いや、いいですよね、ゾンビというものは。はい。それにしても私家版ゾンビ映画を作った際に、本家ロメロ師匠の『ゾンビ』を観ていない者が多すぎるというのはどういうことだ。グロが苦手でも我慢して観るべき名作なのに。
いや、自分も初見は映画としての出来が良すぎるので「グロシーンを入れすぎだからゲテモノ扱いされている。もったいない」と思っていたのだがそれはもちろん大間違い。あれぐらい過剰にやらないと、終末観が表現できないというのは当然のことである。
あんまり終末観とは関係ないポップな『ロンドンゾンビ紀行』(2013)。これはライトなのでおすすめです。人気作なのでなかなかレンタルできなかった。
取り壊される寸前の老人ホーム。そこに住む退役軍人のじいさんの孫兄弟が悪友を募り、ホームを救うために銀行強盗をやらかす。同時期に街にゾンビが現われ人を襲う。
強盗を成功させ、ご都合主義的に大量の銃火器を手に入れた孫チームが老人たちを救いにホームへ向かう。彼らにもマシンガンを渡せば、元軍人のじいさんやアイドル的なばあさん(この人は元ボンドガールとのこと)がバリバリバリバリとゾンビを皆殺し!ゾンビとマシンガンと老人。今までなかった組み合わせ。
他にも「フーリガン同士がゾンビになってもケンカしてる」とか、ギャグ満載である。
ロンドンの下町っぽさがのぞけるからまいっか、でこの邦題になったと思うのだけど、原題は「COCKNEYS VS ZOMBIES」という粋なタイトル。
地元愛に溢れるOiパンク精神を感じる良作。特に軍人のジジイがカッコいい。
『スーパー!』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の監督、ジェームズ・ガンのデビュー作が『スリザー』(2006)。
赤いスピードなめくじのような寄生虫に街が襲われるSFホラー。
主人公の人妻の旦那が宿主になり、モンスターに変貌。登場人物から「イカ呼ばわり」されているので、こいつを仮に「イカ太郎」とする。
寄生虫に襲われた人々はゾンビになってしまうのだが、全員が宿主のイカ太郎と同じ思考をするので「お前を愛してんだよ~」みたいなノリで襲ってくるのが面白い。というか、吹替えで鑑賞したらば、ほとんどギャグしか言ってなかった。これはSFゴアゴア・コメディである。
イカ太郎が脚の一太刀で人間を真っ二つにするシーンがある。これは永井豪の『デビルマン』に一瞬だけ登場したイカ仕様のデーモンも同じように人を殺しているので、イカをなめたらいけないのです。イカはおそろしい。
『デッドガール』(2013)はやや困った映画。
普通と不良の高校生二人が授業をサボって廃病院に行くと、その地下には全裸の女子が。
まあこの女子がゾンビだったわけだけれど、よく見たらイケてるしスタイルもいい。というわけで不良君がコトに及ぶ。女であればゾンビでもいい。青春の性欲は捌け口が必要というわけで。
不良君はゾンビ女子を拘束して、さらに悪友を呼んでまぐわう日々。普通君は行為に及ぶことができずにゾンビを逃がそうとしたりしていろいろある、というお話。女性団体に知れたら怒られそうなギリギリの内容が個人的には面白かったのだが。言い訳としては「いや、これ、ゾンビっすから!」とか言うのだろうか。
しかしゾンビ女子は役名も与えられずセリフもなく、ずっと全裸。メインキャストなのにこの扱われ方は『スペースバンパイア』のマチルダ・メイ以来ではないか(いやちょっと違うか)。
「十代男子の性欲vsゾンビ」という珍品。見様によっては笑えます。