肺炎になりまして、たまに咳き込むくらいで日常生活に支障はないので、三連休は通常通り営業します。
弱ってるので、あまりアルコールも分解できない。静かにレンタルで映画などを観ている静かな日々なのですが、やっぱ犯罪映画っていいよね!犯罪最高!!(と、無理矢理テンションを上げていくです)
『狼たちの午後』(監督シドニー・ルメット/75年)を久々に鑑賞。やるせねぇな、やっぱり。
アメリカのナショナリズムに対し、「それ、ちげーよ・・・」と砂をひっかけたのが一連のアメリカン・ニューシネマ。
銀行強盗の物語である。ソニー(アル・パチーノ)と「サル」と呼ばれるその相棒。二人ともベトナム戦争の帰還兵。
ツメが甘くて根っからの悪人ではないソニーの計画は、銀行を襲撃した時点で早くも頓挫。
人質にされた銀行員たちも、ソニーの「どうやら悪い人でもないらしい」人間性を見抜いて、なんとなく友好ムード。ただしサルは、いつライフルをぶっ放してもおかしくないサイコパス。
ソニーが包囲された警察たちと交渉したりやり込めたりしているうちに、野次馬たちが集まり、ちょっとしたヒーローになる。
彼は妻帯者だが、同性の恋人とも極秘に結婚しており、その恋人に性転換手術を受けさせる費用を作るために、銀行強盗を決起したのである(実際に起こった事件を元にしている)。
それが報道されたもんだから、今度は同性愛者たちが現場に押しかけプラカード応援。
サルは面白くない。「オレはゲイじゃない。訂正させろ」
動機もパッとしなくて、最初からなんとなく成り立ってない事件の話なのだが、「大列車強盗!」みたいなビッとした犯罪なんてもう有り得ないんだよ、といった時代の気分か。
原題は「Dog Day Afternoon」。夏盛りという意味らしいけど、「犬っころの午後」と直訳したほうがしっくりと来る。狼じゃなくて、負け犬たち。
『新幹線大爆破』(監督/佐藤純弥・75年)はいろんな意味で大爆発しています。
自分の工場を潰してしまった経営者(高倉健)と、過激派くずれ(山本圭)と、沖縄から上京した青年の3人がチームとなり、80キロに速度を落とすと起動する爆弾を新幹線に仕掛ける。
新幹線の指令室長が宇津井健、車掌に千葉真一。熱いのである。
(関根勤がたまにモノマネしている「新幹線大爆破の千葉真一」はこれが元ネタ)
犯人の一人が山中において、まさに警察から身代金を奪ったところ、ちょうど「大学の柔道部」たちがマラソンしているところにぶつかる。警察が「そいつは爆弾犯人だ!捕まえてくれ!」と無茶を言う。
しかし昭和の映画ってのは、犯人と警察が金のやりとりをする山道が必ず、「大学の柔道部か空手部のマラソンコース」なんである。いいんだけど。
そしてこれはちょっとネタバレなのだが、犯人の健さんは身代金を手に入れ、爆弾の取り外し方の説明書を指定した喫茶店に置く。
が、警察が来る前にその店はなんと火事で全焼!!
予告編にも「恐怖の二次災害!」と出てるが、そりゃみんな困っちゃうよねえ。恐怖の膝カックンな展開。
犯行グループたちのやるせなさ。中間管理職としての宇津井健のやるせなさ。現場でひたすら発汗するサニー千葉には「あんたがいちばん超特急」と言いたくなる。
タイトルのおかげで国鉄から協力を拒否され、セットのみで新幹線のシーンを作り上げたという。フランスなど、海外での評価が高い作品。
そして、映画の本編が終わったあとになんのデリカシーもなくでかでかと映し出される
「特別出演 丹波哲郎」
の文字。心の準備をして鑑賞されたい。