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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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滋養としてのビッグ・リボウスキ



今年、地味にはまったものとして「洋画コメディ」がある。DVDスルーがやたら多くて日本人にとっては一番馴染みがない上、パッケージやタイトルを見ても煽りが少ないので、それが面白いのかどうかわからんのである。
コメディ棚の半数近くはラブコメ、という偏見もある。こちとら、一本筋の通った、頭のネジが何本か抜けた、ビッとしたバカが観たいわけで、恋愛でほわんほわんになった男女なんてどうでもよろしい。
大傑作『スーパー!』で感動したあたりから手を付け始め、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』『ズーランダー』『ネイバーズ』『ジャッカス・ザ・ムービー』『クソジジイのアメリカ横断チン道中』『チームアメリカ★ワールドポリス』『サウスパーク無修正版』『シリアル・ママ』『バス男』『俺たちニュースキャスター』『ホットファズ』『宇宙人ポール』『ゾンビ処刑人』等々(ここにあげたのはすべて名作)、ちょいちょいつまんでいる。
近作では大学の新入生がただ遊んでるだけという驚愕の内容『エブリバディ・ウォンツ・サム!』がある。ああ、まだソフト化されていないようですが、『俺たちポップスター』は恐らく今年最強のバカ映画。
これらに出ているバカたちは最高。しかしこのバカを堪能するためには自分のアンテナを張っていないといけない。ぼうっと観ているとバカの洪水に流されてしまう。日本のように親切な「ツッコミという防波堤」がないからである。
(まあ本当に好きなのはコメディ棚にないコメディ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『ペイン&ゲイン-史上最低の一攫千金』、イーライ・ロスの『ノック・ノック』だったりする)
で、遅ればせながらコーエン兄弟の『ビッグ・リボウスキ』(98)、これ、大好きだ。

通称「デュード」と名乗る主人公のリボウスキはある晩、暴漢の襲撃を受け、カーペットにシッコされる。
彼らは大金持ちのビッグ・リボウスキと勘違いしていて、ビッグの嫁さんの借金を取り立てに来た。
翌日、デュードは「敷き物をダメにされた」とビッグの家に抗議に行くのだが追い返される(この後彼はなにかにつけて「敷き物が~」「敷き物が~」と繰り返している)。
その後ビッグの妻が誘拐され、彼はデュードに身代金の引渡し役を頼むことになる。
主人公デュードは無職の無精者(ファッションセンスが最高)だが、彼が一番バカかというとそうではなく、更なるバカがうじゃうじゃ登場する。というか、デュードが人間的には一番「まとも」なんである。
特にベトナム帰りのデブ・ウォルターのバカっぷりがすごい。こいつがいらんことをするため、デュードはどんどん窮地に陥っていく。
いちいちコメディのギャグを拾っていくのも無粋なんだがひとつだけ、ラスト近くで死んでしまった友人の遺灰を受け取るところが最高。
壷が高くて買えない。しょーがないからコーヒーショップの缶に入れてそれを引き取り(ぶはは)、盛大に撒くのだが逆風の海風が吹いてデュードは全身灰かぶり、という不謹慎なギャグに爆笑した。
この映画のアクセントはボーリング。デュードたちは怠け者でバカだったりするが、ボーリングだけはストイックに真面目なのだ。そしてボーリングをデフォルメした世にもバカバカしい「受精シーン」は必見。
音楽の使い方もかっこいい。音楽に目配せできる監督の作品はだいたいとんがっている。
恐らくユダヤ的にはいろいろな含みがあるのだろうけど、それが一切わからなくても面白い。なぜなら、パーフェクトなバカ映画だからである。
コーエン兄弟が得意とする、「勘違いが勘違いを呼んで事態がますますひどくなる犯罪劇」をコメディに仕上げたものだが、寅さんにも森繁先生にも興味がない自分にとっては、年末に観る映画としてはなかなかハートウォームであった。

バカ映画をなめてはいけない。なぜなら邦画においてこれらに匹敵する「バカ映画」を何一つ思いつかないから。北野武も松本人志も大惨敗であった。
キャストを厳選し、頭を回転させて最高のくだらないギャグをひねり出すのが「バカ映画」なのであって、そう考えると日本ではほぼ無理なんだろう。
真面目な話、バカ映画は心の滋養である。


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