先日、30~50代の男の子4人で映画版『スケバン刑事(87)』(@ラピュタ阿佐ヶ谷)を鑑賞して参りました。
観る前に四文屋で飲んじゃって、観たあとすうさい堂で飲むという、異常な盛り上がりを見せましてですね。
特に白目の多い構成員が「いや~よかったなあ」と今まで見たことがないくらいのご機嫌さん。要は南野陽子さんが大好きなんですね。
女子高生の特命刑事・麻宮サキが、不良少年少女を集め軍事訓練を施し、兵士として鍛えさせ日本にクーデターを起こさんとする組織を壊滅させるため潜入!
「悪の司令官」を演じさせれば当時随一であったであろう伊武雅刀に、重金属ヨーヨーで立ち向かう!!
何から何まで素晴らしく絵空事だが、CGじゃないから爆発シーンはガチである。ナンノのすぐ近くで火が上がるので、本気で逃げてる。
「ビー玉のお京」・相楽ハル子も久々に見たな。かわいいな。吉沢秋絵は顔ぱんぱんだな。
まあ東映作品なので、3人が共闘するシークエンスなど、お正月映画の「仮面ライダー全員集合」的なテイストである。
ナンノの私服シーン。やや大き目のピンクのカーディガン/ロングスカート/後ろで結えた白いリボン。
最強の80年代ファッション。
相手を「おまん」と呼び、「~じゃき」で締める。もう、ふわっふわである。
現実感が希薄である。そこがあえて舞台裏も見せてしまう平成のアイドルとの大いなる相違。
で、思ったのだが、ジャニーズなどの男性アイドルの顔が、一様にナンノっぽくなってるなあ、と。
ところで私はアイドルにお金を落としたことがないのだが、動画サイトでは非常にアイドルをよく見る。
AKBの「ハート・エレキ」なんかここんとこ毎日みてる。GS風味がグッと来ます。こじはる。
「恋するフォーチューン・クッキー」のソウルディスコ感も良い。今非常にいいよAKB !
(~風と打ち出してきた時点で、若干煮詰まっているのが透けてしまうのではありますが)
ももクロは確信犯でしょ。マーティ・フリードマンもカバーしてるし。
BiSなんてなにひとつアイドルっぽくないのに、あえてその枠組みで活動してる気がする。
もはやアイドルじゃないが、perfumeのパフォーマンスはいつ見てもすごいと思う。
10年後にあそこまでキレのある動きができるかどうかってのは疑問なので、彼女たちはまったくもって刹那を生きてるよ。
一人一人は特別美人じゃない、とかってのはもはやく論外だな~。換えがきかんのだ、あの3人は。
アイドルに関していまだに口パク云々とか言ってる輩の感性が嘆かわしい。ニコニコ笑顔とダンスは本物じゃないか!
それよりダメだなあと思うのは、ライブではスクリーンで遮って、自分たちの姿を見せずに演奏するとかいうバンドである。なんかもう理屈ぬきに嫌いだ。
昔ピンク・フロイドが客との間に巨大な壁を作って演奏したことがあったが、そういうことはそれくらいビッグになって、「病んでから」やって頂きたいと思います。
松田洋子『相羽奈美の犬』(太田出版)。犬まんがの傑作。
と書くと、なんとも語弊が。主人公は確かに犬ではあるのだけど。
その犬は元々、ニートの青年で、憧れの女子高生「相羽奈美(あいわなみ)」のストーカーだったのでした。
で、ストーカーしているうちに彼女についている「わるいストーカー」を見つけ、「ストーカーの風上に置けん!」と追跡した途端、交通事故にあって死にかけのところを突如現れた犬神の力により、一匹の犬として再生させられる。
人間の時にストーカーだった彼は、晴れて犬として憧れの女性のペットに。
オンオン鳴くから名前は「オン」。犬神の名は「ネン」となる。
オンには特殊能力があり、狙った人間に噛みつくと、そいつを犬に変えることができる。
人間の意識は抹消された、しかもそいつの身の丈に合った、単なる犬に。
この辺が松田洋子ブラック劇場の独断場であり、うわーこりゃろくなもんじゃねぇなという描写が絶妙。
相羽さんは薄幸の少女なので、ろくでもない人間ばっかり集まってくる。父親との関係もこじれまくっている。
彼女を監禁しようとするおばあちゃん子の教育実習生、殺人を犯しながら現実から逃げ続けるホームレス、高校時代の栄華が忘れない現在大学では「ぼっち」のイケメン部活O B、子供にタバコの火を押し付け傷を作り「おたくの犬に噛まれたから金出せ」と言いがかりをつける父母、どうにも底辺な人生のメイド、など。
オンは基本的には奈美を危機から救うために、彼らを次々と犬にしていく。
が、人間としては生き辛すぎる彼らは犬にされてようやく、救済されている部分もある(それにしてもかなりブラックなのだが)。
ラストはハッピーエンfドのようで不条理ブラックのような、ほろ苦い結末が待っている。
この人は今までは『薫の秘話』『赤い文化住宅の初子』『まほおつかいミミッチ』など、ストーリーよりセリフのキレが最大の武器だったと思うのだけど、ここまで完璧な物語を作られるともう敵なし。
コンプレックスやダークサイドを笑いに包む達人。90パーセントがダークサイドとコンプレックスで出来ている人間からすれば、非常にほっこりさせられる作風である。
そしてやっぱり絵がうまい。犬を「犬として」表情豊かに描けるってのは結構すごい。
オンとネンの「かけあい漫才」も面白いです。
いまだにこれをどう整理したらいいのか、ゎかりません。松本人志監督『R-100』。
ひどい、客席ガラガラ、シャレにならない大赤字、などと散々な言われようだが、100円落ちレンタルじゃなくて、実際に劇場で鑑賞すると、ガッカリ感もまたひとしお。
予想を超えたヒドさじゃなくて、「やっぱりこの程度か・・・」で収まるくらいの痛さ。
結局松本作品4作を全部観てしまったのだが、思うにこの人は「スクリーンは笑いを殺す」という原理がわかっていないらしい。
劇場で大笑いしたことあります?多分ほとんどないでしょ?
コメディとしてヒットする邦画は、三谷幸喜が作るカッチリしたやつか、寅さんや釣りバカみたいな、ペーソスが基盤になっているものばかり。
しかも松っちゃんの笑いの質はそれらとは全然違うから、完全に水と油。
規制だらけのテレビの中でこそダウンタウンはキレまくっていたんであって、自由すぎる映画じゃ尺に会わないんだよ、ダブダブなんだよウということを、ブレーンの高須君たちもわかっておらんのだ。
で、それを身の丈に会わないレベルで劇場公開しちゃったもんだから、税金対策もぶっちぎりの大赤字らしい。
『大日本人』のハズしにハズした感、『しんぼる』はビジュアルバムあたりだったよかったかも知れないが、あれをスクリーンに垂れ流すってのがほんと厚顔無恥。メキシコレスラーのエピソードなんていらないと思うよ?
『さや侍』は、「またホントーに嫌なものを作ったなあ」という感想しか出ない。
松本人志はどんな過激なギャグをやっていてもちょっと「はにかんでいる」ような風情があって、それこそが彼のセンスの根底にあるものだったのに、そいつを生かすことができない映画って表現の中では、どうしたってギクシャクせざるを得ない。
本当に見るべきところがないですよ、劇場公開ももう終わったようだけど。
話のスケールが大きくなるにつれ観客はどんどんいたたまれなくなっていく。
もういいから、やめて松っちゃん!と言いたくなった。
だからカルトにもならない。エド・ウッドの作品なんかは予算も才能もまったくないのだけど、映画に対する愛情だけはあって、それが一部の偏食家の琴線に触れたりする。
松本作品は映画に対する愛がない。だけど膨大な予算を湯水のように使える。このイラッとする感じ!
説得力を失った『シネマ坊主』はすっかり紙くず。
メタフィクション構造がどうのこうのって話も別にどうでもいいや。それ以前の問題なんだもの。
富永愛さんはモデルだけあって抜群に女王様ルックが似合う。サトエリの可愛さも健在。寺島しのぶさんが巨乳。
そんだけ。
鑑賞後、情けなさのあまりちょっと涙ぐんじゃったって体験は初めてだ。
ハッキリ申し上げますと、『毎日ぞんび』のほうが面白いと思います。
松本人志は同じ芸人でありながら映画でも大成功している北野武を意識している。
最近『アウトレイジ・ビヨンド』なんかも観ちゃったもんで、この二人を同列に語ることはとてもできない。
才能もさることながら、くぐって来た修羅場の数が明らかに違うんだもの。
『R-100』豪華出演陣の中で、松本人志の演技はやはり一際コントであった。
ビートたけしも決して演技はうまくないんだけど、彼が登場した時のハッとするような空気は、その人間が培ってきたものだから、もうどうしょうもないじゃないの。
「映画を壊したい」なんて発言は、普通の作品を作ってからだなああああ(それにしたって『みんな~やってるか?』はかなり痛いんだけど)。
あれだけ笑わせてもらったカリスマとのお別れはちょっと寂しいが、まあ僕らにはユーチューブがあるからね~。
昨日は店をさぼって、青梅線・日向和田にて男3人で「しょんみり」と野外バーベキューをしていました。
ほどほどで帰ろうと思ったら大して飲んでないのに妙に悪酔いし、現場で死にました。すみません、自然に負けました。
自然の中で食う肉は・・・・それほど旨くない。眼前に広がる紅葉と、やってることのギャップが大きすぎるんである。
焼肉屋のほうがゲハゲハと食える。つーかすまん、食べさせてもらってるのに。
同じ東京都下なのにさすがに川の水なんぞきれいで、しかし、飲み屋がないな。中古CD屋もマイナーな映画館もないな。こういうところには住めないかもな。写真撮ったけどなぜか残ってなかったりして。
自然とは相性がアレなのかもな。
帰宅したら9時で爆睡。一度ゲロ吐きに起きる。
ここのところ毎週劇場に足を運んでいて、『ジャンゴ(爆音)』、『ルー・リード/ベルリン(爆音)』@バウスシアター、小林旭の『女の市場』@ラピュタ阿佐ヶ谷。
「ベルリン」はラフな格好で辛辣な歌詞を朗らかに歌う老境のルー・リードが「人のいい悪魔」という風情。
「女の市場」はアキラがホステスの「引き抜き屋」なのだが、アキラなので、唐突にキャバレーで「峠の我が家」を歌うシーンがあり、そこがやっぱりアキラ。
そして新宿酉の市へ行く前に観た『R100』。
いよいよ松本人志も終焉。貶すのは簡単なんだが、何故この人はこんなになってしまったのか?ということはちゃんと考察したい。性格が悪い。
ルー・リードさんがお亡くなりになった。享年71歳。
さて、自分は晩年近くまで彼の活動を追いかけていたわけではないので、「追悼」「合掌」「ショック!」とか言う権利もないんじゃないかと。というわけでひとこと「ルーさん、おつかれさまでした」。
最初はやはりヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストで、「パンクの元祖」みたいな情報から手に取るわけである。
針を落とせば「さ~んでい、も~に~ん」と、牧歌的な曲が流れて「あれ?」となり、えらいこと単調にギターやピアノが鳴ってる『僕は待ち人』で「んんんん?」となり(今聴くとめちゃめちゃパンクですけどもね)、かったるそうなおねえちゃんのボーカルが始まって「カネ、損した・・・」くらいに思っていたら次の『毛皮のビーナス』のイントロで、ガツンと来た。退廃の極みみたいな一曲。そんな感じのルー・リード初体験。
一番好きなのはやはり「バナナ」なのだけど(なんだかんだで馴染んでいく)、ヴェルヴェッツのアルバムはどれも良いと思う。
ロック+文学性だとプログレ方面に行き勝ちだが、ヴェルヴェッツってのは演奏自体はあんまり巧くないところが却ってクールなんだよな。
木魚みたいなモーリン・タッカーがドラムだったのは必然だったんである。
定番だけど極めつけは『スウィート・ジェーン』と『ロックン・ロール』。
ソロになると『トランスフォーマー』が飛び抜けてポップで、ジャケのカッコよさも含め皆からの「愛され名盤」。
『ベルリン』は評価高いが、隙間に埋まってる風情の『死の舞踏』『警鐘』『レジェンダリー・ハーツ』なんかも聴かれるべきだと思う。
名盤とされる『ニューヨーク』はあんまりピンと来なかった。
「学習する」とか「挑戦する」ってニュアンスだったな、ルー・リードのソロを聴くってことは。
(ゲイでジャンキーの退廃の帝王、みたいなキャッチに惹かれてアルバム聴くと、かなり肩透かしを食らうんだよな)
そんなわけで、一番大好きな音楽家ってわけでもなかったんだけど、『ワイルド・サイドを歩け』聴いて、「俺もワイルドに生きるぜ~、ワイルドだぜ~」と思った身からすれば(ウソだよ~ん)、やはり数々の名曲から恩恵を授かったゆえ、どこかでケジメをつけんといかん。
多少ながら、ワイルドサイドをお散歩させていただいたので。
吉祥寺バウスシアターでルー・リード追悼特集。2007年の『ベルリン』爆音上映。公開当時はシカトしたが、これは観に行く。
ケジメである。
新宿などの劇場からすれば「ルーリードとかいう人」が亡くなろうが商売には一切関係ないだろけど、「本当の重要性」を引っ掛けるアンテナと実行力は、さすが吉祥寺。
11月15日(金)に翔壱書店&すうさい堂でイベントやります。『CLUB WATCH OUT!vol.1』
吉祥寺fourth floorhttp://fourthfloor.sub.jp/
19時オープン。1ドリンク込み1000円。
DJは本郷翼氏とすうさい堂(共にWATCH OUT執筆陣)。
翔壱店長氏による、パンク&モアの名曲をアコースティックでカヴァーするライブあり。
あとは酔っ払う。
フリーペーパーという強みもあると思うけど、最新号は特に大人気で、残りわずからしい。
自分が関わった媒体としては一番勢いがあるのかも知れない。
いわゆるAVショップにはほとんど配布してないところが面白い。
アダルト発の紙媒体が、他のカルチャーを巻き込んでるってのはなかなか痛快。