黄金週間も終わりましたが特別なにがどうだということもないので、また本とは関係のないことを書く。
ようやくまともに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観た。うむ、良く出来てる。ちゃんとしてる。半袖ダウンをずっと「救命胴衣」と言われ続けるギャグは面白かったし。
ただ公開当時、自分が見向きもしなかったのは実によくわかる。「ご家族でも楽しめる最高の映画です!」という触れ込みで大ヒットしていたが、当時の自分は映画を観て楽しくなろうなんてことはこれっぽっちも思ってないからそりゃ完璧にシカトですわな。
はじめてひとりで劇場に行ったのが『時計じかけのオレンジ』と『シャイニング』の二本立てで、もっとこういうのが知りたいんですけど!というわけでそっち方面にズブズブと進んでいったわけですけど、これはこれで間違ってなかったと思う。
みんな大好きな「バック~」、一応みたのでまあいいやということで、これは結局自分的には本筋じゃないのである。つまりは未見のスターウォーズやダイハードなどを観てもそういうことになるのだろうなと。本当の話が、その辺の映画はソフトを手に取るだけで、かったるい。
ワクワクするかどうか、が大事であり、たとえハズしても手に取ったときに「なんだこれ!」というワクワクを感じさせてくれる作品がやはり、本筋なんである。
さてワクワクする話。『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』(2000)がクレイジーで最高なのだ。
ジョン・ウォーターズの作品としては70年代のディヴァイン主役時代ほどの強烈さはない。
アングラ臭を払拭した今風のわかりやすいコメディになっているんだけれど、バカはバカでも一味違うというか、そういうことを述べていきます。
セシル・B・ディメンテッド(スティーブン・ドーフ)と仲間の「スプロケット・ホールズ」は映画テロリストである。
シネコン、家族向け、リメイク、感動大作などに異を唱え、ハリウッド女優のハニー・ホイットロックを誘拐し彼女を無理矢理主役に仕立て、ゲリラ的に人気作を撮影中の現場をぶっ壊していくという「リアルな」作品を作るという志を持った連中。
元ネタは「パトリシア・ハースト事件」。テロリストが新聞王の娘で女優のパトリシアを誘拐するのだが、ゲリラ思想に共感した当のパトリシアが銀行強盗に参加し、指名手配されるという有名な事件。
パトリシア・ハースト本人も女優として最後に登場する。
誘拐したハニーにチームの面々が自己紹介をする。彼らは「アンディ・ウォーホル」「ハーシェル・ゴードン・ルイス」「デビッド・リンチ」「スパイク・リー」「ケネス・アンガー」などの非ハリウッドの監督名をタトゥーで刻んでいる。自分にとって「誰が何と言おうと最高」という意志の表れであり、一番カッコいいシーン。
ハニーも最初は嫌々ながら参加しているが、ニュースで「ハリウッドの恥さらし」呼ばわりされたことをきっかけに、本格的に彼らの仲間になっていく。
セシルたちが「フォレスト・ガンプ」続編の撮影現場に乗り込んでメチャクチャにしていくのですが、自分はその作品はみていないのですけれども、きっとひどい映画なんだろーなーと思いました。
結局のところ、彼らがやっていることは負け戦。とはいえ「でもやるんだよ!」の大意のもと、ゲリラ映画のために殉死していくというストーリーは意外と胸キュンなのだ。
ファミリー映画とかシネコンのあり方に疑問を持たない人は、スプロケット・ホールズの主張はまったく理解できないだろう。このマイナーな作品自体手に取ることはないのだろうけど、ま、それはそれ。
次作のエロコメ『ア・ダーティー・シェイム』も観たのですが、ちょっとさすがに、我々日本人はここまで偏差値を落とせないというか・・・こういうイメージがあるから洋画コメディには手を出しづらいんだよなー、という典型。
純粋な「レッドネックのための映画」である。これはちょっと勘弁して。