DVDを選ぶ際に「R指定からさがす」という裏技があって(多分やってるのは自分くらいです)、それで出会ったのが2012年版の『ジャッジ・ドレッド』。シルベスターすた丼が主演作のリメイク。
アメコミ・ヒーロー映画なのにR15指定。ヒーローものは家族連れで来るから客単価が増えるわけで、本来ならおいしいはずなのだがR15。それでも「良し」とした出資者はなかなかの太っ腹。
「キック・アス」もR15で、しかし今考えてみるとあれはそんなにまずいのかなあ、そんなに子供が残酷表現に触れてはいけないものなんだろうか、ネットにはホンモノがゴロゴロしてるのになあなどと思ったが、本作はさすがにヤバいというか、血・血・血・血まみれバイオレンス描写の連続。
人口過密と犯罪が溢れる近未来。「ジャッジ」と呼ばれる法の番人チームがあり、彼らは警官であり裁判官であり刑の執行人でもある。
それいいのか?ともちょっと思うが、牛丼的には「安いうまい早い」という感じである。
凶悪犯罪者を見つけると「あ、悪い奴みっけ。悪いから死刑」と、一応お役所に連絡を入れたのち、その場でぶっ殺していく。それでも絶対数が多すぎるので減らない犯罪。
主人公は最も優秀なジャッジの「ドレッド」なのだが、彼は最後までヘルメットを脱がないので、主演男優なのに顔が最後までわからない。てことは観客も感情移入がし辛く、つまりあんまりジャスティス感がないのである。
ジャッジの研修員として相手の心が読める超能力を持つかわいこちゃん(カサンドラ)が、ドレッドとチームを組まされる。
ギャングたちが身体の皮膚を剥がされ高層マンションから突き落とされるという事件がおき、二人はその容疑者を連行するが、彼のボスは現場のマンション「ピーチ・ツリー」をアジトとする女マフィアの「ママ」で、最近蔓延しているドラッグ「スローモー」(時間の経過がスローに感じられる)の密売元。
それを白状されてはかなわんので(ジャッジの取調べはとても残酷だそうな)、マンションを閉鎖して子分を取り返し、ドレッドとカサンドラを殺そうとする。
要はそれだけのシンプルな話なのだが、カサンドラが敵の心に入り込んで超へこませたり、報酬目当ての仲間のジャッジが襲ってきたり、口頭によって使用法が変わる銃(「不発弾」と命じると実際そうなって相手が撃った瞬間に手首から先がバヒョッ!)が登場したりと、充実した仕掛け。
ドカーンとバキューンとかブシャーッとかを楽しむ映画である。
あと、ピーチ・ツリーのはしっこで座り込んでいるホームレスに「そこにいると法律違反だから移動しろ」とドレッドが指導したが「はい」などと答えてそのまま居座っていた彼の上に、物凄い勢いでシャッターが降りてグシャッ!っと潰されるシーンには笑った。だってギャグでしょ?
白眉は、スローモーを吸わされたまま二百階から突き落とされるママ(やったのはドレッド)。
意識が延長された状態なのでゆっくりゆっくり下降してゆき、頭から地面についたときにバシャッ!と自らの血をぶちまけてみせる。観客にはスローモーションでこの映像を体験させ、ママの意識と同化させるというきわどい演出だ。
こういう作品について「暴力では何も解決しないと思う」などと言う人が必ずいるんだが。
めんどくせえなあ。暴力で解決するんだよ!映画だから!!
反目していた親子が理解しあって抱き合うより、人体がバラバラになるのをみてるほうが楽しいに決まっておる!
お涙頂戴ならタダで転がってるが、エログロやバイオレンスはサーチが必要なのだ。
SEARCH&DESTROY!