とにかく日々、居眠りをしているか映画を観ているかで大変いそがしいのである。
映画に関してはどこから手をつけていいのかわからなくなっていたのだが、ぼちぼち更新したいと思う。貧乏性なので、書かないとやっぱりもったいない。
ちょっと前に池袋文芸座にてマカロニ・ウェスタン二本立てに行ったら、自分が観る前の回に機材の故障で上映が30分途切れるというトラブルが起きていた。へえーそうなんだーと他人事だったけど。
それが『殺しが静かにやって来る』(68年/監督セルジオ・コルブッチ)だったのだが、クラウス・キンスキーの堂々とした悪党ぶりがカッコいい作品。そしてマカロニ史上最も無慈悲と言われるラスト。テーマ曲の美しさも出色。
全編、雪山での殺し合い。これは確実に『ヘイトフル・エイト』に影響を与えていると思う。
もう一本は説明不要の『続・荒野の用心棒』。ジャンゴだよ、オリジナル・ジャンゴだよ!
棺桶に仕込んだガトリング銃をぶっ放すシーンと、激鉄を墓石に立て、潰された両手で連射して速攻でケリをつけるラストが有名。改めて見るとあのめくら撃ちではほぼありえないラストなんだが、「カッコいい」は「ありえない」に優先する。いちいちツッコんでいたら、と学会なんかと同じになってしまいます。
そして先週が『御用牙』『御用牙 かみそり半蔵地獄責め』。二作とも日本では未DVD化。
勝新プロによる勝新太郎主演作なのだが、彼のキャリアの中で最もエログロ嗜好が全開な作品ではないだろうか。
板見半蔵は「その男、凶暴につき」な岡っ引き。お上には逆らい、「庶民のためなら何でもやる」ので、石抱きプレイグッズを常備のマイ拷問部屋も用意している。
いい塩梅の拷問を計るため、自分の身体で石抱きプレイを試したりする。真面目だ。
そして「庶民のためならレイプもする」ので、日々自分のものを鍛えている。
棒で打ち据えたり、米俵に突っ込んだりしているんですが、お百姓さんが一生懸命作ったお米をそういう用途で使うのは良くないと思う。
そして拉致した女を、狩猟で動物を生け捕りにする時に使う荒縄で作った罠に入れて吊るし上げ、下から自慢のもので突き上げるのである。
「いい加減吐かねえと抜いちまうぞ!」「あひいいい、やめないでえっ」かなんか言いつつ、くるくる縄を回転させたりする。まあエロというよりアホなんだが、両作品に登場する見せ場であります。
どうせ海外版DVDを取り寄せる人もほぼいないと思うので書いてしまうが、一作目(72年/監督・三隅研次)のラストは、「病気で苦しむ父親を見かねて殺そうとする娘と息子」を見かけた半蔵がその家に押し入り、「おまえらちょっと出てろ」と追い出したのち、父ちゃんを吊るして殺害。で、「自殺として処理」して一件落着!という豪快さ。どうも小池一夫大先生の脚本をそのまま映像化したらしい。モップスによる主題歌も豪快。
二作目(73年)は監督が増村保三にバトンタッチ。さらに粘着質に。
密かに堕胎を行っている寺の女僧と妊婦が裸で抱き合っているシーンの照明が原色とか、時代劇なのにそこまでやんなくてもよさげなサイケ感だが、こういうのが楽しいのである。
さらに後半は凶悪な押し込み強盗役の佐藤慶も登場し、メリハリがあるこちらのほうが面白いかもしれない。賄賂大好きでやな感じの上役・西村晃(a.k.a黄門様)もいい味。
風呂場に仕込んだブービートラップで相手を串刺しにするなど、両作品ともマカロニ的な残酷美学が濃厚。
マカロニもカツシン(勝新太郎というのもひとつのジャンルである)も「やっぱこういうのが映画だよなー」と非常に楽しかった。普段しょんぼりと暮らしている者にこそワイルドな表現が必要なのである。
普段からワイルドなひとは死なないようにがんばってください。