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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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レザーフェイスはみんなのともだち



最高。という言葉で語弊があるならば、「最悪」。「最狂」「最凶」でもいい。
『悪魔のいけにえ 公開40周年記念版』を鑑賞(@ヒューマックス・シネマ)。
渋谷なんて大嫌いなんだが、こればっかりはしょうがない。あの「テキサス電動のこぎり大虐殺」が劇場で観られるのである。
スプラッタの元祖だけど派手な流血シーンはない。狂ったヒッチハイカーが自分の手のひらをナイフで切るシーンと、捕まった女子が指先を切られてミイラ化したジサマにちゅうちゅう吸われるという厭なセクハラに、ちょっとだけ赤いものが流れる。
ブチ切れまくっている本作だが、実はとても洗練されている。
今まではチェーンソーの爆音と、「いけにえ女子」の叫びばかり印象に残っていたが、大音量で味わうと「虫の羽音」「風の音」「車のエンジン音」「機械の振動音」など全てが重要な音響となっており、サントラとして機能している。やはり劇場で観るべき作品なんである。
殺される若者たちの人物造形なんて描かれない。どうでもいい奴らはどうでもいい会話をダラダラ続けるのみ。ただ、車椅子のデブのみ特別にひん曲がったキャラが与えられており、癇癪を起こしてブーブー唾を飛ばしまくるところはイイ。
人面マスクを被った大男(レザーフェイス)にチェーンソーをぶん回されながら、夜の森を絶叫しつつ逃げるマリリン・バーンズと云う女優。爆音で浴びるべき一世一代の名シーン。
ただ、どことなくグロテスクなユーモアも漂っており、それが実はこの作品のキモ。

この手のジャンルの売りである、殺人シーンの尺がとても短い。カメラも行為そのものは映さない。
じゃあどこに重きを置いているかというとそれは、レザーフェイス一家の家族関係にある。
先のヒッチハイカーはレザーフェイスの兄。叩きおろされた車のボディに自分の血で「怪傑ゾロ」のマークを残すという、小粋なセンスを見せる。
レザーフェイスはバカだけど、ちからじまんのおとうと。
父親もいる。時折まっとうなことも言うが本質的にキチガイ。ラジオからは墓荒らしのニュースが流され、その実行犯は息子たち、父親は「コック」であることが会話で示唆される。
(しかし、マリリンさんを捕獲するときに使う武器がなんと「ほうき」なんである!お前もそんなもんで捕まるなよって気もするが、監督のトビー・フーパーってほんと天才だと思った)。
コラーゲン不足なのか、ほぼミイラとして生きているカサカサじいさん。
かつては豚殺しの名人であり、せっかくだからじいちゃんにもあの感じを味わってもらおうと(家族思いであります)、ほぼ腕力のない手にハンマーを握らせ、マリリンの頭上に何度も振り下ろさせる。
それを大はしゃぎで見守る息子と孫。このブラックかつバカなシーンがクライマックスってのが、凡百のホラーとの大いなる相違点。
ファミリーで生業を立て、コミュニケーションもちゃんとあるという、核家族とはほど遠い「ほのぼの一族」である(犠牲者じゃなければ)。
死体を盗んではDIY精神で家具などを作っていた職人さん、「エド・ゲイン」の実話がヒントになっているのだが、電球に人面カバーが施されていたりと、にくい演出もあり。
朝焼けの中、チェーンソーを振り回すレザーフェイス。これほどカッコいい「ダンス」はみたことがない。
そいつをブツ切りにして終わらせるラスト。こういうのは長すぎちゃいけない。とにかくセンスがいい。
40周年おめでとうございます。


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