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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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見世物上等



超話題作『カメラを止めるな!』、行ってまいりました。吉祥寺オデヲンで昼間の部はチケット完売。平日のレイトショーでセーフ。でも満員。感想。面白いです。以上。
SNSでも自分が知る限りは、ネタバレを拡散している者は一人もいない。これだけ底意地の悪い連中がうようよしている世界をビシッと黙らせる作品の力はすごいと思う。
正直言ってゾンビパートはかなりお粗末。インディーズとはいえこれで終わりだと金返せのレベルだけれど、そのあとが重要。予告編でも触れられているから書いてしまうが、実はゾンビ映画ではないのだ。
「これは家族愛の映画だ!」とぶち上げた記事もあったが、正直そういう見方は白ける。なんでそんなにちゃんとしようとすんの。「最高のコメディ」でいいんじゃないか。
ここがこうなってリンクするのか、という映画でしかできない表現がお見事。実際なんでもないシーンで笑っている観客がいる。リピーターなのだ。
特に「お前の人生は全部嘘っぱちなんだよ!!」からの展開が心捉まれる。映画を観た人ならわかると思います。よろしくでーす。
が、最近、原作者と名乗る人が現れて一悶着あると聞く。「原案じゃなく原作とクレジットしてほしい」と。
とある劇団の舞台がオリジナルなんだそうな。
事情はわからないが、映画を観た限りでは「映画でしかできない表現のオンパレード(ここを書くとネタバレになる)」なので、俯瞰で、つまり「ワンカット」で見せる舞台とは全然別物になってるんじゃないか。な。という。気がするんだけれども。

ともあれ「ゾンビ」をテーマにこれだけ多くの人に愛される作品を作ったってことがすごい。あ、韓国の『新感染』も愛され系のゾンビ映画でした。
そうなると本来の陰惨なゾンビ映画もやっぱりいいよな、と思い始めるのが人情。「今までとは違うゾンビ映画」という発想も、世界中が延々と、しょうもないゾンビを作り続けてきた累積の結果なのだ。
自分の一番のトラウマは昔、深夜テレビで観た『サンゲリア』で、これが多分、最初に腐乱ゾンビを登場させた作品だと思う。公開当時は「ショック死した人のためにハワイにお墓を用意しました」と宣伝されたとか(もちろん嘘っぱち)。
イタリアの残酷王ルチオ・フルチの作品は他にも『地獄の門』『ビヨンド』『墓地裏の家』『ザ・リッパー』など、具体的に書くと汚らしいのでやめておきますが、「何すかそれ?」で終わってしまうホラーも多い中(特に「自撮り系」)、「とにかくなんだかすごいことがおこっている」という点で、ホラー映画としては百点なんである。
デタラメだし意味もメッセージもないんだが、たまに観ると頭の中をドブさらいしたような気分になる。
「映画は芸術か見世物か?」という極端な問いには絶大なる自信を持って「見世物だ!」と答える立場を取りたい。極論ではあるが、すべての表現がそうであってもいいと思う。見世物で悪ければ「カブキモノ」だ。
お前の内面的メッセージなんて知ったことか。体を張って何か面白いことをやってくれ。

シネフィルの方々は「昔のホラーには優雅さがあった」とおっしゃるのだろうけど、今や残念ながらベラ・ルゴシから恐怖の本質は感じられない。ただもう、圧倒的にエロティックでカッコいいのだが。
恐ろしいのはやはり極悪非道な殺人鬼であり、隣に住むサイコパスであり、群れをなして襲うクリーチャーであり、原因不明の伝染病だったりする(ゾンビってジャンルとしてはこれなのかな?)。
そして我々はそれを観てサッパリする。なぜか。見世物が好きだから。
仮にゴア・エフェクトが存在しなかったら、あるいは禁止されたままであれば、いまだに映画は「ウッ、バタッ」で人が死ぬ。これを「犬死に」という。
立派な賞をとった名作や大ヒット作にも少なからず残酷描写がある。それを一応多くの人が受け入れているのは、知らず知らずのうちに「そういう表現」あるということに慣らされているから。
つまり不気味で下劣で道徳的に問題があり、人道的配慮に欠け、女性蔑視的であり、人間不信を煽り、青少年に不健全な影響を与え、いたずらに刺激的なだけの、掃き溜めを集めたポリバケツの上に「ちゃんとした」作品郡が輝いている。もちろん地均しされているので、ポリバケツは普通に人には見えないが(それを掘っているのがぼくらです)。

『スリー・ビルボード』も『デトロイト』も『シェイプ・オブ・ウォーター』も観た上で「でもやっぱり、ブラッドサッキング・フリークスやヒルズ・ハブ・アイズは最高だ!」と言いたい。
つまりええと、『カメラを止めるな!』はホラーではなくコメディだということです。
それと拙作の短編ゾンビ映画の上映会が9月5日にあります。以下のアカウントで告知されるはずです。さりげない宣伝がカッコいいなあ。
https://twitter.com/uktheater


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