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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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アビ松さん



『おわらない物語~アビバの場合』(2004)は12才の少女が妊娠するという作品なのだが、親にとって「子供が子供を産む」ということは「子供が子供を殺す」と同じくらいとんでもないことなのだろうなあなどと、鬼畜なことを考えた。
葬式のシーンから始まる。故人の名は「ドーン」。『ウェルカム・ドールハウス』のメガネブス、あ、いやいや、主人公である。しかも死因は自殺らしい。トッド・ソロンズは自分が生み出したキャラを冒頭で死なせて「つかみ」とした。き、鬼畜。
女児(アビバ)が母親に「ドーンはなぜ死んだの?」と聞く。母は「両親に愛されなかったの。皮膚科に行くかダイエットすれば違ったかも知れないけど」と答える。いきなり、あんまりですね。
ここでおかしいのは母親は白人なのに、少女アビバは黒人なのである。以降、エピソードが変わるたびにアビバを演じる女優が入れ替わり、計8人のアビバが登場する。
後にアビバは妊娠し、彼女は「絶対産む」と言う。母親は「障害者や体が欠けている子だったらどうするの!それに今はまだオデキみたいなものよ!」と実も蓋もなくぶちまける。なんかもうちょっと言い方はないものかとも思うが、考える前に出てくるナマの言葉ってのはこんな感じなのだろう。「きれいごと」はもっと後からついてくるものだ。
中絶は行われるが、母体が幼すぎたため子宮も一緒に摘出せざるを得なくなるという最悪の事態。
そしてアビバは家出をして、「ろくでもない人々」と出会う。

特にとんでもないのがサンシャイン・ファミリー。ここでのアビバはたいへんファットな黒人少女なのだが、ファミリーに養われている少年に連れられて、彼女もそこに在籍することになる。
ちなみに生まれて来られなかった子供の名は「ヘンリエッタ」で、この作品中、ヘンリエッタもアビバと同じキャラとして登場。なので混同してオーケー。
ファミリーはキリスト教原理主義者の夫婦が、わけありの子供たちと集団生活をしている施設。
サンシャイン夫婦を中心にボランティアと布教活動を行う立派な慈善団体ではあるのだが、裏では「中絶手術を行う医師」を密かに暗殺している狂信者集団でもあった。きっついでしょ?
子供たちでダンスチームを組み、キリストを讃えるオリジナルソングを歌ったりもしている。その中には両腕がない少女やダウン症など、本当に体に障害のある子供たちがいる。アルビノの少女も本当に盲目っぽい。
この内容にして、よく出演したものだと思う。それ以上は言葉が出ません。
特に「ひどっ!」と思ったのがアビバを連れてきた先ほどの少年が「いいもの見せてあげる」と森に向かう。
「ここはよく堕胎業者が中絶した胎児を捨てていくんだ・・・・・ほら!」アビバたまらず「キャーーーーッ!!」。そりゃそうだ。
韓国映画を観ていると子役の扱いが「ひどっ!」と思う。汚いセリフも言わせるし、何より子供を殺すことに躊躇がない。「子役だからかわいく撮ってもらえると思ってんじゃねえぞ!」という実に大人な態度で接しているのである。「プロフェッショナル」とも言う。韓国の子役は鍛えられるだろうなあとも思う。
ざっと思い出しても、洋画で同じようなスタンスを取っている監督はトッド・ソロンズしか思い浮かばない。

いろいろあってちょっと不思議なラスト(ネタバレ~)。冒頭の黒人アビバに戻り、「今度こそママになれそうな気がする」と微笑む。
これは「いろいろあっても人生はリセットできる」ということなのだろうか。とにかく観終わると「はあ・・・・」とこちらが消耗するオチを持ってくるソロンズだが、これは異例。彼の作品中、もっとも「やさしい」と言えるのかもしれない。
不思議な作品ではあるけれど、ソロンズの手のひらで転がされてみるとなかなか気持ちのいいものでもある。
いわゆるアートでもなく、いわゆるエンタメでもなく、いわゆる文芸作品でもない。
爆笑できるわけでもないし、残酷シーンがあるわけでもないし、暴力描写もないが、トッド・ソロンズの映画が観客の心に波及する効果はコメディであり、サイコホラーであり、バイオレンスでもある。という、たいへんタチの悪い代物なのであった。
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