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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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遺作がいちばんバカだった



人間には左脳と右脳の他に「ボンクラ脳」というものがある。これは無い人には無いのだけれど、左脳はほとんどないがボンクラ脳が異常に発達している自分のような者もいる。
映画のことばかり書いていますが、それは手にしたときに「これは・・・・ろくでもないぞ・・・」と思わせてくれるパッケージ・ソフトがCDや書籍より映画DVDが一番多いということであり、つまり脊髄反応であり、脊髄の中にも「ボンクラ液」が大量に分泌しているということです。
世界中で「やっちゃいかんと言われてることをやる」ことにシノギを削っているのがボンクラムービーなので、だから面白い。
実際に人が死ぬのはいろいろ大変だが、劇中で人が死ぬのは後腐れがなくてポップだ。無責任だからいいのである。映画が責任を持つべきは、死んでくれた俳優に対するギャランティである。

というわけで最底辺と言われているジャンル映画が「スラッシャー・ムービー」。
「スローモーションを多用した銃撃戦による残酷美学」などといった立派なものではなく、「大事なのは断面図です」というろくでもない作品群。「切株派」とも呼ばれています。
この辺を追求するときりがないので上澄みしか知らないのだが、一番好きなのは元祖であり「血糊のゴッドファーザー」、ハーシェル・ゴードン・ルイス。
殺人や怪物がどんどんリアルに派手になっていく時代に観た第一作『血の祝祭日』はストーリーもだるだるだし、ゴアシーンも「これが見たいんでしょ?あらよっと」と臓物をぶちまけてみせるだけという超・雑さ。(しかしこれは1963年の作品であり、ビートルズがまだ『プリーズ・プリーズ・ミー』だったわけで、まさに鬼っ子だ)
けれどもその「純粋な残酷さ」はまた違ったショックで、花形スターのジェイソンよりこちらのほうが好きだった。
後々彼も映画作りが上達して(とはいえレベルは低い)エンタメ度が増していくので、繰り返しになるが「純粋な残酷さ」では一番だと思う。
で、これに続編があります。ハーシェル・ゴードン・ルイス30年ぶりの復帰作『ブラッド・フィースト 血の祝祭日2』(2002)である。
いや、これはヤバい。普通に見ればクズ中のクズだけど、セルフパロディとして考えれば素晴らしいのではないか。
一作目に登場した、インディーズな邪教にはまって内臓お持ち帰りを繰り返した殺人鬼の孫がレストランを開店するのだが、やっぱり同じ邪教にはまってゴアゴアな惨劇を繰り返すというもの。
残酷シーンは人間ミンチやら顔面皮剥ぎやら頭蓋骨ギコギコやら肝臓つかみ取りやらで、さすがに60年代のホルモン屋状態よりは上達しており、「わしゃずっとこれがやりたかったんじゃー、ひゃっはー!」という楽しげな監督の顔が浮かぶ。ちなみに撮影している時点で75歳だったらしい。
そして本作は完全なコメディなのだが、ブラックコメディという高尚な言い回しをするより、「内臓コント」と言ったほうが的確か。
登場人物がみんなおかしい。キレキレっぽい刑事は死体を見るたびに吐いてるし、逆に相棒のデブ刑事はどんなグロい死体の前でもなにかしらモノを食っている(常におなかをへらしています)。
キレキレ刑事の婚約者のママは超・ざーますババアだし、主人公の殺人鬼は手袋の代わりに鍋つかみをはめて犯行を行う。鍋つかみハンドの手を窓に挟まれて落下し、泣きながら撤退していくシーンで爆笑。
殺される女子はみんな美人でみんな脱ぐ。あ、神父役でジョン・ウォーターズもちょっと出演。彼はルイス映画の大ファンなので、うれしかっただろうなあ。
というわけで観た事もないのに恐縮だが、『ツイン・ピークス』の世界に近いような気がする(翁がそれを意識していたかどうかはわからないけど)。サントラも怪しげなネオ・ロカビリーがどかどか使用されており、実にいかがわしくてカッコよい。
そして本作は是非、吹き替え版で鑑賞して頂きたい!日本の製作側も明らかにコメディとしてとらえているのでやりたい放題。
特にキレキレ刑事は全編、関西弁なんである。「わしがこの事件、解決したるさかい!」みたいな感じであり、凄惨な死体を前にすると「ムチャクチャやないかオエーッ!!」とゲロを吐く。ちょっと勇気を出して書くと、吹き替え映画としては最高傑作!
60~70年代の彼の作品を並べて一席理屈をぶてばそれなりに格好もつくのだが、これに関しては絶対無理なので「わっひゃー!」と楽しんで頂きたい。ラストは吉本新喜劇も裸足で逃げ出すくらいのグッダグダ加減です。
御大は2016年に亡くなったがきっと地獄に落ちて、いやいや、へんてこ映画監督やへんてこ映画ファンからの草の根的なリスペクトを受けているのだからきっと天国か。
だってハーシェルでゴードンでルイスなのだから。カッコいい名前だ。


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