話題作の『デッドプール』を鑑賞しに新宿TOHOシネマに行ったのですけれども、チケットを買った時点でほぼ満席でビビる。だいたい自分はガラガラの劇場の端っこで観るのが好きなのだ(コミュ障なんで)。
何とか端っこを取れたのだがビビッていたのでアイスコーヒーのMを買おうとして間違ってLと言ってしまったらなんだか巨大なものが出てきましてしかもストローを刺す口がふたつあってあーなるほどねーと思いめんどくさくなってほぼ口をつけずに放置。しかもレディースデイだったので女性が多い。
と、ビビリまくりで始まったのですが本編は面白い。「デッド」や「デス」がついてるものにハズレなし。デスレース2000とか、デス・プルーフとか、ブレインデッドとか、デッド・ケネディーズとか!
アメコミ原作だが、本人が言ってるとおり「俺ちゃん、スーパーだけどヒーローじゃねえし」。
こいつの一人称を俺ちゃんと訳した人は天才。
ウェイドは肉体と暴力を使って問題を解決する仕事の人だったのだが、ある日出合ったコールガール・ヴァネッサと結婚。直後、全身を末期ガンに犯されていることが発覚。すると現われた怪しい男、自分が所属しているところで治療できるという。が、そこは怪しい血清を注射して拷問することにより力を目覚めさせ、スーパーな奴隷を作る研究所だった。ウェルドの体にも変化が起こりガン細胞は死んだが、全身ヤケドのような赤くただれた姿になってしまう。その研究所をどうにか逃走し、デッドプールとして組織に復讐する。
といった骨組みはサム・ライミの『ダークマン』に似ているのだが(あまり人気も知名度もない。なぜだ)、こちらは暴走気味にふざけている。
冒頭のタクシードライバーとの会話からしてアホらしいし、直後に敵とのバトルが始まるんだけど、実に頭をカラッポにして大量虐殺を楽しめる。
思えば「仮面ライダー」も似たようなプロットで、やっぱりショッカー戦闘員はボコボコやっつけられていたよなあ、などと思い出したりする。
ヒーローのユニオン・X-MENに入れと言われても「やだ」と拒否し、観客に向かってべらべら喋り、「ワム!」が大好きってのも気取ってなくてイイ。
先日は銀座のヴァニラ画廊にて「シリアルキラー展」を鑑賞。
平日の開場直後にもかかわらず大盛況。みんな、殺人鬼が好きなんだね。
飛び抜けて達者な人も何人かいるが、基本的には究極のヘタウマ展覧会である。
特にチャールズ・マンソンの作品、なんじゃあれは。単なるゴミじゃねーか。少なくともアート分野における才能はゼロなんだから、あまり崇め立てないことだな。
メインはジョン・ウェイン・ゲーシーか。死刑になるまで最も多くの絵画販売を行った(その数4000枚)。地元の名士であり、ピエロに扮してチャリティ活動にも参加。裏側では子供を33人も虐待して殺した。
ピエロが中心で、大きさやポップな色彩が目をひく。ヘタですが。
特にエルヴィス・プレスリーを描いたものがひどい。ひどすぎる。エビスさん以下。
本物の狂気とやらに触れられるのかも?という期待で出かけたのだが、結局のところ「正常」と判断され服役した人たちである。行為そのものは異常だが、アート云々というレベルにははるか遠い、しょぼいお絵かき教室といった趣であった。付加価値だけの展覧会。ただ、自らの殺害現場を描いたらしいラフなスケッチ画にはちょっと「うひぃ」となりました。
このような世界に興味を持つということに対し、パンフレットの文章がうまいこと弁護しているので引用。
『言葉は悪いが、同じ民族ではない異邦の殺人鬼たちは映画に登場する怪物を見ているようで、日本での身の回りの事件と違いリアリティーを感じることがなかったためか、嫌悪感は薄いものだった。』