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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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失恋王者・ゴルツィネ



吉田秋生『BANANA FISH』久々に読了。小学館文庫で番外編含む全12巻。
言わずと知れた名作。もし概要を知りたければググればよろしい。
とにかく伏線がすごい。貼って貼って見事に線が一本に繋がっている。
これは自分だけだと思うのだけど、ストーリーが練り上げられているので、再読するときはキレイに筋を忘れている。なので何回でも新鮮に楽しめるという不思議。まあ多分、単に頭が悪いのである。
カテゴリーとしては少女マンガだが、バイオレンスやガンファイト、ストリート・キッズたちの抗争など、実にハードボイルド。武器のディティールも細かい。きっと正確なのだろう。オレ知らんけど。
ただ女性が描いているので、マンハッタンの不良少年たちのルックスがちょっとダサい。っていうか、かわいすぎる。ツッコミを入れるとしたらそれくらい。
「アッシュ・リンクスと英二のピュアな友情の物語」というのが一般的な評価なのだろうけれど、正確には「アッシュと英二とディノ・ゴルツィネの三角関係の物語」。そして、いろいろな意味でアッシュに惹かれた男たちの物語でもある。
セクシャルな描写こそないが、ぶっちゃけこのムードは元祖BL。男女間の恋愛はほとんど出てこない。でも同性愛のエピソードはわんさか。
ゲイ映画の様相を呈していた松田優作IN『ヨコハマBJブルース』が近いかも。なんて書くと怒られるのか?

友情ということであれば、それぞれの地区に分布する少年グループたちがアッシュをキーとして、人種を超えて団結していく様が素晴らしい。「イフ・ザ・キッズ・アー・ユナイテッド!」である。
(裏テーマはこれなんじゃないかと勝手に思っています)
後半に登場する元KGBの殺し屋・ブランカの突き抜け方がクール。そうそう、このおじさん好きだ。
冷酷な傭兵たちの指揮官であり最大の敵・フォックス大佐の立ち位置もいい感じである。
艱難辛苦を乗り越え続けるアッシュはもちろんだが、その次にしんどい思いをしているのはゴルツィネであろう。
コルシカ・マフィアのボスとして君臨し、少年男娼だったアッシュに目をかけてあらゆる教育を施すが、まるで自分の思い通りにならない。常に噛まれてばかりでボロボロ。ずっと失恋状態が続いているオヤジの胸中はいかほどのものか。
しかしマンガ史に残る堂々としたワルっぷりである。

この作品の12巻目にあたる番外編「ANOTHER STORY」も良い。本編以降の後日談と、ショーターやブランカとの出会いが描かれる。
でも英ちゃんの棒高跳び選手時代のエピソードはかったるくて読んでない。ごめんね。
有名な話だがアッシュのモデルは、故リバー・フェニックスである。


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ザボーガーはミスボーグの夢を見るか?



『電人ザボーガー&ピー・プロ特撮大図鑑』(洋泉社)というムック本があるのですが、これがなかなか楽しめる。
70年代に特撮番組を制作していたピー・プロダクション。ウルトラマンや仮面ライダーのスタイリッシュさを本流とするならば、ピー・プロはなんともいえない野暮ったさが特徴。スパイダースに対するモップスのようなもの(余計わからない)。
スペクトルマンの絶妙に洗練から遠いデザイン。元々のタイトルが『宇宙猿人ゴリ』で、『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』からのー、『スペクトルマン』。初期は悪役の視点の特撮番組という珍しいパターン。
単に巨大化したゴキブリとか、怪獣も生理的に気色悪いものが多いようだ。
「ノーマン」なんてのは「白痴の青年が変貌した天才怪獣。生きた人間の脳を常食として徘徊し、一発で全人類を廃人にするゲラニウム爆弾を自ら製造」とのキャプションだけで、現在放送できる要素が見当たらないのですが。
ピー・プロ作品世代だとは思う。でも、再放送で見たかな~?という感じで、あまり記憶に残ってない。
東映の「快傑ズバット」やら「スパイダーマン」やら「イナズマン」やら「アクマイザー3」なんかは覚えている。とにかくあの頃は特撮番組が多かった。
ピー作品の『怪傑ライオン丸』『鉄人タイガーセブン』に至っては、人間体にライオンやヒョウの顔が乗ってるfだけっていう。
唯一のロボットキャラが『電人ザボーガー』で、これが2011年にリメイクされました。

監督は井口昇。最新作に知り合いが出演していたり、10年ほど前に松尾スズキの深夜番組に友人が出演した際には、かわうそ君の着ぐるみでお宅訪問していたという(ワンクッション置いて)縁がある人である。ていうか、ないんですけどね。
リメイクというとデザインを現代風にアレンジしたり、下手すると世界観まで変えられたりするのだが(原作どおりの設定なのに、なぜか出来はゴミ以下という「デビルマン」なんてのも存在する)、これはもう、そのまんま。
オリジナルのザボーガーはメタボ体系だが、リメイク版はさすがに小顔&スリムになっています。
前半でザボーガーを操る大門豊役のお兄ちゃんは、70年代そのままにTPOわきまえずヘルメット被ってるし、演技が(狙っているのだろうけど)クソ熱い。
∑団の女敵キャラ・ミスボーグは頭にだっさい角が生えているのだが、監督が「あれをなくしちゃダメなんだ」と、そのままのデザインを生かす。
ピンポン玉を二つに割ったものを目に付けているキャラもいて(マジでピンポン玉!)、これもそのままで登場。
車椅子の大幹部・悪之宮博士を演じる江本明はさすがの貫禄。カッコいい。
後半は25年後のストーリー。大門はファッションこそ当時のままだが、すっかり落ちぶれて糖尿を患い、腰の筋も弱くなっちゃってる。演じる板尾創路の枯れ方がいい。
そこへ登場する∑団やなんやかんや。親子で鑑賞する場合、前半で子供たちはアゲアゲになり、後半でお父さんしんみり。個人的にはやはり後半が肝。正義とは何ぞや?というシリアスな問いかけもあり。
あんまり板尾パートはいらんいらん言わないで下さいよ。

まず「やったあ!」と思ったのは、Jポップとタイアップせずに、子門真人が歌うオリジナル主題歌を使ったこと。ここに反応した先輩たちは多いはず。
思うに、巨大ヒーローのテーマソングはマーチ調だが、等身大ヒーローはマカロニウェスタンぽいマイナーな曲が多い。そんな嗜好も含めて自分は等身大ものが好きでした。
エンドロールにはオリジナル版の映像が流れるのだけど、井口版はこれらを全てそのままのテイストでリメイクしたのである。実はザボーガーってほとんど知らないので、「これ全部元ネタがあったのか」とちょっと感動。
特にトラックにブルドッグの顔をくっつけた「ブルガンダー」ってのは凄いです、発想が。
全体的にギャグの切り口ではあるのだが、70年代のテイストをそのままスライドするのであれば、「照れ」という演出は必要なんじゃないかと思うので、「もっと真面目にやれ」という意見はちょっとシリアス過ぎかと思う。
井口昇作品って(二本しか観てないけど)、最初はだらーんとした感じで鑑賞する。
が、エンドロールが流れる頃には「結構いい映画だなあ」。

先に挙げたムック本には当時の出演者・監督・脚本家などのインタビューが多数載っている。
彼らは「子供番組」と卑下することなく、誇らしげに当時を振り返っている。
ガチな大人の仕事だったんである。


某氏の結婚式

正確には某氏のお兄さんの結婚式、なのですが。
もともと優秀な家系で、某氏(仮に「ニックさん」と呼びます)は銀行員。お父さんもお兄さんも東京で最も偏差値の高い私立大学を卒業しているのですが、この一家、ちょっとおかしい。
長男、次男、長女の三人に会話がまったくないそうで、家族が揃うときはそれぞれが両親を媒介にして会話する、というか、両親としか喋らないらしい。昔から、それぞれを「そこに居るもの」として認知しないとのこと。
しかもそのヘンな空気を親も読めないものだから(自分らとは会話するから)、我が家はハッピーファミリーということになっているらしく、猫まで飼ったりします。
ニックさんの実家はセキュリティを導入していて、彼が遅めに帰宅するとそれが働いて、何がどうだろうと中に入れないので、ひとりカラオケで夜を明かすとか。
結局彼は吉祥寺の家を出て、西荻で一人暮らし。
確かニックさんは父親のことを「専務」と呼んでいると聞いた。なんでかっつーと、会社での役職が専務だから。
軽く『家族ゲーム』の一家を超えたような家族。

そんな一家のお兄さんが結婚。出会いは有料にて登録者から相手を探すアレ。よく電車の窓に貼ってあるやつ。データとデータが邂逅したわけですな。
社会通念としてはやはり、式を挙げましょうということになり、新婦が呼んだ人数は37人。
新郎側はお父さん、お母さん、ニックさん。以上。妹さん、欠席。
親戚づきあいゼロ。恐らく友人もゼロ。しかし仕事関係は?などと思ったりしますが、とにかくゼロ。
ニックさん親子はずっと下を向いて食事を口に運んでいたらしい。

この話が示唆するもの?よくわかりませんけど、個人的にはちょっと痛快である。
結婚披露宴というのは人生の大セレモニーであり、出席者一同大感激のメモリーであり、出会えたキセキに感謝であり、ずっと手をつないで歩いていこうと大合唱、お父さんお母さん友人たちへの大感謝祭であるという概念を木っ端微塵にぶっ壊してるから。
新婦側の皆さん、びっくりしただろうなあ。
自分は一度だけ親戚の結婚式に出たが、1㍉も心動かされることもなく帰った。
結婚がダメっていうんじゃなくて、そういう場にいるってのがとことんダメなんだ苦手なんだ。
しかしニックさん一族というのはこんな感じで、代々血を繋いできたのだろう。
ひゃっこい血ではあるけれども、血統を絶やさないという点でちゃんとしている。
自分のところは確実に僕の代で終わりです。あえてナチみたいな言い方をすれば、劣性遺伝子は抹殺するのである。親には申し訳ないと思わなくもないが、まあ無理っしょー、これ。
ザ・スターリンの「生まれてきたのはしかたがないが/救われないのは保障つき/愛されてるとは思わない/さみしく死んだら幸せだ」って歌詞には逆に癒されたもんです。ミチロウさんありがとう。






ら族



連休二日目。先ほどまで暇すぎて船を漕いでいました。
今夜あたりサンロード周辺に行くと、例によって集団でセイガクさんたちが浮かれている。
二十人くらいで盛り上がってる人々もいて、そんな大人数でコミュニケーションが取れるなんてことが不思議でならない。聖徳太子が集まっているのか?
自分はどう数えても二十人も友達がいないので、やはりよく分からない(三人集まればもう黙りがちです)。
夜もディープな時間になってくると、道路でバタ足の練習が始まったり、続々ともんじゃ焼きのチェーン店がオープンする。
しかしながら三年生になるとちゃんと就活を念頭に置くらしいので、二年強の期間限定で羽目を外しているってのも、皮肉じゃなくてたいしたもんだと思う。自分の周りには就学中に就職活動をしたって人間がほとんどいないんである。
誰かがエッセイで「学生時代は友達がたjくさんいた。卒業したらひとりもいなくなった」と書いていた。どうなんでしょう?そんなもんすか?
ちらほら耳にするキーワードが「ウチら」「オレら」である。
「ウチらのノリでは」「オレら的には」。いやーごめんねすみません。それちょっと不愉快。
数で押す、みたいなイメージが苦手なんだろうか。「仲間」って言葉も大嫌いだし、「個人」以外は信用しないことにしている。
すうさい堂周辺にもやたら「ファミリー」「ブラザー」「イェイイェイイェイ」を連発してる人がいてコッパズカシかったもんだが、見事に落っこちていなくなった。血縁関係、切れちゃいました。
そういった意味でヂル会長は強靭。
彼女は誰のことも好きじゃないし、本当に自分のことしか考えてない。

ああ下品



最近痺れているのが「おっぱいパブ」の呼び込み。歩いているといきなり「・・・あります!」と来る。
「あります!いやらしいの!」と続いたりする。そのうち「あります!いやらしいの!二個ずつ!!」と付け加えられそうな気がする。
昔からジャケット姿で風俗の呼び込みをしているおじさんも健在。
独特のイントネーションで「お遊びは、いかかですか?」「ファッション・ヘルスは、いかがですか?」。
あれで客が来るとも思えないから、マスコット・キャラのようなものなだろう。吉祥寺の裏名物ですぜ。
まあしかし、品がいいと思う。愛されタウンの下品度はこの辺がマックス。

根本敬『天然』(水声社)、読了。
マンガ史上最もパンチの効いたドツキ漫才コンビ・村田籐吉と吉田佐吉(しかしセンスのいいネーミング)。
根本流スターシステムの二人が大かつやくの、野球マンガである。自分が唯一好きな野球マンガでもある。
「ブタのウンチ」と呼ばれている籐吉が熱中している「牛乳のフタあつめ」がクラス中に広まるプロローグからして何とも脱力なのだが、彼は野球選手として秘めたる才能を持っていた。
で、村のお大尽の息子であるところの佐吉が、ってああもうめんどくせえ。
とにかく、全てのエピソードが下品。佐吉の父親、ブレーンの医者、クラスメイト、教師、登場する爺さん婆さん、ラストに登場する川上選手との邂逅など、すべてが下品、かつ、まぬけ。それだけで成り立っている作品。
ストイックですらある。「崇高な下品」と呼んでもよろしかろうと思う。すべての受難を受け入れる籐吉はキリストのようでもある。
キャラたちの「ぬくもり」(当然加齢臭つき)さえ伝わってきそうな絵からしてダメな人はダメでしょうが、このまぬけエピソードが驚くほど緻密に構成されており、何だかよくわからない感動(!)のラストに繋がっていく。
この構成の妙は、根本版SFであるところの『ミクロの精子圏』『タケオの世界』にも顕著。
(ところで自分はSFがダメである。大友克弘『AKIRA』の2巻まで読んで挫折してしまった。この、名作と呼ばれる作品にすらついていけないのですよ。つうか、あんまり謎が謎を呼ぶなっつーの!)

しかし、野球が好きな人ってちょっとうらやましい。
勝敗で一喜一憂し、ひいきのチームには一生ついていくほどの一体感、そして不特定の人と話せる話題(これは社会人として大事)。
スポーツ全然わからないというのはこの歳になって、人性損してる(嫌いな言葉だが)と思う。

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