少し前に吉祥寺ホットペーパーから「書店員おすすめのカフェを教えてください」と電話がありまして、しかし聞く相手を間違えたというか、わたくしカフェーなどというところに行ったことがございませんので(カフェでリゾット食うならカレー屋を開拓します)。
そんなわけで記事にはならなかったのですが、カフェなるオシャレ空間で読むのに適したオシャレな本を紹介。
井口昇著・『恋の腹痛 見ちゃイヤ!イヤ!』です。
タイトルもカバーもかわいらしいですが、この人は真性すかとろまにあなので、書いてある内容はすべて「うんこ」(本人の表記による)についてです。
この頃の著者は現役スカトロAV監督で、自分がなぜそのような嗜好になりこの道に進んだのか、ということを理論整然と書いており、カミングアウト本としてはなかなか。
「美しいものが崩壊する姿にこそ興奮する」というのは分かりますが、それが「排泄行為」であるというのが、この人の業。
大量に食ったり浴びたりではなく、あくまで自然排便あるいは浣腸による強制排泄にこだわるという、わびさび。
スカトロ趣味を共有する若き日の「人間仮免中」卯月妙子さんと出会い熱を上げてしまいますが、作品で競演し、無理矢理食べてみせたところ「スカトロプレイは信頼」「愛情がある相手だから美味しいって思えるんですよ」「無理してうんこ食べてもらっても、私、つらいだけです・・・」と告白されて奈落の底に。
世の中にはこんな失恋の仕方もあるんだなあと、ちょっと感心。
その他、抱腹絶倒な「おならビデオ」の話や食糞マニアの驚くべき実態など面白いエピソードが満載なのですが、書いていて「これちゃんと読んでる人いるのか?」「今日はほとんど読み飛ばされてるんじゃないか?」という気がしてきましたので、久々のブックレビューはこの辺で筆を置きます。
しかし著者はAV男優~スカトロ監督~映画監督(「片腕マシンガール」「ヌイグルマーZ」etc)と、道なりをピンポンダッシュするような勢いで夢に近づき、それを叶えています。夢は叶うんです。夢をあきらめないで!
なんだかんだで、あとがきの数行にはちょいとほろっとします。
「もしかしてこの本を読んでしまうかもしれない僕の両親に、謝罪と特大の感謝を捧げます。
すみません、僕はこんな息子です。
でも、僕をつくってくれてありがとうございました。」
星園すみれ子氏による、ゴシックかつガーリーな本文イラストも味。
帯には森下千里さんと木村佳乃さん(なぜだ???)がコメントを寄稿。・・・・・やるね。