笑いましたね。いや、この人たちのネタじゃなくて、この人たちのネタに関するデマに振り回されてる人がメチャクチャ多いってことに。
ラッスンゴレライ。まったく何が面白のかわからんが、小中、え?高校生にも大受けらしい。
笑いに対する感性の幼児退行。これは実に嘆かわしい話で、自分たちの世代ならば「タケちゃんマンとブラックデビル」があえて、プライベートな裏話を公共のテレビに持ち込んでやりあったり、「いいとも」では制御されているタモリの本質を探ろうと、夜に放送している彼の番組を見たり、ベタなオチのかわりに当時の最先端の音楽で繋いでいく「スネークマンショー」もあったし、笑いというものはとにかく「背伸びをして」感じようとしていたと思う。少なくとも自分はそうだった。最近は「筒井康隆にはまる中学生」ってのも、あまり聞かなくなったような気がする。
90年代なら日曜8時に放送するにはブラックすぎる「ごっつええ感じ」(キャシィ塚本とかみすずちゃんとか、完全に狂人!)とか、ドリフを離れた志村けんのアナーキーっぷりが凄かった「だいじょぶだぁ」とかあって、笑いっていうのはここまでやっていいんだ!と、とてもクリエィティブなものを毎週見させていただいた。
今の字幕つきのバラエティは確かにわかりやすい。わかりやすいけど、わからなさにこそ首をつっこみたくなるものであり、そこからじゃないか、なんにしても。
ラッスンゴレライ=落寸号令雷で、これはアメリカによる原爆投下の暗号だそうである。
あのね、ブログ書くような人はある程度年齢も行ってると思うんだけど、何年日本人やってんの?こんな言葉今まで聞いたことないだろっての。
しかもアメリカ軍の暗号が、なんで「漢字」なんですか?
その他いろんなこじつけがあったが、個人的に一番笑ったのは彼らの衣装が、「放射能」という曲をやっている「クラフトワーク」というバンドにそっくりだ、というやつ。
ちょっとまってちょっとまってお兄さん、クラフトワークは黒いスラックスをお召しになっておりまして、短パン履いてるメンバーは、一人もおりませ~ん。
まあ、ナンセンスなネタなんだろうけれど、SNSあたりでバーッと広まり、偽コラまで作るやつが現れ、例によって「反日」「在日」と騒ぎ立てる。
どうでもいい話だし、この芸人がどうなろうがどうでもいいんだけど、ちょっとこの国って怖いのかな?と思った。
人を貶める笑いは嫌い、とか仰る方がたまにいて、これこそ笑止千万。そもそも落語という古典芸能がその構造を内包しているのだから。
それが出来ない、という環境のほうがよっぽど恐ろしい。いつまでもバナナの皮で滑ってるのを見て笑ってろ、ってか?
笑いの革命家といのはそのタブーを腹をすえて次々と破っていく人であって、今でもそのトップランナーは全盛期のダウンタウンだと思う。
ネタが面白い、という芸人は沢山いるけど、フリートークであれだけ笑わせてくれたのは彼らだけ。
その「ガキの使い」も今や、巨大なハリボテみたいな番組になってしまったのは、しょうがないんだけど、少々寂しい。
そこにあの頃の彼らはいない。頭が固い往年のファンは、いまだに動画サイトで「おかんとマーくん」「半魚人」「ゴレンジャイ」「あざみ」「トカゲのおっさん」などの傑作を見て、笑うのである。