと同時に、「パンクによるおちゃらけ」という表現方法を示した。
もともとあまり「怒り」を根底に置いていないゆえ、ボーカルのデイヴ・ヴァニアンは稚拙ながらも叫ぶより歌おうとしている。それでも怒涛のスピードで叩き出される『ニート・ニート・ニート』『ニュー・ローズ』などは、最高水準のパンク・アンセムだ。

ヴァニアンはデビューからベラ・ルゴシ風のドラキュラ衣装だし、キャプテン・センシブルは「バードスーツを着こなす」という特殊パンク・ファッションを生み出した。
作品はどんどんポップになって、80年代はお耽美ニューウェーブバンドとして大人気になったり、解散したり再結成したり、最近はまたハードなゴスバンドとしてリリースを続けている(らしい)。
要するに、振り幅が大きすぎてつかみどころがないんである。
狭義のパンク・ファンはファーストとサード『マシンガン・エチケット』でOKだろうけど、ゴスでニューウェーブな『ザ・ブラック・アルバム』や、やたらゴージャスな『ストロベリーズ』も実はイケてるのである。
ベストが多いのも彼らの特徴だけれども、どれか1枚としたら『ANOTHER GREAT CD FROM THE DAMNED』(ドイツ盤)を挙げる。これはしっかり「ストロベリーズ」期まで収録されているお得盤。
今ではだいぶコロコロしたおじさんになられたが、まだまだ現役で活躍中。のはず。

攻撃性の中にもポップさを内包していたのがオリジナル・パンクで、ほとんどのバンドはうまくなると同時に「優しく」なった。だが、ダムドなんかはポップになりつつもヴァニアンのゴスな美意識と、キャプテンのいちびりキャラをバランスよく維持してきたので、トータルなイメージがパンクだったりする。
眉間にシワ寄せ「ファック!」というより、黒皮手袋でバラなど持ちながら「アスホ~ル♪」とか言ってるようなイメージなんですよね。
もともと達者なバンドだし、ヴァニアンはコスプレがさぞ楽しかったとみえて、「メッセージ」なるものが完全に欠落していたところが、彼らの強みである。それにしても最初期メンバーによる、嵐のようだが「英国紳士」的にしゃれたプレイは、いまだに超える者がいないと思う。
http://www.youtube.com/watch?v=CQkXHKwgSbA&feature=related

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悪たれ小僧が生死をかけて何をかいた?



PANTA自伝『歴史から飛び出せ』(K&Bパブリッシャーズ)を読む。
パンタというベテランロッカーに関しては、頭脳警察の再結成含め3回くらいライブを見ているので、好きは好きなんだけどそんなにソロを熱心に聴き込んだ覚えもないし、レゲエの『つれなのふりや』はカッコいいとは思うのけど、PANTA&HALの世界観が大人っぽすぎて(藁)今に至るまで半分くらいしか理解できていないっていう微妙な距離感ではあるのだが、70年代の頭脳警察は大好物です。
「頭脳警察」というバンド名がまずモダーン。パンクの元祖と言われているが、それっぽい曲は実は10曲もないんじゃなかろうか。

最も政治的ないわくつきのファーストは「ああ、当時の実況録音」くらいの感想しかなくて、発禁・回収されたセカンドにしても、実は半分くらいはフォークソングだし。
個人的には獰猛なパンクの雛形『ふざけるんじゃねえよ』で幕を開け、頭脳ビリーと呼びたい『歴史から飛び出せ』から、名バラード『時々吠えることがある』などが収録された「3」からが真骨頂。
4枚目『誕生』は地味は地味だが、心情を吐露しているだけの初期フォーク(っぽい)ソングと違い、かなりディープ。「俺は王者だ」「俺は影の黒幕さ」と魔王であることを宣言しているような『無冠の帝王』は無類のカッコよさ。いいアルバムです。
5枚目『仮面劇のヒーローを告訴しろ』は実質上パンタのソロだが、インテリジェンスとポップさとダーティーさが混じり合った名盤に仕上がっている。『ハイエナ』などの昭和ディスコティックな雰囲気がたまらん。
ギターをサウスポーに構えるパンタは、古今東西のロック・アルバムのジャケットの中でも、最もクールな存在感。
そして70年代最後の『悪たれ小僧』。パンタとしては「単なるロックバンドのアルバムを作りたかった」と発言しているのだが、これが「単なるロックバンド」だったら他の連中は一体どうなっちゃうんだい?と言いたくなるくらい重厚な作品。
タイトル曲や『戦慄のプレリュード』『サラブレッド』など、グランジの原型ですよ。
さらに『夜明けまで離さない』なるキラーチューンまで収録されているし、ラストの『あばよ東京』に関しては、初期の名曲『銃をとれ』のイメージは血が滾るような「赤」だが、この曲は血が乾いてどす黒くなった「鉄錆」のにおいがする。

政治の季節とまともに接近してしまうあたりが当時のパンタの青さだけれど、頭脳警察最大の魅力は「青臭さ」だと思う。事故記録として残っているという「日劇ウェスタンカーニバルのマスターベーション」事件にしても、楽屋のバンドマンたちに「ライブでマスかくから」と吹聴してしまったため引くに引けず、ラリってこすってはみたものの起ちゃしねえ、ってのが実際のところだったらしい。うーむ、青すぎる中村君。
でもって、当時のパンタの美青年ぶりと相まって、頭脳警察ってすごく「青春」ぽくていいなあと思う。
恐らく本当の地獄を歩いていたのは「村八分」あたりで、そのざらついた軌跡ゆえ彼らの残した音源はほとんどライブだが、およそ「ロックの音を作る」ということが無理解だった時代に、割と真面目にアルバムをリリースし続けた若き日のパンタ&トシによる「青いうた」たちを、好んで自分は繰り返しリピートするのだ。

フラフラ咲いて、カラカラ鳴いた



一貫した書き割りの世界。チバユウスケ詩集『ビート』。
ただ、こうした詞を引き受けるにはそれに見合った身体能力が必要なんであって、チバはやっぱり稀有な人。
彼に「派遣の日給6000円」なんて歌われた日には、むしろそっちの方がリアルっぽくない。
中期以降のミッシェルのアルバムは映画のサントラ的なイメージもあるので、不思議とダニーだケリーだシンディーだサンディーだのの名詞が煙たくならない。ミノルだのタカヒロだのメグミだのと使わないでくれたのはむしろ正解。
初期にあった言葉遊びやユーモア感覚が少しずつ薄れ、後半は完全にフィクションなハードボイルドの世界だが、それでもミッシェル・ガン・エレファントは分かり易くカッコよかった。
(しかし「あふれかえるパスタの山 泳いでいた」ってすごいフレーズだよな)
多分交流があった悪いおともだち・ブランキーの影響があったのではないかと思われる。
本書には収録されていないが、「バードメン」におけるプレイの爆裂ぶりとあいまって、その歌詞の突飛さとブラックさに痺れ、このバンドについていこうと決めました。
(「ザ・バースデイ」には残念ながら思い入れがないので、今回はミッシェルについてだけ書きます)

「パブロックでよかったのにでかくなりすぎたバンドがミッシェル」みたいなことを以前書いた気がするが、それでも彼らは「じゃあこっちのフィクションな路線でとことん決めてやる」と、最後まで貫いてくれた。
パブ指向だったらピーズが本物、みたいな意見は話にならん。少なくとも愚痴っぽかったり、やたら等身大みたいなことを歌ってる日本語ロックは、実はよくわからん。
アベフトシのギターはウィルコ・ジョンソンのパクリ、みたいな意見も話にならん。少なくともアレを真似できるか?普通。しかも師匠よりずっと音が馬鹿でかい。
ナンバーガールってのもいたが、あのバンドは歌詞からルックスからあまりにも「サブカル」でなあ、嫌いではなかったんだけれども。
ナンバガ支持層がクイックジャパンとその周辺だったのに対し、ミッシェルの土俵は「オリコン」だったから、場が大きい分様々な意見も交錯するとは思う。

ガレージという音楽を漁り始めた頃、60年代のバンドはジャケはいいのにどうもサイケすぎるとかオールディーズすぎるとか実は思っていたり、かと言って現役組はなんとなく「いなたい」なあ、と若干アウェイな感触を感じていた頃に日本からブレイクしたのがTMGEで、ガレージとパンクとパブロックを融合させたような演奏と、おそらく日本のロック・ボーカリストが誰も到達できなかった「セクシーなガラガラ蛇」のような声を持つ、チバユウスケにすっかりやられてしまったのであった。ハッキリ書いてしまうと、70年代の先輩ロッカーたちはそりゃ態度は不良だったかも知れんが、「ウタ」がへたっぴ♪なのも少なくなかったので、多少痛い思いもさせられました。
ゆえに『チキン・ゾンビーズ』『ギヤ・ブルーズ』の、全員黒スーツとモップ頭だった時代に思い入れが深い。実に理想の「ガレージ・パンク・バンド」であった。
http://www.youtube.com/watch?v=bBFaSz3ITCU

後期になるが、「伝説のタトゥードタキャン・穴埋め演奏」も恐ろしくカッコいいし、その日の出演者で空白を埋めることができたのは彼らだけってことで(つまりリハ抜き)、本質はやっぱりパブ・ロッカーだったってことだ。
今、『ダニー・ゴー』を鳴らしながら書いています。泣ける。分かる奴は一緒に泣いてくれ。

人生ラモーン★



『突飛な芸人伝(吉川潮・著/新潮文庫)』を読んでいて、指パッチンとか、レッドスネークカモンとか、坂田利夫師匠においては存在そのものとか、持ち芸が生き様になっているという点において、偉大なるパンクバンド「ラモーンズ」と勝手にリンクした。
チープだマンネリと言われようがクオリティを下げずに、一貫して同じことを続けるというのは、実は誠実な態度である。
最古参のジョーイとジョニーは、死ぬまでルックスすら変わらなかった(変わることを拒否した)。

「表現のラモーンズ化」が起き易い場として、日本のコミック界が挙げられると思う。
最右翼はやはり谷岡ヤスジだろうか。彼の作品はもうマンガにおけるスリーコードみたいなもんで、自らを禁じ手でがんじがらめにしつつも最期まで疾走した。ヤスジ・ラモーンと呼びたい。
『やる気まんまん』の横山まさみちも然り。単行本化されたもので初めてちゃんと読んでみたのだが、実際の話、本当にしょーもない。主人公(人間)と男性器(オットセイ)のメンタルが完全に分離しており、「大将!どうしましょう?」「オットセイよ!堪えるのだ!」なんて会話しとるのである。さらに女性器は「巻貝」として表現されるので、なんか海洋生物がいっぱい出てくるなーとは思うのだが、性交している風にはあんまり見えないっていう。ちなみに手足の指を「出動」させる際にはそれらが「コットセイ」「足(ソク)トセイ」となる(笑っちゃったよ・・・)。しかしこの設定を亡くなる直前まで27年間(!)も続けたのは偉業としか言いようがない。マサミチ・ラモーン。

現役だと、地味な絵で2ページというお約束を守りつつも、ふいに心の機微をついて笑わせてくれる玄人・中崎タツヤ。年代別にまとめた『じみへん』のワイド版がおすすめ。タツヤ・ラモーン。
これまた地味なんだけど、哀愁の中年オヤジを描かせると抜群な「文芸作家」いましろたかし。『ラララ劇場』がもう一回読みたい。タカシ・ラモーン。
「漫画界の畳職人」の異名を取る東陽片岡。日雇い労働者・熟女・B級グルメの「三大噺」を守りつつ、青林堂から小学館まで、「まったく同じ内容」で描き続ける一途さ。どの本も同じだがどれも安心して楽しく読める。ただし、本物の日雇いオヤジは読まないと思う。トーヨー・ラモーン。
漫 画太郎はちょっとハードコアなんだよな~。ラモーンズというより「エクスプロイテッド」って感じ?
ネタがオナニー・ホモ・後背位の三要素で構成されている気がする、ある意味大御所・とがしやすたか。スカム感は「カオスUK 」と言ったら褒めすぎか?
後期ラモーンズのライブはさらに曲のスピードが早くなったと聞くが、最近の作品キレ具合や、『人生画力対決』でいよいよ大御所にケンカを売り始めた西原理恵子女史もファミリーに。リエコ・ラモーン。
(本人結構「熟した美人」て感じなんだけど、マンガで登場する時はやや年齢設定高めな「おばちゃんキャラ」を用いており、「まだまだ稼がせて頂きます」というプロ根性を感じる。この路線で長く続けるには実年齢よりもキャラ年齢を上にした方が尺が稼げるってことじゃないかと。多分、恐ろしく計算ができる人だ)
徹底した「あの絵」と「銭がらみの人間関係」のみで作品を大ヒットさせて引退=癌で亡くなった青木雄二という人もいた。しかも彼には後継者(フォロワー)がいて、いまだにその世界観が継続され読みつがれている。
ユージ・ラモーン。

まだまだたくさんいらっしゃるとは思うのだが、あえてマイナー系は外してみた。
「ラモーン道」は王道ゆえ、メジャーで勝負するのが筋である。

ブギーばかりがボランじゃない



マーク・ボランと福山雅治は顔が似ていると思う。
違う点は、ボランは本物のロッカーであったが、福山はロックする才能がまったくない、というところ。
最近よく「ティラノサウルス・レックス」のベストをよく聴いている。「Tレックス」じゃありません、ここんとこ重要。
ボランが「ブギーのアイドル」になる以前に組んだ、基本的にアコギとパーカッションによるデュオ。
特に最初期の音を聴くとすでにカウントダウンがはじまっているというか、これは長生きは無理だわと思わせる、夢うつつな楽曲。http://www.youtube.com/watch?v=8tThs6OWEGI
ヒッピー思想ってのは基本的に「世直し」だと思うのだが、サイケデリックに影響を受けつつ、すでに現世のことなどどうでもよくなっているかのような、そんな音楽。
基本ポップなのにアレンジはとことん奇妙でカルト人気はあったらしいが、開き直ったボランはアコギをエレキに持ち替え、その後の大ブレイクはご存知のとおり。

彼の代表作といえば『スライダー』『電気の武者』と相場が決まっているのだが、正直言ってこの二枚、昔からどうもピンと来ません。シンプル、というか、スッカスカ、じゃないですか?どう?
むしろ著しく評価が低い『ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー』『銀河系よりの使者』の、人工甘味料をぶちまけたような変態ポップこそ、グラムロックの真髄。
グラムの連中ってのはケバい外見に反して音はシンプルなのでして、デビッド・ボウイにしても名盤にして代表作の『ジギー・スターダスト』は実際聴いてみると、ほとんどフォーク・ロックである。
(実は次作『アラジン・セイン』のほうが禍々しく実験的だったりする)
「クラッシュは『コンバット・ロック』でしょう」という人がいたって、もちろん良いのだ。
一周したガイドブックは捨てておしまいなさい。

本日は開店前に神田明神に初詣に行ったら「新成人」なる生き物がいた。
自分はそのころ無職で成人式は寝過ごしたし、一緒に行ったまっつん構成員は当然成人式も出ず、大学の卒業式も出ず、高校の卒業式も「二日酔い」で欠席したとのこと。
そしてすうさい堂周辺の「肉彦さん」なる者は、自身の大学の卒業式なのに同じ卒業生に「お父さんお父さん、写真撮って」と言われ、そこでキレればいいのに「ああいいですよー」と、彼らの「集合足元ショット」だけ収めて、カメラを返したという。
現像された彼らの「一生の記念写真」のことを考えると爆笑を禁じえないのだが、こうした判断を瞬時で出来る人間は信用に値すると思う。
インドカレーと名店「まつや」のもりそばを食べて帰りました。

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