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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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和製レザボア・ドッグス



『狼と豚と人間』(64/監督・深作欣二)を鑑賞@ラピュタ阿佐ヶ谷。
カッコいいタイトルである。しかも内容を的確に表している。
主人公は次男の高倉健か。彼は相棒(江原真二郎。トッポい存在感は抜群で、横山剣氏にそっくり)と組み、荒っぽく稼ぐアウトロー(狼)。長男は三國連太郎で、暴力団「岩崎組」幹部。ただし金と地位は持っているから「人間的」と言えるかも知れない。彼ら二人はドヤ街の実家と母親を捨てて飛び出したので、三男の北大路欣也が年老いた親と稼業である豚の世話を受け継ぐ形になる。例えはひどいが「豚」だろう。
モノクロ画面にドヤ街や豚小屋の悪臭が充満している。でも音楽はシネ・ジャズ。

母親が死に、骨壷を持って三國の組に現われたキタキン(めんどいのでこの表記で)だが、そんなものもって来るなと邪険にされ、どうするかというとそれをそのままドブ川に流しちゃう。
見つめるドヤの仲間たちと「やってらんねえよ~♪」みたいな歌をいきなり歌い出して、ミュージカルになるシーンがちょっと笑ってしまうが、パワフルだ。
出所した高倉が岩崎組の金と麻薬を強奪しようと相棒と画策し、キタキンとその仲間たち(チャンネー含む)を計画に加える。報酬は一人頭五万。これは当時の金銭感覚でどれくらいなのか?
とにもかくにも強奪に成功し、ドヤの実家にて全員が落ち合いそこで分け前を分配すればめでたしめでたしなのだが、キタキンが盗んだバックの中身を見てしまうと、そこには現金二千万と一体いくらになるかわからない量の麻薬がギッシリ。
彼の心中としては「これでオレらの取り分は五万なの?」ってわけで、ブツをどこかに隠して消えてしまう。

さて一味が実家で顔を会わせるとブツもなく弟もいない。さらに健さんの彼女(中原早苗。昭和的には「情婦」というのだろうか)もやって来て「あたしもここにいるわ」と居座る。「あら、ナントカすればいいじゃないの」とアドバイスする、「ひとこと番長」みたいな役回り。
やがて健さんたちは戻ってきたキタキンと顔をあわせ、隠し場所を吐かせようと鉄拳制裁を加えるのだが埒があかない。ならば精神的に追い詰めるしかないと、チャンネーをレイプ。さらには仲間の指を万力で締め上げて潰す。
DVDのジャケットがいまいち謎だったのだが、このシーンだったんですね。
こ・れ・を侠客ヒーローの高倉健が行っている。かなり目が点になった。
やがて三國が真相を知ることになり、三兄弟をめぐる物語は血みどろの展開へ。

サングラス&スーツ姿の高倉健と江原。現金強奪作戦。裏切って足を引っ張り合う計画者。密室で血と汗にまみれ疑心暗記する男たち。残虐なリンチ(さすがに踊ってないが)。ラストも含めこれはタランティーノのデビュー作『レザボア・ドッグス』の原型ではないか。
『仁義なき戦い』が73年だから、それより9年も前の作品。
ラピュタという劇場は観客の年齢層がかなり高く、この日も白髪頭の旦那衆と観ていたのだけど、彼らの世代ですでに、こんなにスゲぇ作品が作られていたのだ!若いもんはもっと精進しなければいかんと思う。
伸し上がっても人間的な貧しさは隠し切れないという意図の演出なのか、最高に汚ねえ痰を吐くシーンの三國連太郎はさすがの貫禄。

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