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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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チャッキーの嫁さんかわいいな



人形というのは無表情だから恐ろしいもので、日本の市松人形やフランスのフランス人形(あっバカみたいな言い方!)が梶芽衣子ばりに出刃包丁なんぞで襲ってきたら、それはおしっこの数滴も漏らそうというものであろうが、『チャイルド・プレイ』のチャッキーってのは妙に表情豊かで、そのわりにはかわいくもないなという印象で、今まで完全スルーしていたシリーズだったのだが、チャッキーに「ティファニー」という嫁さんがいる、と聞く。
ティファニーは四作目『チャッキーの花嫁』(98)から登場する、元々は人間のゴスおねえちゃん。
彼女がいろいろあって人形になり、チャッキーと夫婦になるのだが、これがまた大変かわいらしいのである。
二人は仲むつまじく殺人を繰り広げてゆく。夫婦の相性も抜群。チャッキーも顔中が傷だらけになり凄みを増す。
セックスもすれば妊娠もする。二人の子供が登場するのが次作『チャッキーの種』(2004)。これが超悪ノリ大会で、シリーズ最高傑作ではないかと思う(二作しか観てないけど)。

その子供は「シットフェイス」と呼ばれ、インチキ腹話術師のパートナーになっていたのだが、まったくとってつけたような偶然によりチャッキー夫妻と再会。
とりあえず名前をつけようということで股間をめくってみると、そこは加工されていないツルツルの状態。
チャッキーは「これから生えてくる!だから男だ!」と主張し、ティファニーは「女の子よ!」と主張し双方譲らず。結局めいめいに「グレン」「グレンダ」と呼ぶことになって、これは最後までどっちつかず。
(マニアックな話だけど、このネーミングはエド・ウッド一連の最低映画『グレンとグレンダ』が元ネタ)
といった感じなので、これはもはやホラーではない。人形劇によるブラック・コメディなんである。
本作で特筆すべきは、あのジョン・ウォーターズが俳優として出演しているということだ。
最近この人の名前をよく出しているが、まあそういう気運なんでしょうけど、あの特異なルックスは本当にオンリーワンである。この人は常々、ヘンな顔に生まれたら映画に出ろ!と言っているので、本人もそれをいよいよ実践ということで、えらいなあと思う。
しかも顔を硫酸でドロドロに溶かされるパパラッチの役で、役者冥利に尽きるのではなかろうか。まあちっと「溶けすぎ」だけど。
人間側の主役はジェニファー・ティリーという巨乳さんで、前作の人間時代のティファニー、およびティファニーの声を当てている。
彼女は聖母マリアの役を射止めて映画界に巻き返しを図ろうとする、あまりパッとしない女優。
劇中のセリフで「あんたが出ている作品で好きなのは『バウンド』だ」というのがあるけど、『バウンド』という映画は本当に存在し、ジェニファーさんが本当に主演している。
たしかレズビアンの女泥棒が主人公のバイオレンスで、かなり前に観たのでもう内容は忘れてしまったが、まだレンタルに置いてあれば再見したいところ。

本作の骨格は、聖母マリアの「処女受胎」をネタに血みどろギャグでからかったもの、と、お見受けした。
アメリカには聖書に書かれていることを一字一句信じる「福音派」なるクソ真面目な方々がいて、彼らが観たら逆上しそうな内容。
他にも拾ってみると、ティファニーは子供と再会したことによりアイデンティティに迷いが生じ、「殺しはやめるべき」と思いつめる。ハウトゥ-本を読み「まず相手に謝りなさい」の言葉を見つけ、「ごめんなさい、あなたの旦那を殺したのは私なの」と、電話でお詫び。もちろん相手は逆上して泣いちゃうんだが、ティファニーいわく「あースッキリした~」。ひどい。ひどいけどかわいいからまあ許す!
それに対してチャッキーは首尾一貫。「殺人は依存じゃねえ!選択だ!」は、へなちょこ殺人鬼に聞かせてやりたい名言だ。
家族で人間になることを一人拒否したチャッキー。「人間なんてクソ食らえ!オレはキラードールだ!」と宣言する姿は本当に男前だと思う(ちっちゃいけど!)。
チャッキーやティファニーが人間を景気よくぶっ殺すのは全然楽しいのだが、彼らが死んでしまう場面は前作同様、ちょっと寂しい気持ちになるのであった。
出演者が殺されるシーンでまとめたエンドロールが楽しい。

といわけで今回も不謹慎を堪能。初期作品は観なくていいのかと言われそうだけど、ティファニー出てこないしまあいいんじゃないっすか?と言えてしまうのがジャンル映画のいいところ。
『チャッキーの種」および『花嫁』は人形たちの表情も素晴らしく、この技術をもっとちゃんとした作品に使えば世間も暖かく迎えてくれると思うのだけど、「そっちじゃなくこっちをやる!」という意志が、ジャンル映画の誇りだ。製作チームもこっち側をやってるほうが楽しいんじゃないかと思う。
ちなみに『アラビアのロレンス』とか『十戒』とかは、半身不随にでもなってから鑑賞すればよろしい。
おしっこ行かなくて済むし。


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