「人生相談」ほどお気楽なものはない。するほうもされるほうも実はどうでもいいと思っている。
テレビなんてのは完全にバラエティ扱いなので論外として、ラジオや雑誌におけるいろんな人がやってる人生相談コーナー。
そもそも「会った事もない人に」「取り上げてくれるかどうかすらわからない」悩みを投稿することが実に薄っぺらいというか「本当はどうでもいい」んじゃないの?と思うわけ。
それに対して真摯に答えるパーソナリティーには「ああ、仕事してますなあ」。以上。
ただ「絶対に前向きな答えしか言わない」というのはプロフェッショナルだなあとは思う。自分だったらストレス溜まりまくって降板する。
知らん人の愛だの恋だの友情だの夢だの将来だのと、実に「どうでもいい」ことなのであって、それらは番組や誌面を構成するトッピングにしか過ぎない。おでんにはちょっとだけ辛子をつけて食べたいのと同じこと。
昔のアイドルのフォト&エッセイにもよく人生相談コーナーがあった気がする。ページを稼げる上に「アイドルにだって脳みそがある」という証も出来るわけだから、たいへんお徳。どうでもいい相談を「アイドルらしく」難しい言葉を使わずに答える、ってのが基本である。
たまに見かけるのが夜のコンビニで電話しながら買い物してる奴。
「あっうんわかるわかる。あっでもオレの意見も言っていい?」とかなんとか、一応相談を受けているような口ぶりだが、そいつの買い物カゴには発泡酒とポテチとDVD付きエロ本が入っている。
そして「限定カップ麺はどれを買うべきか?」と目まぐるしく考えている。
本当の悩みとは「肉親や夫婦の問題」「金銭の問題」「健康上や身体の問題」にほぼ集約され、しかるべき施設に出向かうのが正しい。
『リリー・フランキーの人生相談』(集英社)は相談内容こそ凡庸だが、すごいのは聴き手であるリリーさんが相談相手に直接会いに行っちゃうところ。
で、相手がバカだった場合には「おまえバカだろ?」って言っちゃうところ。
「沖縄は今、おまえみたいな(スローライフな)連中であふれてて本当に困ってんだぞ」「犬を拾うより道に落ちてるおじさんを拾って帰りなさい」等々、名言も多数。帯にもあるようにこの本は「ノンフィクションの傑作」なのである。
というわけで書評おわり。本のレビューをなぜあまり書かないかというと、それが即、ネタバレに通じるわけで、徒労な気がするから。こっちがずらずらと引用してしまうのは勿体ないし、おこがましい。買った人がまっさらな状態で本を読むのが正しい。
5月3日(水)に高円寺フォースで珍しくブックレビューのイベント『俺達は字が読める!』をやるのですが、ゴールデンウィーク真っ最中であり、絶対に誰も来ない。くわつはつはつ。ほとんどの人は楽しい予定で一杯だから、バーテンのお兄さんしかいない可能性も高い。
http://fourthfloor.sub.jp/
とはいえ、明らかに店のスケジュールの穴埋め要員であるとはいえ、なんでもない我々にいつも場を提供してくれるフォースには敬意を表したい。仁義をおろそかにしていると、数少ない人間関係がますますお釈迦になっていく。こうした余興が出来るのもポンコツ店を続けているお陰である。
ポンコツ店、連休中はずっと開けている予定です。3日は19時までです。