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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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「悪魔のようなあいつ」だった男




翔壱書店発行『watch out』vol.10入荷中。
今回マイナーなグラムロックのコンピに関する記事が載っているのだけど(AVファンジンです)、かの「退廃美学」とロックンロールをミックスした文化ってのはパンク以上に日本からは生まれないもんだな、などと思っていたが一人だけ、「沢田研二」という人を思い出した。

『沢田研二A面コレクション』なる3枚組CDがお気に入りなんですが、ジャケがワゴンで売られてるバッタもんのコンピ(ラブ・バラード集にニール・ヤングの「ヘルプレス」なんかが入ってるやつ)みたいだったり、シングルのジャケが全部掲載されてるのに白黒だったりという、痛い側面を差し引いても素晴らしい内容。
酒を飲みながら聴くなら大ブレイク直前の、はんなりした曲たちが良い。
『勝手にしやがれ』以降の活躍ぶりは小学生だった自分もよくテレビで目にしたが、とにかく強烈にカッコよかった。
ヒデキひろみゴローとは確実に「匂い」が違ってた(ゴローちゃんは「カックラキン大放送」のレギュラーだったので、親近感はあったが)。
百恵ちゃん・ピンクレディー・キャンディーズの最盛期も一応知ってるけど、一番好きだったのはジュリーであった。すでにその頃から「野郎好き」の発芽があったと思われます。
動画サイトにも当時の映像がバンバン上がっていて実にありがたいもんで、それらを見ると子供の頃に思った「カッコいいお兄さん」という憧憬にまったくブレがない、というのはすごいことです。

パラシュート背負ったり(後の「タケちゃんマン」の衣装にインスピレーションを与える)、金色のカラコン入れたり、ナイフを振りかざしたり、ナチ的イメージを多用したり、女装したり、ずぶ濡れになって手には血塗れの包帯だったり、ウイスキーを含んで霧のように吹くパフォーマンスの曲はPTAが「行儀が悪いざんす」と怒ったりした。
「お茶の間を挑発する」エンターティナーとしては、目いっぱい好き勝手なことをやっていたのであった。こんな人は後にも先にもない。
音楽的にも腰に来るファンク・ネオロカ・ロッカバラード・パワーポップからニューウェーブ、最高峰はBOW WOW WOWみたいなジャングルビート・『晴れのちBLUE BOY』だろうか。
ギター3本を従えた贅沢なバンドで『ストリッパー』を歌うド派手なジュリーはビジュアル系の元祖?とんでもない、ジュリーは下なんか向いて歌わねーぞ!

これらがすべて「歌謡曲」の範疇で作られていたというのがまたすごいところで、「俺はロックやりますんで」とか言って箸にも棒にもかからんようなことをやってる平凡なタレント(?)連中とはプロ意識がまるで違う。
歌詞も実は男っぽいのが多くて、『カサブランカ・ダンディ』の「聞き分けにない女の頬を/ひとつふたつ張り倒して」なんてフレーズは、「つないだ手を離さない」「同じ歩幅で」「隣りで笑っていて」くらいしか歌うことのないJ-POPのご時世じゃ封印だろ、これ。
セクシャルなイメージも非常に強いな。『おまえにチェックイン』なんて、いたした後のラブホの朝だもんな。
名曲『勝手にしやがれ』は当時小学校高学年だったけど、男女の機微はいざ知らず(いまだにわからん)、歌詞から伝わる哀しげなイメージは完璧に理解してたもんな。「バーボンのボトル」まではわかんなかったけど。
なんにしても、阿久悠という作詞家も大天才である。
特に『サムライ』を歌うジュリーは、デビッド・ボウイに匹敵するグラムロッカーっぷりだったと思う。
まあなんつうか、エロい。爪の先までエロい。
グラム時代のボウイ自身がフェイクで固めたパフォーマーだったので(マーク・ボランは本物)、そういった意味でも彼らは同等である。

デカダンスをお茶の間に持ち込んだ「悪魔のような」ジュリーも(その一方で志村けんとコントやったりしてたんだよ!特に「鏡」は名作である)、現在65才ということで、選挙演説の応援に現れた姿はまるで「ふくろう博士」みたいでちょっとびっくりした。デビッド・ボウイのような「ハンサムなジサマ」にはならなかったけど、あれはあれで男の姿としてはアリである。艶っぽい歌声は相変わらず。ライブも盛況らしい。








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