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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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キラキラと輝くもの/ヌイグルマーZ



ちょう話題の映画『ヌイグルマーZ』を観てきたのですけれども、日曜の午前中に封切二日目の作品をお目当てにシネコンにいる自分、という状況が非常にレア。
知り合いの女性が出ています(といっても数回しか会ったことないが)。
どんなもんかと思っていたが、かなり、出てた。ちょっと驚いた。クレジットでも最初のほうに名前があった。パンフレットにも載ってた。
おっぱいから光線を出して街を破壊していました。羞恥心が原動力になっているようです。
「はずかし~」「はずかし~」
しょこたんの役柄への入れ込みを含め、非常にきらきらした作品です。普段ドロドロしたものばっかり見てっから、なんか刺さりました。胸がいっぱいになりました。幸福感に満ちた、いい映画です。
正義のロリータvs悪のロリータ。ピンクレザーのぬいぐるみ戦士。阿波踊りするゾンビ軍団。全編高円寺ロケ。人類を憎み滅ぼそうとする、猫ひろし。恐怖の乳ビーム。
恐るべき、井口昇監督のカオスでそーとーガーリーな、頭ん中。
しょこたんのオタクとしての人生をブレなく進むまっすぐさもすごいもんです。
カンフー映画へのリスペクトであろう、ヌンチャクを振り回してゾンビと戦うシーンもありました。当たってもあんまり痛くなさそうな、ふわっふわのやつ。
そして爆音が鳴り止まない度において、かの『爆裂都市』と双璧をなす。
なぜヌイグルマー「Z」なのかは映画を観てのお楽しみです。
パンフに掲載されているイラストレーター・三留まゆみさん(この方も大ベテラン)の文章が素晴らしすぎるので、買った人は必読。


んで、横柄な告知。
いつもは水と木を休んでるんだけどもよ、今週は木と金を休むんで、その代わり水曜がんばって開けっからよ、おれっちも多少社会人としての側面の事情もあるわけよ?な?
んで、31日はおなじみ吉祥寺フォースフロアhttp://fourthfloor.sub.jp/にて、なんだ?ロックのDJっての?それをやるらしいんですけど、どうせゆるいイベントなので来なくていいです。


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俺の右手は殺人専用



手塚治虫『シュマリ』読了。といっても入荷するたびに読んでるので、手塚作品としてもかなり好きな逸品。
北海道を舞台にアイヌ名「シュマリ」を名乗る和人の物語。普段彼は右手を包帯で巻いて使えないようにしている。その手を使うのは、人を殺すときだから。
男と逃げた妻を追っているが、その男と間違えて別人を斬ってしまった為手配されているおたずね者。
ふとしたことで砂金を手にし、それを元手に土地を買おうとするが、そこで出会ったのがエゾの土地持ち、太財一族。後に外道鉱と呼ばれる太財炭鉱を経営する。
キーマンは次男の太財弥七。
最初はカラカラの土地をシュマリに売りつけるが、そこをなんとか生き返らそうとするシュマリの豪放さに惹かれて、一緒に組もうとする。
炭鉱が傾いて来たので妹のお峰をシュマリの元にあずけ、金の工面を頼んだりしたが、そのうちお峰がシュマリの男っぷりに惚れちゃう。
なんだかんだあってシュマリが太財炭鉱に堕ち、そこで新撰組の土方歳三と出会ったり。盛りだくさん。
弥七は基本的には冷酷な経営者なのだが、シュマリの息子の面倒を見たり、最終的にはたきつけられた炭鉱の反乱分子に対し、シュマリと共闘する。キカイダーとハカイダーみたいである。

手塚氏は悪役を魅力的に描くのがうまいと思う。
結局自分にとっての手塚作品というのはそこであって、そこにしか興味がないです。
ドクター・キリコとか。百鬼丸や写楽呆介も純粋なヒーローとは言い難い。
様々な作品で顔を出す間久部緑郎(まくべろくろう/ロック・ホーム)
獣に変身する一族と組んで社会を混乱させる『バンパイヤ』が一番いい仕事をしている。
『ぼくは悪魔の申し子だい』『ネクタイしめて メガネかけて  ハウアーユーぐらいゆうよ それが現代の悪魔なのさ』『足音高く 破滅の山へ行進だ!!』(劇中オリジナルソング)
乱歩的な色合いの強い半透明の怪人「アラバスター」にも悲しみが滲んでる。
バイプレイヤーとして有名な「アセチレン・ランプ」とか。70年代東映の作品でもこういう人がいますね。
無意識の悪魔・『人間昆虫記』の十村十枝子。ヒッピー娘の「ばるぼら」や女吸血鬼の「I・L」なんてのも。
しかし一番空恐ろしいのは「奇子(あやこ)」か。
あらゆる悪を詰め込んだ『MW』に登場する美貌の犯罪者・結城美知夫。残念な映画化をされたもよう。
モグリのタクシードライバー「ミッドナイト」とか、フェイク俳優であり大泥棒の「七色いんこ」とか、アンチヒーローが多彩だ。まだまだいそうな気がする。
かように漫画の神様は、悪もたくさん作りたもうた。

年末年始のおもひで



さて、新年なので備忘録でもしたためるのである。なあんちゃって。くわつはつはつ。
27日はフレッシュな教員さん(男女)を交えて忘年会。
男先生が出来上がって「実は僕、つい最近包茎手術をしました!真性包茎だったのれす!!」とカミングアウトしてから座が異常に盛り上がり、かつては青年協力隊としてジンバブエで体育教師をしていた経歴を持つお父さんが、「自分はむかし、包茎手術専門の助手のバイトをしていた!」と参戦!さらにヒートアップ!会話に異常に頻出する「皮」「皮」「包茎」!うるさい!声がデカい!
もはやバカしかいない。もうあの店に出禁なんじゃないか我々。詳細は下品すぎてここには書けないので、え^^^^-と~,次回の「watch out」をお楽しみに。

28日はヂルおかんの飼い主である夫妻が住む野方へ。おでん鍋。先日の「バカしかいない会」に比べたら、まるで夜会である。ヂルおかんも抱くと足を突っ張る。遺伝である。
『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』海外版(でしか発売できない)DVDを借りる。

29日は男同士でなんとなく飲み。先のジンバブエ氏に「奇形人間」を又貸ししたら喜んで帰った。

30日はバウスシアターにてジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』鑑賞。
冒頭に流れるワンダ・ジャクソンの怪しいロカビリー・『ファンネル・オブ・ラブ』(回転数も怪しいバージョン)で心掴まれる。
吸血鬼のカップルが「汚れた血は飲まないんだもんね」と、病院から新鮮な血液を買ったり、「血のガリガリ君」食ったり。バンパイヤの日常をシャレオツに捉える。
こういうのどっかで見たことある、と思ったら『毎日ぞんび』であった。
ただちょっと金がかかっていて、ちょっとだけ美男美女が出ている、っつーだけの違い。

31日は、何かいい塩梅の大晦日の過ごし方はないかと吉祥寺をふらふらして、結局TSUTAYAへ。
『死霊のはらわた』を20年ぶりに観る。
これ、死霊が人間を惨殺するのではなく、人間が死霊(に憑依されたガールフレンド)をバラすという、案外良心的な内容なのであった。でもないか?
グチョグチョのスプラッタ観終わった直後に年明け。

元旦は最悪であった。しかし、ならば、最悪が最初に来たので、残りの364日はニコニコで過ごせるであろうと思い込む僕。

2日/3日は実家。妹の「さっしーは全然かわいくないのにあのポジションはすごい」とのお言葉を頂く。

4日は「どうげんぼうず(ラーメン屋)に行きましょう」と金子まさかりさん(a・k・a日本ミュージック)とのお誘いがあり、早めに本年一発目の店閉めて7時ごろ笹塚に着いたら、スープがなくなっていて完売。
店主チカヒロに謝られるが、あ、ちょっと得意気だなこんにゃろめ。まあ、新年からお目出度いことである。次は全部乗せ食う。
しかしまさかりさんとは知り合って10年近くになるのに、いまだにまともな会話が成立しない。
どっちかが(大体向こうだが)泥酔しないと話ができない。当然ながら電車移動中、会話なし。
吉祥寺に着いて有名ラーメン店で食事。
「BGMがなんだかパンクだねえ」「厨房の兄さんがなんだかパンクだねえ」と、ここで多少まともな会話が発生。
その厨房のお兄さんがなんとうちのリピーターであった。
行ってあげてね、武蔵屋。

5日はいま現在なのだが、ラピュタ阿佐ヶ谷のおねーさんが次回の特集上映のポスターとフライヤーと招待券持ってご来店。
いそいそと張り替え。こういうことだけは即やる。
今年も何とか開けてます。

2013年をそうかつ(てきとー)



なぜかまわりの盛り上がりに乗って『スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲』を観に行ってしまって、果たしてそんなにスケバン好きだったっけ?と思わなくもないが上映前に四文屋で呑んで出来上がるわたくし@阿佐ヶ谷。
浅香唯さんは「今の顔」である(特に顎のライン)。大変かわいらしい。アイドルマニアのエイチ氏は「大西結花!」と盛り上がってました。
で、このシリーズ2作で80年代のアイドルをたくさん見たのだけど、結構みなさん、すっぴんに近い。
当時は今のようにセットでなく(ひどくなると「バーター」。あ、ごめん)、ピンで売られていたので、おのずと磨きがかけられていたのでしょう。
平成アイドルも大変かわいいっすけどね。振り付けもかわいい。あんなにかわいい振り付けを考えられるのは日本人しかいないと思う。
ところで浅香さんは「ワチ」「~しちくり」といった九州っぽい方言で喋っていたが、「谷岡ヤスジじゃん・・・ひひひ」と一人でおかしくなっていたわたくし。
そして京本正樹。「悪のなんちゃら」みたいな役をやると生き生きしてますね。ナンバーワンでありオンリーワンでもある(なんかそれ系の)。
ラスト、京本兄貴が乗ったセスナ機にヨーヨーひとつで立ち向かう三代目・麻宮サキ!
大西さんの武器は「なんか鉄っぽくてブーメランみたいな折鶴」、中村由真さんの武器はリリアン(で相手を刺す!「必殺」か~)!が、あんまり見せ場なし。
あと、別に誰も「スケバン」じゃないような気がするんだよね。

当時の「おまんら、許さんぜよ!」あたりなら流行語と認めてもよいのだが、今年の「倍返し」とか「じぇじぇじぇ」とか、ましてや「おもてなし」なんて使ってる人を見たことがないんですがどんなもんでしょうか。
みうらじゅん氏が数年前から「海女が来る!」と言ってたけど今年ほんとに来たもんな。
もっとも彼が推してたのはご当地のゆるいフィギュアだったり、昔の海女さんポルノだったりしたわけだが。
「ゆるキャラ」という言葉も考案したのはみうらじゅんである。
みんな普通に使ってるけど「マイブーム」もそうであった。
漂っている概念に固定詞をつけるのが天才的なんだと思う。
これからは「いやげもの」が来ますよ、きっと。

個人的に今年のトピックは「映画制作(『毎日ぞんび』)」に乗り出したことでしょうか。かかかかか。
ちゃんと劇場で上映したんだもんね。渋谷!アップリンク!!ファクトリー!!!
そして来年は続編を作るのである。乞うご期待である。スケールアップします。ちょっとだけ長くなります。
もうひとつは『watch out』でコラムの連載を頂いたこと。<吉祥寺さん、いい加減 あなたの顔を忘れたい>。
次回で10回目になります。来年もよろしくお願いします。実は毎回、「吉祥寺」あるいは「当店」のキーワードを入れて書いています。
あとダリッタオブなんとかとかいうのもあった気がするな。
なにかしてたような気がするが覚えてないな。忘れた。
年内の営業はあと28と29でおしまいです。28日はちょっと早めに閉めてしまいます。
ゆるキャラだから。俺が。
駆け込みで映画を2本観て今年も終わりにするのである。正月も結構忙しいんだよ俺。バイトで。
今年は数年ぶりで再会っていうパターンが多かった気がするな。
いつのまにか笹塚ラーメン屋「どうげんぼうず」の店主になってた、ロシアの殺人鬼みたいな名前の奴とか。
来年は11年目である。更新は再来年か。さあいよいよいつまで持つかわかんないから来たほうがいいよ。
先日は10年ぶりに来たというお客さんに、内容がまったく変わってないしマスターもまったく変わってないと言われた。人間ですか?とも言われた。
「先のことを一切考えない」という荒業のみで生き残ってる気がする。
っていうか、今でしょ?

年の瀬に亜無亜危異



クリスマスムードもたけなわでありましてようござんすな、というわけで全く関係のないことを書く。
以前から欲しかったCDを購入したんである。『アナーキー・ライブ1994』。廃盤だがプレミアはついてなかった。
アナーキー94年の再結成ライブ。動画サイトで見たときからカッコいいと思って、欲しかったのさ。
バンドの再結成モノとしては世界一じゃないかってぇくらいイカしてる。そして和製パンクの名盤として、ザ・スターリン『STOP JAP NAKED』、フリクション『軋轢(リマスター版)』と並んで殿堂入りである。
ファーストのガリガリに痩せた音も最高だが、非常にぶっとい、実力派ロックバンドによる演奏。
しかも歌詞はガキの時分に作ったものを歌う。そこがいい。
そもそも彼らの詞は当時としてはかなり過激であったので、ブザーで消されたり、現在流通しているCDでは丸ごとカットされたりしている。
代表的なのがクラッシュのカヴァー『東京イズバーニング』で、これはやんごとなきお方を批判した曲。
といっても暴走族/ヤンキーの不良感覚で捉えているので「ただめし食ってのうのうと/ぼっちゃま育ちのモヤシ野郎/何が日本の象徴だ/何にもしねえでふざけんな」といったお粗末な内容。
(実際、ジジイになっても晒されて、メチャクチャこき使われてるんじゃないの?とか思うけどね・・・)
アレ気にいらねーよな?という皮膚感覚の前では団地のオバサンも天皇陛下も一緒である。
幻の『タレント・ロボット』は、要するに芸能界はバカばっか、と毒づいている(内田裕也主演のポルノのオープニングでしっかり使われている)。
この封印された曲に落とし前をつけるために行われた再結成、ということらしい。
あれは若気の至りでしたわ~てへへへ、としないところがいい。

アナーキー最大の魅力ってのは、不良ボキャブラリーによる攻撃性で突っ走る「言いっぱなしの無責任さ」なのであって、そこが妙にウェットでちゃんとしてて、どことなく演歌チックなモッズやARB との違い。彼らの曲は昔から苦手だ。
ゆえに、(基本的に甘えの構造を内包している)不良諸君たちから絶大な支持を得たのであった。
『ジョニーBグッド』のカヴァーなんか「酒は12で覚えて/マ×コは14で覚えた/マワシにグラスにアンパン/悪いことは何でも/いつでも奴らにパクられ/だからオマワリ大嫌い」ですからね。こんなの通るか!当然レコードではカット。
ちょっとでも頭を使ってしまうと書けない歌詞である。ただ、この決定的な「インテリジェンスの欠落」も、やはり彼らの魅力。
山下達郎がアナーキーの大ファンだったというのは、とても納得できる話。

中盤以降は「脱パンク期」のナンバーがメイン。アルバムではちぐはぐさを拭い切れない印象だったが、このライブにおいてはドンピシャである。
それにしても仲野茂のボーカル。この人の声は初期から乾いていてなおかつ攻撃的=ROCKである。
この日の彼はお馴染み・国鉄の労働服に「亜無亜危異」の腕章(一周してシャレオツに見える)。
とてもいい顔をしている。
いいボーカリストだと思う。彼が歌うと『旗をかかげて』や『ちきしょう』などのブルースなナンバーも、全く黒くならない。
『心の銃』なんてかなりベタな歌詞なのに、まっすぐ響いてしまうんだよな。
そしてバンドの歴史を総括するようなスローナンバー・『今昔物語』で再結成ライブは終了。
『ノット・サティスファイド』の盛り上がりで終わらせないところが渋い。正しく大人な不良バンドの最高のステージ。




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