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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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死体とゲロと友情



妙に好感度の高い『スタンド・バイ・ミー』(86)だが、自分なんぞはテレビで観たときの強烈なゲロシーン(後述)しか覚えてなかったりする。
久々に観直したのですが、いきなり十二才のお子様が隠れ家でタバコをふかしている始まりかたに驚く。こんなの今じゃ絶対撮れない絵だ。
四人の少年たちが列車事故にあった死体を捜しに、二日間の旅に出るというスト-リー。
主人公のゴードンは文才があるが、それを認めているのはクリス(リバー・フェニックス)だけで、兄が死んで以来、家族から冷たくあしらわれている。お兄さんが優秀すぎたのである。
クリスはDV家庭育ちで町の人間からは白眼視されているし、テディの父親はかつて軍隊の英雄だったが、今は精神病院。彼自身も破滅的な傾向が見られる。バーンは臆病で太っちょ。
といった、何となく冴えない四人組だけど、死体を捜し出せば地元のマスコミから取材が来てヒーローになれる、てなわけだ。
彼らの兄たちがまたクズの不良で、車を飛ばしながら脇道のポストをバットでぶっとばすという実にけしからんゲームに興じていたりするが、同じ動機で死体捜しに乗り出す。連中も田舎の閉塞感が退屈で、面白くなくてしょうがないのだ。

少年たちが過ごす夜に、ゴードンは創作話をねだられる。そこで語られるのがこんな話。
町中からバカにされているデブがいる。彼はいつか町の奴らに復讐するチャンスを狙っている。
ある日行われた、名士たちや有名DJも参加するピザの大食い大会。これにデブも参加するが優勝が目的ではない。
事前に油と生卵を飲み込んでから、大食いに参加。彼が出ただけで司会および観客たちからは嘲笑や罵倒。全員人格が下品。さらにこの大会が「手を使わないで食べる」という犬食いルールで、ほんとアメリカのバカっぽさを象徴したような趣向。
散々食って気持ち悪くなると、デブが豪快にゲロ噴射!彼はこれがやりたかったのである(80年代の非常階段や江戸アケミみたいですね)。それをきっかけに全員が気持ち悪くなって観客巻き込んでのゲロ地獄。その地獄絵図を満足気に眺めるデブ、って書いてるだけでこの話サイコー!
キャンプ夜話なので、わざわざこんなエピソードをきっちり映像化しなくてもよさげなもんだけど、監督ロブ・ライナーの「いい話だけじゃ終わらせんぞ」という悪意が見えたりする。
さらに近道として沼を渡れば、ヒルにびっしり吸い付かれる。これは私も引きました。
死体とゲロとヒル。子供たちのダークな生い立ち。これらをうまいことベールに包んで「少年の日の瑞々しい感動の冒険談」と、当時の宣伝部はうまいことやったのだなあと思う。
「この映画が一番好き」とおっしゃる方々に対し、「ほんなら、あのゲロシーンはどうやって落とし前つけとんのじゃ。なかったことにしとるんかいのう?」と、てきとー広島弁でイチャモンつけてやろうと思って鑑賞していたんですけど、ベン・E・キングの主題歌が流れるころには泣いていました。
そんなわけで仮想敵は『ダウン・バイ・ロー』が一番好きって言う奴になりました。

無理矢理だが少年映画として並べると『蝿の王』(90)があり、飛行機事故で無人島に漂着した24人の少年たちの物語。ぶっちゃけリアル漂流教室。
最初は規律を守っていたものの、やがて穏健派(高松くん)と過激派(大友くん)にグループが分裂。
デビッド・ボウイ似のきれいな少年が顔にペイントを施し、徐々に獣性が目覚めていく過程は、かなり、やな感じ。
漂流教室ならば「今までのぼくを許してくれっ!!悪かった!!」「今度こそ力を合わせていこう!!」「「大友くんっ!!ありがとうっ!!」ウワーッ(まだ続けますか?)と、感動的な展開になるんだが、こちらはラストまで絶望的。名作だけど、やな感じである。
このDVDは、水商売を営んでいる知り合いの銀実ママさんから貸して頂いたのだが、本人も「怖いから二回しか観てない」ということだし、通帳入れとして持ち歩いているのでパッケージがボロボロ。
と、無理矢理ユーモラスでおもしろ風味に〆てみる。だってこわいよこれ。

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