絶望の野蛮な手触りだけが伝え得る真実というものだってある。
では我々は絶望の中で悲嘆にくれて過ごすしかないのだろうか?
まったく逆だ。
絶望と恐怖という新しい友人を得たと思えばよいのである。
彼らと楽しくやっていくコツだってある。笑うことだ。
(高橋ヨシキ)
ということで、レンタルショップにはまだ見ぬ友人や、久しぶりに会うことになる知人たちがゴロゴロいるというわけ。
暗黒映画に浸ってヘラヘラ笑う日々、開始。
【クリープショー3】(2006)
最初のクリープショーと間違えて借りた。オムニバスなので肩の力を抜いて観られる。
ホラーというよりはブラックなコメディ。しかし「1」のゴキブリゾロゾロのような強烈なエピソードは無し。
【ホステル3】(2011)
イーライ・ロスが監督した前二作と比べると、パワーとか捩れたユーモアのセンスがどうにも中途半端。
メーターなんか振り切ればいいのに。ホラーなんだから。
【遊星からの物体X ファーストコンタクト】(2011)
ジョン・カーペンターの有名な作品の前日談。
が、カーペンター版はSFXが凄まじすぎてストーリーをまったく覚えてなーい。
今回「ファーストコンタクト」をちゃんと鑑賞したのでザックリ言えば、誰が化け物なのか?という疑心暗鬼モノでした。
しかしこのCGによるクリーチャーも、観てると体が痒くなってくる。
【フレディvsジェイソン】(2003)
長年のファンならば夢のタイトルマッチだろう。本当にバトってるし、それ自体がギャグにもなってる。
しかし、ジェイソンはサクッと人を殺すし(「粉砕」という感じ)、フレディのキャラは妙にカラッとしている。
自分はもっと、陰湿なものが好みなのかも知れない。
【博士の異常な愛情】(1964)
これはホラーじゃなくて、気が狂った将校が原因で核戦争が起きるという話だが、当時の「冷戦時代」の感じが掴めてないと、もうひとつよくわからん。
映画としてそんなに面白いとも思われないし、これはきっとインテリゲンチャーの人が好む作品。
ただ、ストレンジラブ博士のキャラが立ち過ぎなので、リメイクを作ったら面白いのにと思う。
明らかに勘違いで付けられた邦題なのに妙に内容とマッチして、いまだに訂正されないという不思議。
【コレクター】(1965)
宝くじに当たった孤独な青年が地下室つきの家を購入し、前から想っていた娘さんを誘拐してそこに閉じ込める、監禁ものの古典。
「今にきっとボクのことが好きになるから!」というムチャぶり。
蝶の標本コレクションを見せてもドン引きされる。
サリンジャーやピカソは素晴らしいという彼女に向かい、「オレはあんたみたいにインテリじゃないからこんなの全然わかんねーッ!」とブチ切れ。
ヲタのメンタリティは普通の女子には理解できない、という悲しいお話。
佐野史郎の当たり役「冬彦さん」にそっくり。
【ケープ・フィアー】(1991)
邦題『恐怖の逆恨み』(いま付けた)。
レイプ犯(ロバート・デ・ニーロ)が、担当弁護士が自分にとって不利な仕事をしたことを知り、それを裏切りとして捉え、14年の刑期を終えて自由の身になったとき。
彼は、弁護士一家にじわじわと復讐を始める。
弁護士がなかなかロクデナシに描かれており、デ・ニーロは全身タトゥーだらけでマッチョで頭も切れるので、こちらに思い入れしてしまったりする。
デ・ニーロのキャリアとして語られることが少ないけど、極悪な名作。
【ファイナル・ディスティネーション】(2000)
これは拾い物。修学旅行でフランス行きの飛行機に乗る予定だった高校生の主人公が、フライト直前に機体が爆発することを予知し、降ろせーッと大騒ぎ。どさくさで六人が降ろされる。
で、直後、本当に大爆発。
助かった六人だが、本来は死ぬはずだった運命の歯車が回り始め、一人ずつ死んでいく。というか、運命に殺される。
主人公には「死の順番」も見えているので、そのルールにどうやって抗っていくのか?というお話。
殺人鬼もモンスターも出てこない。「死」だけがある。
【デッドコースター】(2003)
「ファイナル~」の続編。今度はハイウェイの大事故を予知した女子が主人公。
この玉突き事故のシーンがド派手で、いきなりテンション上がる。
トータル九人が生き残るが、やはり死の順番が回る。
前作にも増して、死に様がエグくてスピーディー。
「あっ、死んじゃった!!Ha!(笑)」と、モニターの前で笑う。
彼らのちょっとした行動が死に直結する。死神って、めちゃめちゃ手際がいい。
一作目とリンクしているので、続けて観ると楽しめます。
【サスペリア】(1977)
これはゴブリンの音楽と、原色を「これでもきゃ!」と使ったダリオ・アルジェントによる色彩感覚の勝利。
ストーリーは、ないっちゃ、ない。
いや、魔女がどうこうとか、あるけど、まあ、悪夢のMTVみたいなもんだから。
即物的な残酷描写で、日本でも大ヒットした。
「決して一人では見ないでください」のコピーが有名だが、当時かかったのは劇場だけだから「ひとり」ってことはないんだけどもね。
トータルで何人の死にざまを見たのだろう。
しかし映画の中ならば何人死んだってかまわない。それがスクリーンの花(華)になる。
それをみて手を叩いて笑うか、拳を握って怯えるか。
不幸せなら手を叩こう。