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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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ぐるぐる漂流教室



楳図かずお先生の『漂流教室』、いまさらながらだが、大傑作であります。
こんなにグルーヴ感あふれる漫画は他にない。
「ギャー!!」「ギャッ!!」「ハアハア!!」「ムシャムシャ」「ザザザ」といった「ウメズ音響」もグルーヴィーだ。
小学校がまるごと荒廃した未来へトリップ!理性を優先する「大人」である教師たちは全員自滅!
唯一生き残った大人である給食のおじさん・関谷は生存本能むきだしで子供たちに暴君としてふるまったり、幼児退行したり(バブバブ!!ニャーゴ!!まんま!!)、また正気に返ったりしていろいろ大変。キャラ立ちすぎ!
確かにとんでもないとばっちりには違いない。
さらには子供たちをおぞましい怪虫が襲い(ザザザ虫と呼びたい)、ペストが襲い、グロ造形の極みのような「未来人類」が襲い、主人公の「翔くん」には個人的に盲腸が襲い(麻酔なし、カッターでシリツ!執刀はやっぱり子ども!!)、大雨が襲い、スモッグが襲い、断崖・死のはばとびがあり、内ゲバで子ども同士が殺し合う。
そしてあまり語られないことだが、死んだ仲間の死体を焼いて人肉を食うシーンもある(全員子ども!!)。
これがスピリッツではなく少年サンデーに連載されていたということがすごい。
「お姫様」や「我猛くん」や「池垣くん」などのサブキャラも光る、児童文学(とあえて言ってしまう)の記念碑的作品であります。
そろそろ店頭に出すんで、「漫画によるグルーヴ体験」をしたい方は買ってください。


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悪いやつほどよく殺す

そして爆音終わって直後、『アウトレイジ』初日のレイトに行ってきたのであった(バウス!)。
「極悪非道」というタイトルなだけあって、見事に悪人しか出てこない。
『ソナチネ』にあったような叙情は今回、一切ございません。常連俳優もすべて削除。
その分勢いを得た暴力描写は凄まじく、歯の治療中の相手を襲い治療用のドリルで口の中をメチャクチャに掻き回すわ、耳の穴に棒を突っ込むわ、密売人の中華屋の親父の指は飛ばすわ、カッターで「指詰めろ」と迫るわで、「バイオレンスのキタノ」が大復活。
イキのいい暴力装置の椎名桔平も良かったが、インテリヤクザの加瀬亮に萌え、であった。
ビートたけしは登場人物のうちの一人という感じで、定例化してきた「破滅するかっこいいヤクザ」のイメージを自ら壊している。
テレビドラマで大活躍のあの人たちも、ワルだ、悪だ、極悪だ。

任侠道という看板でも掲げないと収まりがつかないくらい、本当のヤクザ社会というのは汚いんだろうなー、と思う。
『カイジ』に、「いい人がヤクザなんかやるわけねえだろ」みたいなセリフがあった気がする。
しかしながらプロの暴力使いである彼らがスクリーン内のキャラクターとして登場するとき、それは生き生きと映えるんである。

爆音のまとめ

しばらくパソコンがあぼーんでして、なんもできねぇっつー状況が続いていたのですがようやく復旧。
ボクはカリスマ店員でカリスマブロガーであるので、みんな待ち遠しかったかな?おーほほほほほほほほほほほほ。

なにをしていたかというと、主に映画を観ていたのでした。
『爆音映画祭2010』@バウスシアター。
正直今年は音量少なめだったのだが、それでもなかなか充実のラインナップであった。
初日、『ソウルパワー』。ソウルミュージックってのは基本的に人間愛に満ちた音楽であるので、なかなかそっち方面には行けないのだが、一人異形の人がいた。ジェームス・ブラウンだ。
あれは別枠。そして「歌詞」が違う。ケンカ売ってるよ、この人だけは。

『ミッシェル・ガン・エレファント last heaven 031011』。
彼らの解散ライブを収めたもの。
ディープさでいえばゆら帝なんかの方が上なんだろうけど、上っ面をテッテ的にカッコつけるバンドとしては最高峰なんじゃないか。
日活のアクション映画みたいなもんである。
そして、ギミックやゴシップを一切排除してここまで大きくなったロックロール・バンドは他に類を見ないと思う。
アンコールにおける明る目の曲の、「ガソリンは残りわずか」「さよならベイビー」「嵐を裂いてゆけ」なんて歌詞が切なかったりする。
随所に挟まれる過去の映像なんかを見ると、「パブロックでよかったバンド」が、でかくなりすぎてしまったジレンマみたいなものは確かに感じる。
仁王立ちでギターを弾くアベフトシの顔にはすでに死相が見える。

『イングロリアス・バスターズ』。
二回目。普通の映画館で観た時より、音の立ち上がりがダンチで違う。

『爆裂都市』。
30回くらい観てるのだけども、爆音つーことで。
これだけリピートしてると、泉谷しげるや麿赤児のかっこよさを再確認。
「クシャおじさん」も出てるって知ってた?

『コントロール』。
ジョイ・デビジョン=イアン・カーティスの伝記映画。
妻子もあり、浮気相手もいて、バンドも成功したのだけれども、すべてに絶望して23歳で首吊って死んだ、癲癇持ちのボーカリスト。
まったくちぃともうらやましくない人生だ。編集がタイトすぎるというか、厭世感に満ちた歌詞そのまんまである。
早期結婚はよろしくないかも、という教訓。ん?

『HOUSE ハウス』
大林宣彦のデビュー作にて砂糖菓子のようなカルト映画。糖分過多!
10年ぶりくらいに観たけど、これだけ「やりっぱなし」の作品もちょっとない。観客も不思議少女からハゲた会社員まで、立ち見まで出て大盛況。
美少女たちが軽井沢のおばさま宅に遊びに行き、みんな「家」に食べられちゃう♪、っていうだけの話。
彼女たちのあだ名が凄くって「オシャレ」「メロディ」「ファンタ」「マック」「クンフー」とか、呼び合うんです。
池上季実子は意味なく脱ぐわ(マジで美人)、大場久美子は泣きわめくわ、神保美喜はカンフー使いでホットパンツだわ、鰐淵晴子登場シーンは常に風が吹いていてひらひらだわ、音楽はゴダイゴだわでいろいろ大変ス。
難解でシュールなのはゴロゴロあるが、ポップすぎてイッちゃってるという。ピアノやふとんや電灯に食べられてました。
後ろの席の女子が思わず、「なにこれ~(笑)」と感想を述べられていましたが、もっとも的確な評価だと思う。

この作品のメインビジュアルは家のドアから舌が出て、そこに「H0USE」って書いてあるのだが、同じ仕様のエアクッションが置かれていて、それを踏んで中に入るんである。
終映後に客席に潜んでいた大林監督が立ち上がって挨拶したりと、ギミックもいっぱいなのであった。

同じバウス内の隣の劇場では「春との旅」という、お年寄りが並んでいるような作品を上映しているのだが、爆音映画の音が響いてきちゃってるらしい。と考えると、めちゃくちゃ過激な企画である。来年も行く。

さようなら悪女さん




というわけで悪女特集のラスト、『しとやかな獣』(監督・川島雄三)を観に行って来た。
ずっと団地の一室で会話のみで展開される作品なのですが、これが面白い。
勤務している芸能プロから横領をはたらく息子。
それを知っていながら口裏を合わせてプロダクションの社長をなだめすかす両親。なぜならおうちにお金が入るから。
だが、その金を女に貢いだと知ると激怒するおとーさん。そこんとこは怒るわけだ。
しかもこの親たちはお手当てを目当てに、自分の娘を流行作家にあてがっている。公認援助交際というわけ。
この親子関係が痛快なのは、「ゼニを得る」という点においては手段を選ばず、それに対してまーったく何の罪悪感も持っていないということ。
お互い腹を割って話が出来る正直で素晴らしい家族である。
(うちなんか19歳の時に死んだ爺さんとまともに会話した累計時間は、どう考えても1時間に満たないぞ。ずっと同居していたにも関わらず)
息子をたぶらかした金で旅館の女将におさまった経理の女・若尾文子が艶っぽい。
なんと言っても一番の怪演は父親役の伊藤雄之介でしょう。悪党のくせに罪悪感がまるで透けて見えないので、妙に爽やかであり、愛らしくもある。
そんな旦那を常にフォローする、というか「操る」参謀のような奥さん。
淡々とした映画だが、テレビから流れる音楽に合わせてバカ息子とエンコー娘がゴーゴーを踊るシーン(バックには真っ赤な夕陽!)は、はっとするほど狂騒的。

「しとやかなけだもの」と語感も素敵なこの作品、正月映画として公開され大コケしたらしい。
今回はキズが入りまくりのフィルム上映で観られてよかったよかった。
『家族ゲーム』に近い雰囲気もかなり濃厚なので、かの作品のファンにもおすすめ。

ゴールデンウィークイズゴーン

ゴルデンウィクも終わりまして、どこへも出かけずとも日替わりでダメな人たちが訪れてくれまして、昼夜を問わず飲んでおりまして、本日は中休みであります。
もう初夏だ!SHOCKER!
で、この前は井の頭公園近くにあるゲストハウスというものを来訪してみたのだけれど、実に異世界でした。
テラス、キッチン、ベランダ等の設備も整ってなんでもありなのだが、常にいろんな人が居る。パツキンのおねーさんに「Hi!」なんて声かけられて「あぅ」なんて返事したりして。
こういう所は基本的に「人間が好き」だったり、「人とのふれあいが好き」じゃないと長居はできないなあと思った。
自分なんぞはジャルダンに来てから生まれて初めて、辛うじて近所づきあいというものをなさっており(実家にいたころは隣の家族の顔すら知らなかった)、どっちかというとプライベートは「おれの視界に入ってくんな」な人である。「個室」は何よりも最優先。
すうさい堂だって実は、「開かれた引きこもり空間」なんである。

表面的には楽に生きたいために招いている状況は必ずしも楽なもんではないのだが、それは致し方ない。就職できる人はちゃんとした方がよろしい。
『はたらきたい(ほぼ日刊イトイ新聞)』という本でしりあがり寿が、お金がないためにおこるトラブルやわずらわしさが嫌だった、と発言している。

「カレーに乗せるカツがうれしかったり、余計なトラブルがいやだったから、僕は就職した時にうれしかったんですね。そういうことのために会社に入りたいと思うのは、全然おかしいことじゃないと思います」
「働いてお金を稼いで初めて、自分自身の経営権を手に入れたという感じ」

方法は違えど、結局は働いているすべての人が個人経営者なんじゃないかと思う。
キツさ、の種類は違うかも知れんが。
「これは得した」とほくほくしていても、どこかで「同じくらい損してる」もんです。逆も然り。そんなもんです。
明日はちょいとお休みします。




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