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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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スーパーふつう!!



自分を信じて~歩いていくのよ~とか、Jポップの歌詞は相変わらずそんなのばっかりで、完全に底が尽いてるというか、聴く方の感性がシンプルすぎるのか、もう本当にどうしようもない。聞こえがいいフレーズをループするのみ。
ちなみにそのフレーズとは「君を守りたい」「つないだ手を離さない」「隣で笑っていて」「同じ歩幅で」「出会えたキセキ」の五つ。
これらを使い回して「新曲」としているだけのどんづまり状態。まったく誠実さのかけらもない。
「僕らきっと強くなれるよ~」とかってのもあるな。しかも女の子に歌わせるんだよな。
もはや音楽じゃなくてデータである。ああそうか、「いかものがかり」や「ドブクロ」は、プログラマーとしては有能なのだろう。
あっファンキー下等!ろくでなしじゃんか。あのいかにもぼくイノセントだよといった歌唱に以前からイラついてはいたのだが大人なので黙ってました。
さわやか好青年に会うと「きっとこの人は鬼畜か変態に違いない。女子をぶん殴るか女子のシッコが好きかの二択だ」と思っていたので、それが件の騒ぎで確信になる。

といった、くだらないものとは真逆の、誠実さで満ち溢れている作品が2010年の映画『スーパー!』なのだった。
まずオープニングのアニメーションが素晴らしい。ちびまる子ちゃんといい勝負のチープな絵だが、70年代パワーポップ風の楽曲に乗せてスピード感は抜群。
悪役のケヴィン・ベーコンが串刺しにされてグッチャグチャになり、そこに立ち上がる「SUPER」のタイトル。最高だ。
幼児虐待や動物虐待も描かれ、それを行っている連中が主人公のヒーロー「クリムゾンボルト」によってグッチャグチャにぶっ殺される。
さらには敵も味方も殺す側も殺される側も一丸となってのダンス!感動的だ。
最後は全員、息が上がってゼイゼイ言っている。大人の鑑賞に堪えるアニメとはこういうもののことを指す。30回くらい観ちゃった。

主人公はコックのフランク(レイン・ウィルソン)。彼の人生の最高の瞬間は、美しい妻・サラ(リヴ・タイラー)と結婚できたこと。街で、逃走する犯人を追いかける警察官に「あっちです!」と教えたこと。以上!
これを絵に描いて壁に貼る。他にはろくな思い出がないが、このふたつがあれば生きていける。
ところがサラはかつてジャンキーだったので、イケメンのドラッグディーラー・ジョック(ケヴィン・ベーコン)の元に走り失踪してしまう。
フランクとジョックのファーストコンタクトが印象的。ぷらっとフランク宅に現われたジョックが「サラは?」。
いきなり人んちに上がりこんで人んちの嫁は何処だ?って話もないもんだとは思うが、フランクが調理中だったスクランブルエッグをご馳走になり「マジうめえ!あんたは卵料理の天才だ!」と絶賛。どうやら、根っからの悪人でもないみたいだ。
サラがいなくなったフランクは絶望するが、テレビのヒーロー番組「ホーリー・アベンジャー」(内容はほぼ「おはようこどもショー」)を観て神の啓示を受け(このシーンえぐいです)、自主制作なヒーロー「クリムゾンボルト」となり、サラを取り戻すためと街の悪を退治するために活動を開始する。

とはいえフランクは普通のおっさんなので、悪がどこにいるのかもわからず、まずはヒーローの研究をせねばならんと、アメコミを購入しに赴き、書店員のリビー(エレン・ペイジ)と知り合う。
で。これが問題なんだが、クリムゾンボルトとしての武器がでかいレンチなんである。
真っ赤なコスプレの大男がレンチで相手の頭をかち割って回っているという、端から見たら「マジキチ」。
しかも映画の行列に割り込みをしたカップルを注意したがコケにされ、わざわざクリムゾンの格好で現われ、二人の頭をレンチでかち割る(もちろん女性も!)という暴挙に出る。相手の男には「お前さっきの奴だろ!」とバレバレなので、着替える意味もなかったりする。

クリムゾンボルトの行動がニュースになったのち、書店員のリビーが正体を見抜き、自分も一緒に活動したいと、これまたやっすい衣装に身を包んだ女子ヒーロー「ボルティ」が誕生。
ところが、ボルティになることでリビーの残酷でサディスティックな本性が開花。とにかく人をボコりたくてしょうがないので「あいつは車に傷をつけた!悪人よ!」とフランクをそそのかし、相手の家で暴れた上、タガがはずれてあやうく殺そうとする。さすがにフランクもドン引き。
さらには敵といえども車で体当たりして「脚が粉々!きゃはははは!!」と高笑い。やべ、っていうか、もう最高。
二人はジョックのアジトに潜入し、サラの奪還作戦を実行することになるのだが、そのきっかけってのが、気分が悪くなったフランクが便器にゲロを吐き、そのゲロからサラの顔が立ち上がり「フランク・・・・」と呟くという、もうどうしようもなく最低なギャグ。
そこから先は血みどろのバイオレンス。最終的にジョックとフランクが向き合うことになる。
「オレを殺っても何も変わらない」と言うジョックに対しフランクは、「麻薬も割り込みも悪だ!」と自分を奮い立たせ、彼を殺すのである。でも・・・・やるんだよ!

この作品の原題は「SUPER」であって、日本では気を使って「スーパー!」になっているけど、スーパー・・・・なんなの?かもよくわからないくらい、「普通の人」しか出てこないのだ。
普通のコックとその妻、普通のマンガ売り女子、それ以上でも以下でもないであろう麻薬密売人が織り成す、普通の男が自分の信念に基づきムチャクチャをやりつつも妻を取り戻すという物語。
サラは最終的にフランクから去る。残された彼は壁一杯に今までの思い出を絵にして飾る。
切ないラストだけど、「このおじさんはもう過去に生きるしかないのかなあ」と思うと、さらに切ない。

監督のジェームス・ガンは低予算悪趣味映画の会社「トロマ」出身なので、さすがエンタメ精神がぶち込まれているなあと思う。
ちょっと前に観た『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)も撮っていたのだな、知らなかった。
こちらもスペースオペラとギャグのバランスが秀逸な名作。
ほぼ犯罪者の連中が団結して地球を守るというアメコミ原作ものだが、主人公「スターロード」の宝物が(母親の形見の)「70年代ヒット曲ミックステープが入ったウォークマン」ってのが良いし、宇宙アライグマ「ロケット」(性格が悪い)と宇宙木人「グルート」(頭は悪い)とのコンビもいい。
まさかアライグマに泣かされそうになるとは思わなかったよ。







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