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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

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GGアリンという死にかた



『真っ白なものは汚したくなる』とは欅坂46のファーストアルバムにして歴史的名盤なのだが(結局タイプBも買ってしまった)、いまやレア・アイテムであるGGアリンのドキュメンタリー『全身ハードコア』(2008)を観ていたら、なぜかこの言葉を思い出してしまった。
GGアリンとはパンクロッカーで、手がつけられない過激なライブが有名で、36才でドラッグで死んだひと。
手がつけられないとはそのまま「触れたくない」ということであって、全裸で血まみれは当たり前、ステージで脱糞しそれを体に塗りたくって客席に突っ込んで行く、という狂気の沙汰を繰り広げていた。
しかも中にはその状態のGGをどつきにかかるツワモノもいて、やっぱりアメリカはすごいなあと思う。
流血にしても剃刀で切り裂くとかじゃなくて、あの硬いマイクロフォンで自分の頭をぶん殴る。
彼の中では流血がないとライブとして完成しないようで、時々イライラしながらマイクで自分を殴っている。これを毎回繰り返しているのだから、後遺症がないわけがないと思う(でも、それが出る前に死んだから、まあよかったんではないか)。
血と糞が混ざるのであるからやはり「敗血症になる・・・」なんてことも考えてしまうけど、実際そういうことで何回も入院しているらしい。
日本でも「財団呆人じゃがたら」の江戸あけみや「ザ・スターリン」の遠藤みちろう(当時の表記による)なんかも近いパフォーマンスをやっていたが、段々それを求める客に嫌気が指して、音楽のみで勝負するようになる。でもGGアリン、根本が違う。映画でこんなことを言っている。
「俺はパフォーマンスって言葉が大嫌いだ。全部リアルだ。俺の生き様なんだ」

キラキラネームという言葉があるけど、GGの本名は「ジーザス・クライスト・アリン」という究極のキラキラで、かなりの変人だったらしい父親が名付けた(後に母親がまともな名前に改名)。
その父親の影響をもろに受けた少年アリンはどんどん屈折してあらゆるものを憎み、スキンヘッドにメタボ体型のパンクロッカーとして完成されていく。酒とドラッグの放蕩生活でたるたるになった裸を汚物まみれにして歌うのは、残念ながらイギー・ポップのようなグッド・ルッキンさがGGにはなかったから。
ついで彼の股間についてる一物はかなり極小。普通なら女性に超バカにされそうなものなんだけど、ライブでワイルドに振る舞うことによってグルーピーまで出来てしまうという、逆転の発想。
「ライブをやっていなければ大量殺人者になっていた」と明言し、世の中のあらゆるものを分け隔てなく憎む歌「どうせ死ぬときゃみんな死ぬ(バイト・ユア・スカム)」がスタンダード。
ファン代表の友達いなさそうなオタ青年はこう言う。
「GGアリンのライブはオバケ屋敷みたいで最高に笑える。GGが暴れ始めたら俺は背後に立つんだ」
演者と観客の垣根をぶっ壊すライブは、寺山修司が見たら感動するんじゃないか、という気もする。

GGがテレビ番組に登場した映像も収録されていてこれがなかなか傑作。
司会が「なぜあなたはステージで排泄行為をするのか?」との質問には「俺の体はロックンロールの神殿だ。信者には体液や血液を与えるべきだ」と答える。自分こそがロックンロールだ、という信念には揺るぎがないのである。
一方で(GGに嫌気が指して)バンドを辞めた若いギタリストはこう言う。
「アリンは宗教でも始めればよかったのに、あいつはライブをやるだけだ。ステージで自分のクソを食ってる」
この兄ちゃんは「顔を殴るくらい俺でも出来る」と、自分で自分を殴り始めるんだけど、ついカメラの前で「血、出てる?」と言ってしまう普通の人。ここは映画のオチに使われた。はっはっはっ。
ドラマーも全裸でステージに登場する。「服着てると擦れてヒリヒリするんだよ」。こいつも相当イカれてる。
ベースは実の兄、マール・アリン。この人も筆みたいな鼻ヒゲでスキンヘッドにタトゥーだらけという特異なルックスだが、メンバーではまともな部類。「弟のタトゥーは酔っぱらいに適当に彫らせたやつだが(ほぼトイレの落書きレベル)、俺は金を払ってる」と言うくらいまともだ。
GGは「ステージで死んでやる」と、公開自殺宣言も有名なのだが(実現ならず)この兄貴は「あいつがそうしたいんなら仕方がない」と、弟の自殺願望すらも肯定する。
ちらほらとGGをリスペクトする発言も多いし、きっと本気で弟のことを世界最高のロッカーだと思ってる。
(特典インタビューでは、彼への愛情を思い切りぶちまけている)
この薄汚いドキュメンタリーから浮かんでくるものは、実は兄弟愛だったりする。
バンドの名前は「マーダー・ジャンキーズ」。バッカみたい。

最後は葬儀。GGの死体が映る。発見されたときのままの、泥まみれの姿で。
恐らく兄貴マールの「汚れて生きてきたんだから、最後も同じように見送ってやろうじゃないか。こいつはGGアリンなんだぜ?」という粋な計らいだと思われる。
「普通のロックスターみたいにドラッグで死んだ」とアナウンスされるけど、この茶化しは監督から主演へ、ねぎらいの言葉なのだろう。
GGアリンが素でインタビューを受けるときは必ずサングラス着用で、フードまで被っていたりするし、弾き語りでカントリーも歌う(これがいいんだ)。確実にシャイな面も持っていた人だと思う。
「俺は完全に自由なんだ」「ロックンロールに制限なんかない」と繰り返し発言し、それを極端な形で最後まで貫いたわけで、殿堂入りはとりあえず置いておいて、これはこれでアリなんだろう。
そういう風にしか生きられなかったから不幸だったのか、そうやって生きられたから幸福だったのか。
どっちでもいいけれど、確実に自分のコンパスはあったということだ。
本作は50分。原題は『HATED』。ファストに生きた人にはこれぐらいの長さがちょうどいい。
初見は渋谷のシアターNで、ザ・クランプスの精神病院ライブとの二本立て上映『TRASH ROCKIN PICTURE SHOW』(よくやったな、これ)であったが、シアターNもクランプスも、もうないのだった。
ところで欅ちゃんの『エキセントリック』の歌詞がGGのことを指してるみたいで、非常に困るのであった。

「理解されないほうがよっぽど楽だと思ったんだ」「他人(ひと)の目気にしない 愛なんて縁を切る」
「はみ出してしまおう 自由なんてそんなもの」


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